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ほぼ独占…中国の「レアアース外交」めぐる交渉にトランプ大統領も“降参” 激しさ増す戦略資源の争奪戦 日本・南鳥島周辺にも存在か【サンデーモーニング】

海外
2025-11-02 14:04

先日行われた6年ぶりとなる米中首脳会談。会談は終始、中国ペースで進められた印象となりました。背景にあったのは、あの貴重な資源でした。


【写真を見る】部品開発メーカーのレアアース・フリーのモーター


中国の“独占状態” レアアースめぐり米中が駆け引き

30日に開幕した自動車の祭典「ジャパンモビリティショー」。話題の中心は、EV=電気自動車です。軽自動車やスポーツカータイプなど、海外メーカ-のEVが目を引く一方で、独自の取り組みをする日本企業も...


アステモ技術開発統括本部 高橋暁史ダイレクター
「こちらが、レアアース・フリーのモーターになります」


部品メーカーのアステモが開発したのは、“レアアースを使わない”EV用のモーター。実は、これまでEVモーターの磁石にレアアースは不可欠でした。


アステモ技術開発統括本部 高橋ダイレクター
「レアアースを使わない(モーター用)磁石にすると、十分な加速ができない。それでも同じ性能を出せるように開発している。供給リスクのない、安定的な材料を使ってモーターをつくるという戦略を立てて、開発している」


「産業のビタミン」事実上の“中国独占”のいま

レアアースは17種類の元素の総称。半導体からスマートフォン、EVまで様々な製品に欠かせず、「産業のビタミン」とも呼ばれています。そうした重要な資源を何とか、なしで済まそうと努力する日本企業。背景にはレアアースが事実上、一国に独占されている現状があります。


アメリカ トランプ大統領
「彼はとても手強い交渉相手だ」


30日に行われた、6年ぶりの対面での米中首脳会談。焦点となったのは、9月に中国が輸出規制を表明したレアアースでした。


中国 習近平主席
「世界の2大経済大国として、時おり摩擦が生じるのは当然のことでしょう」


結局、輸出規制の導入は1年間見送ることで合意。9月、トランプ氏が主張していた、100%の追加関税は取り下げとなりました。


中国メディア「アメリカは降参するしかない」

関税を武器に、強気一辺倒で接してきたトランプ氏。しかし今回は中国に押し切られた形となり、中国メディアは「レアアースという一撃を食らったら、アメリカは降参するしかない」と報じたのです。


現在、レアアースの世界におけるシェアは、中国が採掘で約7割、精錬で9割以上を占め、ほぼ独占状態にあります。


レアアースの世界シェア(2024年)
▼採掘
・中国:69.2%
・米国:11.5%
・ミャンマー:7.9%
出展:USGS“Mineral commodity summaries 2025”


▼精錬
・中国:91%
・マレーシア:4%
・ベトナム:1%
出展:IEA“Global Critical Minerals Outlook 2025”


東京大学エネルギー・資源フロンティアセンター長 中村謙太郎 教授
「この中に含まれているレアアースを処理、精錬して工業用に使う。レアアースは、特に分離する所が難しくて。放射性廃棄物の問題もあって、中国しか精錬していなかったので、中国は技術も良くしてアップグレードしている。そこが中国の優位性」


「日米共同で一緒に力を合わせ…」 軍事的な重要性も高まる

こうした中国による戦略的な「レアアース外交」は、以前から見られました。


すでに1990年代、中国の最高実力者、鄧小平氏は「中東には石油があり、中国にはレアアースがある。レアアースによって優位性を発揮できる(1992年)」と明言。


2010年に起きた尖閣諸島沖での漁船衝突事件でも、中国は、日本向けレアアースの輸出を事実上停止し、日本に圧力をかけました。さらに中国は、近年、戦略資源として、レアアースの国家ぐるみの管理・統制を強めています。


笹川平和財団 小原凡司 上席フェロー
「2024年には『レアアース管理条例』をつくった。共産党の許可なしに、勝手に売り買いできない。アメリカも、中国がレアアースを外交カードとして使える状況は変えたいと考えているのでは」


トランプ氏も打開探る 日本にも眠る“レアアース”

中国独占の状況を打開しようと、トランプ氏はオーストラリア、マレーシアなどと、レアアース開発に関する協力で合意。


日本との間でも...


高市総理(28日)
「日米共同で一緒に力を合わせて開発をしていく」


高市総理とトランプ氏の初の首脳会談。レアアースの供給確保ための共同文書に、日米が署名します。


高市総理
「南鳥島周辺海域にとてもたくさんのレアアース泥がございます。こういった重要鉱物・資源について、日米共同で一緒に力を合わせて開発をしていく」


日本でも、南鳥島周辺海域に眠っているというレアアース。


東京大学 中村教授
「他の国にもあるレアアースの鉱石じゃなくて、海底にある泥(レアアース泥)なんです。実用化を真剣に考えないといけない段階」


激しさを増すレアアース争奪戦。一方で、中国の優位は、当面変わらない上に、軍事的な重要性も高まっていると専門家はいいます。


笹川平和財団 小原上席フェロー
「レアアースがないと、今の最先端の武器は製造することはできない。誘導システムやセンサーシステムなどを搭載するが、こういった中にも多くのレアアースが使われている。ミサイルが正確に目標に当たるか当たらないかは、レアアースに大きく依存している」


ウクライナ戦争・台湾問題は表面的な融和にとどまる

今回の米中首脳会談で、中国側に歩み寄らざるを得なかったトランプ氏。にもかかわらず、帰りの機中では...


トランプ大統領(30日)
「今回の会談は10点満点中12点だ」


上機嫌で自画自賛。ところが、その一方で...


――ウクライナ戦争や台湾問題については?
「基本的な協議はしたが...アジアの気流は荒いな」


トランプ氏は、「ロシアとウクライナの戦闘停止を巡る米中の協力について話し合った」と説明しましたが、「中国によるロシア産石油の購入停止や、懸案の台湾問題は話題にならなかった」としています。


結局、トランプ氏の2026年4月の訪中が約束されるなど、表面的な融和にとどまったのです。


戦略資源を巡って、一時休戦の形となった2つの大国。その間に潜む多くの問題は解決されないままです。


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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