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岸田國士戯曲賞受賞の劇作家・安藤奎が初の連ドラ脚本に挑戦 『じゃあ、あんたが作ってみろよ』で描く“当たり前”の揺らぎ【ドラマTopics】

エンタメ
2025-12-02 11:00

脚本家とは、登場人物のセリフや行動、物語の展開を記した脚本を執筆する職業。作品の企画段階から関わり、監督やプロデューサー、原作者と打ち合わせを行い、作品の世界観やテーマに沿ったストーリーを具体的に形作っていく。


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「料理を作る」というきっかけを通じて、二人の男女が“当たり前”と思っていたものを見つめ直し成長していくTBS火曜ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』で、初の連続ドラマの脚本を担当するのは安藤奎。


2016年に安藤自ら旗揚げした演劇団体「劇団アンパサンド」で作・演出を手がける。茶の間やオフィスから始まる日常が、少しずつズレていき、いつの間にかとんでもない世界に変わってしまうという作風が特徴だ。現代社会のスケッチの技巧と展開が予想できない独自の物語性が魅力で、「​歩かなくても棒に当たる」(2024年)では第69回岸田國士戯曲賞を受賞した。


安藤がこれまで舞台という場で培ってきた“当たり前”を、ドラマでどのように生かし、崩したのか。エンターテインメントという世界に飛び込んだきっかけとは――。


舞台とドラマ、書き方の違いに直面して

――ゴールデンプライム帯(テレビ業界において夜の看板番組が並ぶ時間帯。以下、GP帯)連続ドラマの脚本の執筆をしてみて、率直にどんな感想を持っていますか?


GP帯という以前に、連続ドラマの全話の脚本を担当させてもらえること自体が初めてだったのでとても楽しかったです。特に、第1話、第2話と話数を重ねるごとにキャラクターが成長していく過程を一緒に体験しているような感覚に面白さを感じました。


――舞台の脚本を書かれることが多いかと思いますが、ドラマの脚本との違いはどんなところでしょうか?


ドラマと舞台の脚本は全く違うと思います。例えば、舞台であったら、その舞台上にあるものをお客さん全員が同じように把握できるわけではないので、なるべくセリフで説明する必要があります。一方でドラマでは、見てほしいと思ったものを映像で見せることができるので、そこが大きく異なる点だなと感じました。


――舞台は一つの作品の決められた上演時間の中で起承転結を描いていくと思いますが、ドラマでは1話での起承転結だけでなく、ドラマ全体の起承転結も考える必要があると思います。そういった難しさも感じられましたか?


ドラマ全体でキャラクターの成長や関係性をどう積み上げていくかという時間の流れの作り方は、舞台とはまた違う難しさがあると感じました。また、ドラマは多くのスタッフと話し合いながら脚本をつくっていくため、協働ならではの視点が加わり、作品が立体的になっていくのが印象的でした。


私が普段つくっている舞台は少人数体制なので、ドラマの現場に行ったとき、驚くほど多くのスタッフさんやキャストの方が関わっていることを目の当たりにし、「こんなにたくさんの人の力でつくられているんだ」と実感しました。


俳優志望から“自分で書く”選択へ

――普段、劇作家として活動されていますが、目指したきっかけを教えてください。


最初のきっかけは、小学5年生のときに観た鴻上尚史さん脚本・演出の舞台でした。「自分も舞台をやってみたい」と思ったのですが、当時は脚本家や演出家という職業が存在することを理解していなかったので、舞台をやるなら俳優だと思い、高校卒業後に俳優を目指し始めました。ただ、俳優として舞台に立つには常にオーディションを勝ち抜く必要があって、受かったとしても次に呼ばれるかどうかはわからない。ずっと誰かに選ばれ続けなければいけないということに難しさを感じていました。


その頃ちょうど、ドラマ『ゴシップガール』にハマっていて、登場人物たちがよくパーティを開くんですね。それがうらやましくて、自分も誕生日パーティをしてみようかと思ったんです。でも「人に集まってもらったあと、何をすればいいんだろう?」と考えたとき、一番やりたいと思ったのが演劇でした。結果、パーティではなく舞台をやろうと決め、劇団を立ち上げたのが始まりです。


体験と感情を脚本に乗せる、安藤流のスタイル

――ドラマの脚本を執筆する上で、ご自身の経験を反映させたところはありますか?


原作がある作品なので、原作をベースにすることはもちろんでしたが、原作を読んだ時に自分がどう感じたか、自分が同じような状況を経験した時の気持ちや、同じように感じたことがある場面については、そういった気持ちを乗せることはありました。


――安藤さんが仕事をしていく上で、大切にしていることは何でしょうか?


俳優さんならではの面白い部分を書くことを大切にしています。それが楽しく書くということにもつながっています。時には楽しんで書いたものでも、後で読み返してみると「あれ?」と感じることもありますが…。逆に自分が面白がれないまま書いたものは、楽しい作品にはならないので、楽しく書くことを大事にしています。


日常を揺さぶる独自の視点を持ち味としてきた安藤。その筆致は、連続ドラマの世界でも確かな存在感を放っている。


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