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虫歯をずっと放っておいたらどうなるの?

2017-10-09 18:30:08


執筆:影向 美樹(歯科医師)

「虫歯がある」とわかっていても、歯医者に行くのを億劫に感じる方や、仕事が忙しくてなかなか歯医者に通えないという方もいらっしゃるでしょう。
そのうち虫歯の存在も痛みも気にならなくなってきて、気が付けば何年も放置していた、といったケースは歯科においてもめずらしくありません。
しかしたとえ痛みが消えたとしても、虫歯の原因である細菌が消えるたわけではありません。
虫歯菌は知らない間に、体の中の違う場所へ運ばれてしまうこともあります。これによって思わぬ病気に見舞われることも。
今回は虫歯を長く放っておくことで起こりうる、様々なトラブルについてご紹介したいと思います。

虫歯を放置して起こるお口のトラブル


まずは虫歯を放置しておくと、お口の中でどのようなトラブルが起こり得るのかを見てみましょう。

激しい痛みがでる


虫歯は初期の段階ではほとんど痛みはありませんが、次第に冷たい物や熱いものがしみてきます(C2程度)
しかしそのうち噛むだけで痛んだり、何もしなくても痛んだりし始めます。その痛みも激しさを増し、いずれは夜も眠れないほどになってきます(C3からC4)。
【イラストで紹介】

神経が死ぬと歯の寿命が縮まる


虫歯が歯の神経に達してしまうと、時間をかけてその機能を失い、やがて神経は死んでしまいます。それと同時に、その歯に栄養を送っていた血管の機能も働かなくなります。
そのため神経が死んでしまうと痛み自体はなくなりますが、その歯の寿命は一気に縮まってしまいます。

歯の形が変わることで噛み合わせにも変化が起こる


虫歯によって歯が欠けたり、大きさが変わってしまうと、隣接する歯や噛み合わせる歯の位置のバランスが崩れ、歯並びや噛み合わせも変化します。
これによって歯並びが悪くなったり、噛みにくくなるほか、顎の関節にも異常をきたす場合もあります。

強い口臭の原因になる


虫歯を放置すると、その穴に溜まった食べかすなどが腐り、強い口臭を発生させる原因になります。

歯はあらゆる場所に繋がっている


はじめは痛みを感じた虫歯も、神経が死んでしまうとその痛みは消えます。また以前に歯の神経を取った歯であれば、再び虫歯になっても痛みは生じません。しかし歯の神経が死んでも、そこにいる虫歯菌がいなくなるわけではありません。
歯は血管を通して体の様々な器官とつながっています。虫歯菌が根の奥の方まで感染すれば、その血管の流れに沿って、その付近の骨や鼻の方に広がっていきます。
例えば上の歯の場合、その近くにある副鼻腔(鼻の空洞)に感染し、副鼻腔炎を引き起こします。
また下の歯であれば、虫歯菌は顎の骨にまで達し、骨髄炎を起こします。
骨髄炎は高熱や体のだるさなどの全身症状がでるほか、ひどくなると顎の骨の形まで変わってしまいます。

虫歯で死ぬって本当?虫歯が全身に及ぼす影響


このように虫歯を放置すると、虫歯菌は血流にのって体のあらゆる部位に運ばれていきます。
海外においては虫歯菌による敗血症で死亡例も報告されています。しかし日本ではこのようなケースはないので、それほど心配する必要はありません。
ただ虫歯菌は肺に運ばれると肺炎を起こしますし、心臓へ運ばれると心内膜炎や心筋梗塞の原因にもなります。特に免疫力の低い子供や高齢者は注意が必要です。

たかが虫歯と侮ってはダメ!


このように虫歯は放っておくと、お口の中のトラブルだけにとどまらず、体のあらゆる場所に害を及ぼす可能性があります。
また、虫歯は早い段階であれば痛みを伴うこともなく、治療もスムーズに進めることができます。
虫歯は放置してもなんのメリットもありません。思い当たる方はできるだけ早く歯科医院を受診することをお勧めします。

<執筆者プロフィール>
影向 美樹(ようこう・みき)
歯科医師。歯科医師免許取得後、横浜と京都の歯科医院にて勤務を経て、現在は医療系ライターとして活動中

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情報提供元: mocosuku

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