
モンゴルが初の“おもてなし”で両陛下を歓迎
7月6日~7月13日までの8日間、天皇皇后両陛下が国賓としてモンゴルを訪問された。
【写真を見る】「素晴らしいですね」陛下が日本語で夢語る生徒に拍手 制服・給食など“日本式教育”の学校で見えた日本とモンゴルの“つながり”【天皇皇后両陛下 モンゴル訪問】
首都・ウランバートル市の広場で行われた歓迎式典では、モンゴルの大統領夫妻が両陛下を出迎えた。日本の「君が代」が演奏された際、広場に「ドーン」と大きな音が鳴り響いた。外国からの招待客を迎えた式典で敬意を表すために発射する空砲=いわゆる「礼砲」だ。発射されたのは全部で21発。この数は最高の敬意の表れで、モンゴルが21発の礼砲を発射したのは今回が初めて。歴代の天皇皇后で、初めてモンゴルを訪問した両陛下は、最高の敬意を持って迎え入れられた。
滞在中、陛下はウランバートル市内の学校へ。そこは、日本に留学経験のあるモンゴル人によって創立された、日本式教育制度を取り入れた学校。日本に関心の高い生徒たちと交流された陛下は驚きの声をあげられた。
陛下も驚く 若いモンゴル人の日本への関心
モンゴルから日本への留学生は20年前と比べておよそ4倍に伸びているという。
1996年から日本政府奨学金留学生として山形大学に留学したガルバドラフさんもその一人だ。ガルバドラフさんは日本で教育学を学んだとき、「日本が発展した秘密は、教育にある」と考えたという。部活や、制服、給食、あいさつなど人間形成も含めた教育に感銘を受けたそうだ。
「日本のようにモンゴルも発展させたい」と考えたガルバドラフさんは、帰国してから日本式の教育を導入した学校をつくることにした。2000年、モンゴルで最初の日本式教育を取り入れた高校を設立。今では小中高に加えて、幼稚園や、工科大学なども併設した「新モンゴル学園」に。卒業生の35%を日本を始めとした世界のトップ大学に送り出している。
モンゴル訪問中、この学園に足を運んだ陛下は、ガルバドラフさんと、生徒たちに出迎えられた。並んだ生徒たちは「こんにちは。ようこそ」と日本語であいさつし、日本語の校歌を斉唱した。
黒板やチョーク、木の机や椅子があり、日本と錯覚するような教室。
セーラー服を着た女子生徒が、天皇陛下に「日本留学して教師になりたい」と日本語で夢を発表すると、陛下は「素晴らしいですね」と言って拍手を送られた。
その後、学園の卒業生らと懇談した陛下は、元生徒たちの流ちょうな日本語を聞いて、「日本語がみなさん発音も素晴らしくて、いったいどうやって、、」と、とても驚かれた様子だった。
ガルバドラフさんが1人の卒業生を陛下に紹介した。一橋大学に留学し、総代になったという卒業生の男性から「日本とモンゴルが将来、手を取り合えば世界と渡り合えます」と言われ、陛下は「日本とモンゴルの関係も大切に考えていただいて、嬉しいです」とにこやかに話されていた。
帰り際、陛下はガルバドラフさんと握手し、少しの間会話されていた。
ガルバドラフさん
「陛下から、両国の間に人を基盤とした関係をつくっていただいて素晴らしい。
このことをやり続けて下さいと言われました。とても嬉しい」
モンゴル人の生活を支える日本の無償資金協力
モンゴルが1990年に社会主義体制から市場経済体制に移行したことを機に、日本は多くの無償資金協力を行い、インフラなど整備してきた。両陛下が立ち寄られたチンギス・ハーン国際空港、ウランバートル市の学校、モンゴル日本病院に加えて、人々の生活を支える水の供給施設も日本の援助で建てられた。
陛下が訪問した「ガチョールト水源」。ここは、21本の取水井戸から水をくみ出し、ウランバートル市の北部の3地区に水を供給している。モンゴルでは年間降水量が日本の7分の1しかなく、「Water is GOLD」と言われるほど貴重だ。水問題をライフワークとする陛下はこの施設を訪れ、ヘルメットを被って貯水施設に上り、取水井戸を遠くに眺めた。
陛下
「あれが井戸ですね」
「この水源施設はどんな区域に水を供給していますか」
説明者によると、この水源から汲み上げられた水はウランバートル市北部の3つの区に供給されていて、いずれもモンゴルの伝統的なテント式住居が多い「ゲル地区」だという。
近年は、ゲル地区にも再開発でマンションが建ち始め、水の供給が大きな課題となっているそうだ。水道管が通っていない地域には、共同貯水場まで水を汲みに行く場合があるという。ウランバートル市民の生活に欠かせない水を日本の支援が支えている。そう説明を受けた陛下は、嬉しそうにこう話された。
陛下
「良いプロジェクトが行われて嬉しく思います。
「その成果を活用していただいている皆さんの努力にも感謝いたします」
日本の支援でモンゴルの人々の暮らしが豊かになっていることを実感された様子だった。
今回、両陛下は、日本とモンゴル両国の架け橋となってきた人々との交流や、つながりの深い施設を多く訪問された。両陛下に同行して、二つの国は、遠く離れているが、人と人とのつながり、国と国とのつながりが想像よりもずっと大きいことに、私は驚いた。
両陛下の訪問を契機として、日本とモンゴルのさまざまな友好関係にスポットがあたり、ますます日本との絆が深まっていく。
(TBSテレビ 社会部・宮内庁担当 米田祐輔)
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