12日から始まった参議院の予算委員会。「クマ被害」や「物価高対策」、「政治とカネの問題」などについて質問が飛びました。
【画像を見る】(速記クイズ)国会で「=(線が2本ならんだ平行線)」は何を意味する?
予算委員会の敬称が「さん」呼びに変化
井上貴博キャスター:
国会論戦が始まりましたが、よく「永田町の常識は、世間の非常識」なんて言われます。国会論戦を見ていて「何でこんなことになっているのだろう」「このルールはどうなっているのだろう」ということを調べてみました。
11月12日に始まった参議院予算委員会の声に注目してください。議員が立つごとに名前が呼ばれます。
委員長
「蓮舫さん」
「羽田次郎くん」
井上キャスター:
委員長は名前を読み上げるのが決まりですが、女性には「さん」で、男性には「くん」と呼んでいました。
11月11日まで行われた衆議院予算委員会では…
委員長
「内閣総理大臣・高市早苗さん」
「田中健さん」
井上キャスター:
これまでの国会との違いはあるでしょうか。
タレント・俳優 青木さやかさん:
私の記憶では、これまでは全員「くん」ではなかったですか。
井上キャスター:
そうなんです。国会には国会のルールがあり、どこが規定になっているのかを調べてみました。
衆議院と参議院では規則がそれぞれ違います。
▼衆議院、参議院の共通する規則では、「議員は互いに敬称を用いる」とあります。
▼参議院「参議院先例録」では、「敬称として『君』を用いる」としています。
参議院の方が、少し強めのニュアンスだということが分かるかと思います。
しかし、敬称であったら何を使ってもいいはずです。
衆院予算委・委員長の枝野幸男議員は、「今どき、目上、年上の方に君なんて呼ばない」ということで、男性にも女性にも「さん」を用いていました。
枝野氏が「さん」を用いたということは、委員長の判断で変えていいということもわかってきました。
いつから「君(くん)呼び」?背景には身分制度を崩したい思いか
井上キャスター:
「くん」はどこから来たのでしょうか。調べてみると「吉田松陰」の名前が出てきました。
吉田松陰といえば、松下村塾が有名です。これまでの教育を変えていこうということで、教科書や月払いの金額もいらず、個性を大事にしました。
歴史作家の山村竜也さんによりますと、当時は身分制度が色濃く残っていましたので、身分がバラバラな人が集まると、どうしてもお互いに気を遣ってしまいます。なお、この時、目下の人には「殿」、目上の人には「様」を使用していました。
個性を重視する「松下村塾」としては、この身分制度を何とか崩したいということで、吉田松陰が言い出したのが「くん」です。
「“主君”からとって、身分関係なくお互いに「君(くん)」を付けたらどうかということで、画期的な呼び方を導入しました。
ゆくゆく松下村塾出身の伊藤博文氏が初代総理大臣になったとき、国会で「くん」付けを使ったことで広まっていきました。
社会的にも教科書に「くん」付けが載ったり、夏目漱石の「坊ちゃん」で「くん」付けが入ったりして、社会に広がっていったということです。
時代背景を考えて、対等にしゃべるための「くん」付けであったら使っていいのではないかというご意見もあるでしょう。
はたまた、今の学校教育を考えると、「くん」付けやめましょう、男女の付き合いをやめましょう、「さん」付けをしようとなっているのに、時代に遅れてるのではないかというご意見もあると思います。
青木さやかさん:
子どもたちは男女どちらとも「さん」付けで呼びましょうとなっていますね。
TBS報道局 政治部 新田晃一 記者:
時代とともに国会も変化していかなければならないのだろうと思っていて、おそらく枝野氏もそう思ったのだろうなと思います。
「さん」付け、「くん」付けなのですが、社会党・土井たか子氏が議長をやっていたときに、本会議で「さん」付けを始めてみたり、自民党・野田聖子氏が女性初の予算委員長になったときも、「さん」という呼び方を始めていました。
野田聖子氏ご本人にもお伺いしましたが「普通の生活をしていて、女性に『くん』とは言わないでしょ」とおっしゃっていて、そうだなと思いました。
出水麻衣キャスター:
国会の論戦はオープンになっていて、国民の皆さんも見るわけですから、何か余計なところで違和感を抱かせるくらいだったら、時代とともに変化してもいいのかなと思います。
井上キャスター:
今SNSなどで、ある意味、監視されている中で、「これはどうなのだろうか」と、良い方向に変わっていくと良いなと思います。
スマホ使用に制限あり 進まぬ国会のデジタル化
井上キャスター:
ちょっと時代遅れでは…と思われる国会の文化は他にもあります。国会内で続く「紙文化」です。
衆議院、参議院によりますと、国会の資料はまだ「紙」が基本で、秘書官が官僚に差し出すときも紙です。
規定では、印刷配布が前提のものもあるので、規定も変えていくのかどうなのか。
他にも、いろいろとまだ変えられるところはありそうです。
例えば、請願文書、委員会報告書などのペーパーレス化で、年間1200万円が削減可能という試算もあります。
※去年3月 国会のデジタル化に向けた検討会より
実際、2023年の参議院予算委員会で、このような出来事もありました。
辻本清美 参議院議員(2023年当時)
「2019年3月19日の外務大臣は誰だった?」
河野 デジタル担当大臣(2023年当時)
「ちょっと確認します」
ざわざわと笑いも起きていましたが、河野デジタル担当大臣は背広の内ポケットからスマートフォンを取り出して、いじり始めます。後ろで見ているのが高市氏です。
高市 経済安保大臣(2023年当時)
「いいの?」
国会ではスマートフォンの使用は制限されています。
委員長
「今ちょっとスマホの利用は…」
河野 デジタル担当大臣(2023年当時)
「あ、ダメなんですね」
井上キャスター:
翌日、河野氏本人が陳謝する展開となりました。
スマートフォン使用に制限がありますが、衆参両院で違うようです。
▼衆議院では、本会議以外は持ち込み・使用はOKです。通話・通信はNG。
▼参議院では、全面的に原則NG。
本会議以外で持ち込みOKなのが、タブレット端末・PCで、外部との通信通話はNG。
先日もタブレット・PCは品がないということで、国会に持ち込めなかったというニュースが出ましたが、やはり衆・参で考え方が変わってくるところもあるのですね。
TBS報道局 政治部 新田晃一 記者:
そうですね。貴族院の流れを組んでいるところもあって、やはり参議院の方が品位を大切にするところはあるのだろうと思います。
井上キャスター:
速記の方も国会で見ると思います。
【速記者】
・議事録を一言一句間違えずに記録
・10分で交代
実は、独自の音声認識システムが導入されているそうですが、競わせると「速記者の方が早くて正確」ということもあるそうです。
速記者がどのように書き取りを行っているのかというと、国会のやり方があるそうです。例えば「=」符号は「日本」という意味で使われます。
速記は何々式、国会のやり方など、いろいろ違うそうで、国会では「=という符号を『日本』」として使っているそうです。
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〈プロフィール〉
新田晃一
TBS報道局政治部 野党キャップ
休日には議員の地元めぐりも
青木さやかさん
タレント・俳優
高校生の娘の母
ギャンブル依存・肺腺がん闘病の経験も
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