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無線LANは何でも速いわけじゃない! 無線LANの歴史と進歩を知って有効に使おう

2016-10-10 10:00:00

私たちが通常Wi-Fiと呼んでいるものを、無線LANのことだと思っている人も多いですね。実は厳密にはそうではなく、機器同士の互換性を証明するための規格なのです。

同じWi-Fiロゴが貼ってある機器同士であれば、問題なく接続できるという意味になります。

ただし、Wi-Fiロゴと言っても、現在では数種類が存在しており、同じ規格に対応していないと機器同士の接続ができません。

一方、無線LANの規格は、IEEE(アイトリプルイー)という団体が決めています。IEEE802.11X(Xはアルファベット)といった表記を見たことがある人も多いのではないでしょうか。これが無線LAN規格の正式名称です。

IEEE802.11規格の歴史

無線LANの規格であるIEEE802.11で本格普及が開始されたのがIEEE802.11b(通信速度11Mbps、2.4GHz帯)と呼ばれる規格です。これが1999年の10月。ほぼ同時期にIEEE802.11a(通信速度54Mbps、5GHz帯)という規格も登場しました。

IEEE802.11bは、屋内外で自由に使えるという理由から、普及が一気に加速します。同時に登場したIEEE802.11aに関しては、屋内で利用するには免許不要で運用できましたが、日本においては一部の周波数帯で屋外利用に関して免許が必要だったため、使い勝手の優れるIEEE802.11bが一気に普及しました。

しかし、11Mbpsという速度が遅いという問題があったため、より高速通信が行える規格へと移行していきます。

下位互換性を維持しつつ高速化

IEEE802.11bの11Mbpsでは、使用するデータ量が増えてきたことから速度的に遅く、速度向上を目指して最大54Mbpsに高速化されたIEEE802.11gが登場します。

この規格はIEEE802.11bの上位互換となるためIEEE802.11b対応の機器でも接続できるメリットがあります。利用する周波数帯も2.4GHz帯です。

ただし難点もあり、IEEE802.11gだけで接続している場合は、最大54Mbpsですが、1台でもIEEE802.11b機器が混ざると最大11Mbpsへと低下してしまいます。

この規格より一部のメーカーになりますが、MiMo(Multiple Input Multiple Output)と呼ばれる技術が登場し、54Mbpsの2倍となる108Mbpsでの接続をサポートしました。

大幅な高速化を実現したIEEE 802.11n

無線LANが一気に高速化したのがIEEE 802.11nという規格からです。こちらは、IEEE802.11b/gで利用される2.4GHz帯に加え、IEEE802.11aで使う5GHz帯の両方をサポートしています。そして複数のアンテナを束ねて通信し、速度を高速化するMiMoにも対応しています。

IEEE802.11nの基本速度は最大300Mbpsへと一気に高速化されました。

なお、通常20MHzのところを2倍の40MHzで駆動するオプション動作に対応している機器では、300Mbpsの倍となる600Mbpsでの通信をサポートします。

最新のIEEE802.11acでは、なんと最大6.93Gbps

現在のIEEE802.11規格の中で最新となるのがIEEE802.11acと呼ばれる規格です。こちらは2.4GHz帯は利用せず、5GHz帯のみを使っています。

MiMoや周波数の倍速駆動といった最新技術の採用により、IEEE802.11acの最大通信速度は実に6.93Gbpsへと高速化されています。

有線LANで速度が1GbpsのギガビットLANを大きく超える速度により、一般家庭では有線LANを構築するよりIEEE802.11acで無線LANを構築したほうが快適なネットワーク環境を実現できるところまで、進歩しています。

最新の無線LANルーターは、複数規格に対応

いまさらIEEE802.11bの機器を自宅の無線LANに接続することはないと思いますが、高速とはいえ、5GHz帯のみを利用するIEEE802.11acだけで無線LANネットワークを構築するとなると、デメリットも生まれます。

パソコン、スマホ、タブレットといった機器も、最新のIEEE802.11ac対応製品である必要があるからです。

常に最新のパソコンやスマホなどを利用しているという人は問題ありませんが、古い機器も併用して使用している人がほとんどでしょう。

IEEE802.11g/nといった通信が必要な端末も、現役で利用していることでしょう。つまり、複数規格が混在してしまうわけです。

そこで規格の異なる複数端末でも接続できるように、最新のほとんどの無線LANルーターは、ほぼすべての規格をサポートしているというわけです。

また、無線LANルーターが何年も前のモデルだった場合、最新のモデルに買い替えるだけで、自宅の無線LAN環境が高速化されるので、速度が遅いと感じている人は、最新の無線LANルーターを導入することをおススメします。

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情報提供元: クチコミ.jp

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