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special interview 波瑠×西島秀俊

2018-11-02 08:00:00

Profile
波瑠/1991年生まれ、東京都出身。ドラマ「対岸の彼女」(WOWOW)でデビュー。2015年にはNHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」でヒロインを務め、日本の朝の顔に。主な出演作品は映画『みなさん、さようなら』『流れ星が消えないうちに』、ドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官』『サバイバル・ウェディング』など多数。

Profile
西島秀俊/1971年生まれ、東京都出身。1994年『居酒屋ゆうれい』で映画初出演。その後も多くの映画やドラマに出演。近年の出演作に、映画「クリーピー」、「ラストレシピ」、ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』『奥様は、取り扱い注意』など。映画「人魚の眠る家」が11月16日(金)に公開予定。

 『私、こんな仕事をやるために大学を出たわけじゃありません!』
 このセリフにハッとする人も多いのではないだろうか。希望を持って入った会社なのに、自分のスキルを活かせない。やりたくない仕事ばかりが回ってくる。そんな仕事に不満を持っている人たちにぜひ観て欲しいのが10月26日(金)より公開される『オズランド笑顔の魔法おしえます。』だ。

 彼氏と同じ超一流のホテルチェーンに就職したのに、配属されたのはド田舎の遊園地。回ってくるのはゴミ拾いや豚小屋の掃除などの雑用ばかり…。そんな、まったくモチベーションの上がらないヒロイン、波平久瑠美を演じるのが、ドラマ・映画などで数多くの主演を務める波瑠さん。そして、その遊園地で“魔法使い”と呼ばれ慕われるカリスマ上司、小塚慶彦を西島秀俊さんが演じる。そこでまずは、初共演となるお互いの印象を伺った。

波瑠「まっすぐで思いやりのある小塚さんは西島さんそのものでした。これからもご一緒したい大好きな先輩です」
西島「照れますね。僕の思う波瑠さんの印象はまっすぐで素直で、真面目な方。そして頭のいい人。とにかく頭の回転が早いんですね。だから現場でお話してもとても楽しかったです」
波瑠「いやいや、迷惑かけてばっかりです。私は直前にならないときちんと考えられないタイプなので、前もっての準備が苦手。だから今やりながら別のお仕事のお話が来たりすると『ごめんなさい! 今は考えられません!!』ってなっちゃう。1回終わって自分の中でリセットしないとダメなんです。だから『オズランド』の撮影中はずーっと波平でした」
西島「現場に入るとスイッチが入るんだから、やっぱり天才肌ですよね。僕は役に入るときにスタッフにアイディアをもらったりします。例えば今回も『何か面白く見えるものない?』ってスタッフに聞いたら光るペンを小道具に持って来てくれたんですね。そこでちょっとクスッとしたり、優しい雰囲気になったり。スタッフの人たちが自然と小塚というキャラクターを作ってくれました」

 西島さん演じる小塚はちょっと風変わりな一面もありつつ、キュンとする笑顔でみんなを和ませる上司の役。これまでクールな役が多かった西島さんは『こんな明るい役が来たのは何年ぶりだろう?』と笑う。
西島「この映画には殺し合うシーンもないし、悪い人も出てこない。勝手に『全員善人』というキャッチフレーズをつけてたくらいです(笑)。でもこの作品は1人の社会人となった女性が一生懸命やりながらも色んな壁にぶつかり、乗り越えて行く成長物語。そこに一見ちゃらんぽらんに見えるけど、しっかり見守ってくれる上司がいるというのが根っこの部分なので、そこはしっかりおさえつつコミカルな役を楽しみました」
波瑠「私も今年は死体を解剖したり、不倫したりする役を演じていたので、本当にやっと平和な作品に巡り会えた感じです(笑)。西島さんもおっしゃったように、この作品には悪い人やイヤな人は出てきません。だから波平が挫折や困難に感じることはすべて自分に原因があるんですよね。先輩の言うことを意地悪に捉えてしまったり、自分はもっと大きな仕事ができると思い込んだり。でも環境や状況の大半のことは自分次第で変わって行くと思うんです。それを波平を演じるなかで改めて考えることができました」

 遊園地の仲間と仕事していくうちに自分の未熟さと空回りを痛感し、小塚や仲間に助けられる波平。少しずつ仕事のなんたるかがわかり始めるとだんだんと仕事が面白くなってきて…。これは誰にでも当てはまる物語だと西島さんは話す。
西島「今回は遊園地で起きている話ですが、働くということは壁があってぶつかって、空回りして悩んで、またそれを乗り越えてというのは若くなくても経験していくことだと思います」

あなたの頑張りを必ず見てくれる人がいる。でも無理は禁物。ときには逃げるのも大事。

 冒頭の『こんな仕事をやるために大学を出たんじゃない!』というセリフが蘇る。今の仕事が楽しいです!今の仕事が大好きです! と胸を張って言える人はどれくらいいるのだろうか? 仕事に不満を感じている人、やりがいを見つけられない人へのアドバイスを伺うと。
西島「僕は仕事が大好きなので現場に行くと元気になるタイプなんですけど、友達には“仕事は自分がやりたいことをやるためにお金を稼ぐ方法でしかない”ってハッキリ言うヤツもいますよ。だからみんながみんな、仕事に楽しさを見出す必要はないと思います」
波瑠「やりがいって何でしょう…、難しい質問ですね。私も仕事を辞めたいと思ったこと、何度もあります。でも私の場合はちょっと変わってて、負けず嫌いなんです。だからみんながこうなるだろうなと思っている方には絶対いきたくない。だから『波瑠は仕事を詰め込み過ぎてそのうちおかしくなる』って思っている人がいたとしたら、私は心身共に健康で、全部の仕事を全うしてやろうと思います(笑)。最初は負のエネルギーかもしれないけど、最終的に前向きなものへと還元されてるんですよね。ただ人間なので、やっぱり長い時間ストレスを抱えているのは大変だと思います。転職も簡単じゃないだろうし…。難しい問題ですね、本当に」
西島「どうしても自分の力で環境を変えられないときは、その場から離れてもいいと思います。体を壊しちゃ意味ないですから。でも、小塚が波平を影で支えていたように、自分が思っているよりも人は見てくれてる。あなたが頑張ってるところも見てくれてる人がいるんじゃないでしょうか。でも頑張り過ぎは禁物。ときには逃げるのも大事だと思いますね」

環境や状況の大半は自分次第で変えることができる。喜びってきっと単純なこと。

 これまで役を通して色んな職業を体験してきたお二人に、これから挑戦してみたい職業を伺うと。
西島「僕は汽車の上で犯人を追いつめる役を演じてみたいですね(笑)。トンネルが近づいたら頭をパッと下げたりして。あれは撮影できる場所が限られてるのかなぁ? 新幹線じゃ無理ですよね?」
波瑠「速過ぎて危険ですよ(笑)。私は解剖医とかではなく、普通のお医者さんを演じてみたいですね。内科とか小児科の先生とか、救命救急医もやってみたい。難しいだろうなと思うんですけど、専門的なことを勉強するのが好きなんです。これまでも専門職のお仕事を頂いたときは、本を借りて勉強してました」
西島「ほら、やっぱり真面目で頭のいい人でしょ?」

 とても初共演とは思えないおふたりの、ほんわかとした雰囲気に自然と笑顔になってしまう。そして、この作品のサブタイトル『笑顔の魔法おしえます。』にちなんでお二人の笑顔の魔法を伺った。
波瑠「私は犬を飼っているので、疲れて帰って来ても元気をもらえるし、癒される。気づいたらイヤなことも忘れてますね」
西島「僕はやっぱり現場かなぁ(笑)。今回もこの作品のモデルとなった遊園地のスタッフさんとも実際にお会いしたんですが、みんな素敵な人たちで。お話を伺うだけでも元気をもらえました」
波瑠「毎日遊園地で撮影してたこともあって、本当に夢を見ているような1ヶ月でしたね。キャストさん、スタッフさん全員が生き生きしてて熱量がすごくある現場で。私が主演としてやらせて頂きましたが、実際は引っ張ってもらっている感じでした」

 舞台となる「グリーンランド」は実際に熊本県にある同名の遊園地。エキストラとして参加した熊本県民の方にとっては思い出の詰まった“特別な場所”だそうだ。そこで、お二人に思い出の場所を聞いてみると。
西島「僕は多摩出身なんですが、子供の頃はよく雑木林でどんぐりとかまつぼっくりとかを探して遊んでました。だから思い出の場所も多摩ですね。多摩は高尾山とか自然が多くて素敵な場所です」
波瑠「たしかに地元は特別ですね。私は母の実家が福島にあったんです。ジブリ作品に出てきそうな森があってそこでキノコを見つけたり、いとこと遊んでたのを思い出しました。今は簡単に行けない場所になってしまって、子供の頃に行ったのが最後…。改めて特別な空間だったと思います」

 最後にお二人に作品の見どころを尋ねると。
波瑠「この作品は人と人との繋がり、通じ合いを通して大きく成長していき、自分が幸せになることで周りも幸せになっていくという話。大きな世界の話ではないけど、これがリアルというか現実なんだと思います。喜びって単純なことなんじゃないかなって」
西島「観て頂いた方が少しでも共感していただいて『明日からまた頑張ろう!』って思ってもらえたら嬉しいですね」

「オズランド 笑顔の魔法おしえます。」

© 小森陽一/集英社
©2018 映画「オズランド」製作委員会

原作/小森陽一「オズの世界」(集英社文庫刊)
監督/波多野貴文 脚本/吉田恵里香
出演/波瑠、西島秀俊、岡山天音、深水元基、中村倫也 他
公開/10月26日(金) 全国ロードショー

PHOTO/Hirohiko Eguchi(LinX)
TEXT/Satoko Nemoto
Haru
STYLING/Makoto Fukuda
HAIR&MAKE/Nozomi Kawasima(io)
Hiretoshi Nishijima
STYLING/TAKAFUMI KAWASAKI(MILD)
HAIR&MAKE/MASA KAMEDA(The VOICE)

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情報提供元: michill (ミチル)

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