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お年寄りだけの話しじゃない、入浴事故の要因・ヒートショック

2018-01-13 18:30:47


執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
寒い季節、お風呂や温泉でお湯につかってリラックスしたいですね。
しかし、冬場の入浴には危険が潜んでいます。
冬場に多発する入浴時の事故、その原因にヒートショックは深く関わっています。
なおかつ、ヒートショックに注意する必要があるのは高齢者に限りません。
今回は、年齢を問わず気をつけなくてはならない、ヒートショックについてお話しましょう。

冬場に多発する入浴事故


東京都監察医務院の調査によると、東京都23区における年間約13,000件の異状死のうち、約1割にあたる1,400件は入浴に関わる事例と報告されています。
年齢構成でみると高齢者の割合が大きく、時期は冬に多発しています。
入浴事故の三大原因は、1.心筋梗塞などの心疾患、2.脳出血や脳梗塞などの脳血管障害、3.溺死です。
そして、入浴事故の大きな要因とされるのが「ヒートショック」です。

ヒートショックとは?


「ヒートショック」は、暖かい場所から寒い場所への移動など、急激な温度変化によって起こる、血圧の急な変動がもたらす健康被害を指します。
たとえば急激に血圧が上昇すると、心筋梗塞や脳梗塞といった脳・心臓血管疾患などを引き起こすリスクを高めます。
逆に、急激に血圧が低下すると、脳に血流がいかなくなり、失神や転倒によるケガや湯船で溺死する危険もあるのです。

血液変動のメカニズム


人間の身体は、急に寒さを感じると、熱を奪われないように体表面の血管を収縮させます。
血管の収縮により、血液が流れにくくなって血圧は上昇します。
反対に、暖かい場所に移動すると、血管は拡張して血圧は低下します。
外気温が低くなり、さらに朝晩の気温差が大きくなる冬場は、血圧が変動しやすい季節です。
とくに入浴時は身体全体が露出した状態です。
寒い脱衣所や浴室から暖かい湯船につかる過程で、血圧の急激な変動を招きます。
また、入浴時のみならず冬場の日常生活においても、気温差のある場所の移動には注意が必要です。

ヒートショックが起こりやすい人とは


ヒートショックが高齢者に多く発生するのは、高齢になると急激な温度変化への対応が難しい、血圧の変動が大きい、高血圧や動脈硬化など何らかの既往歴や持病のある人が多いなど、さまざまな理由が挙げられます。
しかしながら、年齢に関らず次にあげる項目にあてはまる場合、ヒートショックの影響を受ける可能性があります。

生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症)の病気


肥満


睡眠時無呼吸症候群など呼吸器官の問題


不整脈などの心臓疾患


熱いお風呂(湯温42度以上)での入浴


入浴前の飲酒


ヒートショックを防ぐための心がけ


ヒートショックによる入浴事故は、突然起こります。
また、発見が遅れると大事に至ることも少なくありません。
ヒートショックを起こさないよう次のポイントに注意しましょう。

脱衣所や浴室の暖房


急激な温度変化を避けるため、脱衣所や浴室は入浴前に暖房を入れるなど、温度を上げておきましょう。
浴槽のふたをはずしておく、シャワーでお湯をはるなど、湯気を充満させ、浴室内を温めておく方法も有効です。

高温での入浴を避ける


寒い日は熱いお湯につかりたくなります。
しかしながら、熱いお湯につかると血圧の急激な低下につながります。
とくに寒い日は、外気温との温度差をなるべく少なくしましょう。

長風呂をしない


熱いお湯でなくても、お風呂に長くつかると血圧は徐々に低下します。
お風呂のお湯を適温に設定し、なるべく長風呂は避けるようにしましょう。

入浴前後の水分補給


入浴中は発汗により体内の水分が失われます。
気づかずに脱水症状になっていることもあり、その結果、体温調節機能が低下します。
また、脱水に陥ると血液はドロドロの状態ですから、脳・心血管疾患の発生リスクが上がります。
入浴前後は、しっかりと水分補給をしましょう。

入浴前に飲酒をしない


入浴前の飲酒は、若い方もよく経験しているかもしれません。
飲酒は血圧の変動に影響を及ぼします。
また、お酒には利尿作用があり、アルコールを分解するために水分が必要ですから脱水状態になります。
当然、飲酒後の入浴はヒートショックが起こりやすいのです。

普段からの健康管理


生活習慣病は脳・心血管疾患発生リスクを高めます。
生活習慣病の治療中はもちろんのこと、一般に冬場は血圧が上昇する傾向にありますので、血圧測定をするなど日ごろの健康管理がとても大切です。
まだまだ寒い季節、どの世代においても、ヒートショックには充分注意して、安全な入浴を楽しみましょう。
【参考】
・東京都監察医務院『東京都23区における入浴中の死亡者数の推移』(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kansatsu/oshirase/nyuyokuchu.html)
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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