青森で起きた震度6強の地震、けが人の数はあわせて50人となりました。
そして、気象庁が初めて発表した「北海道・三陸沖後発地震注意情報」では、1週間程度の注意が必要だとしています。私たちはどのような備えが必要なのでしょうか?
初の発表「後発地震注意情報」
井上貴博キャスター:
12月8日午後11時15分ごろに起きた地震は、マグニチュード7.5と推定されていました。「マグニチュード」とは地震の規模を表すものです。
地震発生後の9日午前0時ごろ、気象庁は調査を開始しました。
というのも、気象庁は「モーメントマグニチュード(Mw)」が7.0以上の場合、注意情報を発表すると取り決めていますが、規模が大きな地震の場合は、複雑な計算式が必要になり、算定に時間がかかるため、その調査を開始するということになります。
その調査の結果、Mw7.4だったことから、気象庁は9日午前2時ごろに「注意情報」を発表しました。
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表されたのは、2022年12月の運用開始以来、初めてとなります。
1000回に1回程度→100回に1回程度に 高まる発生確率
井上貴博キャスター:
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は、Mw7以上の地震が発生した1週間以内に、さらに大きなMw8クラスの大地震発生の確率が平常時と比べて相対的に高まっているということで発表されます。
【今後1週間の大規模地震発生確率】※気象庁資料より
平常時 :1000回に1回程度
注意情報発表時:100回に1回程度
きっかけは2011年の東日本大震災です。東日本大震災の2日前(3月9日)にMw7.3の地震が発生し、その2日後(11日)にMw9.0の巨大地震が発生。この時の教訓として、「後発地震注意情報」の運用が始まりました。
今回の「北海道・三陸沖後発地震注意情報」について、気象庁は「最悪のケースとして、東日本大震災を想定した備えが必要」「(東日本大震災の際は)千葉など遠い場所にも津波がやってきた」としています。
「北海道・三陸沖」だけど自分の地域も入っているかも?
井上貴博キャスター:
防災対応をとるべき地域は、▼北海道、▼青森、▼岩手、▼宮城、▼福島、▼茨城、▼千葉の7道県・182市町村となっています。
初めて発表された注意情報に、戸惑いを感じている人も多いかと思います。
TBS解説委員(災害担当) 福島隆史:
今までのアンケート調査などでも、注意情報の認知度・理解度はとても低いことが分かっています。そのため「何なのか」「何をしたらいいのか」という戸惑いは当然あったと思います。
防災対応をとるべき地域をみても、太平洋側だけではなく一部の内陸部にもかかっています。また北海道ではオホーツク海側、青森県では日本海側にも注意が呼びかけられています。これは、巨大地震の発生により、津波が回り込んで日本海側にまで行く可能性があるということです。
さらに、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」という名前のため、宮城・仙台より南である福島、茨城、千葉の人は自分のことだとなかなかピンと来ないと思います。
そうした中で、今後1週間は巨大地震が起きた場合に、高い津波から「すぐに逃げられるようにすることを念頭に置いてください」というメッセージを理解してもらうのは、なかなか難しいだろうと思っています。
巨大地震の引き金?後発地震のメカニズム
井上貴博キャスター:
なぜ、後から発生する地震が大きくなる可能性があるのでしょうか。
海側のプレートが引きずり込まれていくと、重なっているもう一方の陸側のプレートにひずみが溜まっていきます。そのひずみが耐えられなくなると、プレートが跳ねあがり地震が発生します。
先に起きた地震の後も海側プレートの引きずり込みが続き、限界に達すると、陸側のプレートが大きく動き、揺れが大きくなるというメカニズムだということです。
TBS解説委員(災害担当) 福島隆史:
2011年の東日本大震災は、マグニチュード9.0の巨大地震が起きる2日前にマグニチュード7.3という地震が起きていました。この事実を目の当たりにした以上、同じようなパターンで地震が起きる可能性を念頭に置かなければいけません。
マグニチュード7.3と9.0は数字だけを比較すると1.7しか違いませんが、エネルギーに換算すると360倍も違います。
巨大地震の引き金になるかもしれない地震が、8日に起きたかもしれないことを受け止めるということです。
大規模地震発生確率が「100回に1回程度」というとても低い確率ではありますが、せめて1週間は心がけてほしいと思います。
「1週間は心がけて」後発地震への必要な備え
井上貴博キャスター:
今後、“来るかもしれない”地震にどう備えれば良いのでしょうか。
▼すぐに逃げられる態勢の維持
ヘルメットや防災バッグ、スニーカー、そして冬は防寒具なども
▼非常持ち出し品の常時携帯
現金やマイナンバーカード、免許証など
▼非常食など備蓄の確認
▼避難場所・経路の確認
TBS解説委員(災害担当) 福島隆史:
気象庁や内閣府から「日常生活を続けてください」というメッセージが出ていますが、「きちんと備えをした上で、普段の生活を続けてください」ということです。
地震への備えを考えて、心がけてほしいということです。
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<プロフィール>
福島隆史
TBS解説委員(災害担当)
長年、気象庁を担当
日本災害情報学会副会長
住吉美紀さん
フリーアナウンサー・文筆家
NHKアナウンサーとして人気番組を担当 2011年フリー転身
不妊治療など人生を赤裸々に綴ったエッセイ「50歳の棚卸し」が話題
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