最速のSDカードとは?4K動画時代の次世代メモリーカード規格「UHS-II」は買いなのか
2017-04-12 10:00:00
デジタルカメラ用のメモリーカードとして広く普及しているSDカードは、価格と容量だけではなく、スピードも異なることをご存じだろうか?
高速連写が可能なカメラや4K動画など、高画質な動画撮影に対応するカメラが増えたことで、容量と速度が今後のSDカード選びの重要なポイントとなる。
今回は、SDカードの次世代の規格である「UHS-II」について検証を行っていく。
SDカードは、数百円で購入できる安価なものから数万円もするものまで様々だ。この価格の違いは容量とスピード、そして使用されるパーツの信頼性・クオリティによるもので、大容量で高速なSDカードほど高価になっていく。
一般的なコンパクトデジカメであれば、安価な16GBのSDカードでも千枚以上保存できるので、容量的には問題はないだろう。
しかし、高画素の一眼カメラやデータサイズの大きいRAW形式での撮影では、容量だけではなくSDカードのスピードも重要になってくる。
具体的には、SDカードの書き込み速度が特に重要だ。
SDカードの速度を表す規格として、6MB/sを表す「Class 6」や10MB/sを表す「Class 10」表記が行われてきた。写真のSDカードには、Cマークのなかに10という数字で表されている。
さらに速度上げるために作られた規格が、「UHS」規格である。対応するハードであれば、高速な読み書きが可能となる。
現在主流となっているのが「UHS-I」規格で、多くのデジタルカメラやビデオカメラが「UHS-I」規格に対応している。
このUHS-I規格には、さらに速度を向上させた30MB/sを実現する「Class 3」がある。SDカードの表記としてはUマークの中に3と表示されている。Class 1の場合は保証される書き込み速度は10MB/sとなり、右下のSDカードがそれにあたる。
なにやら複雑な規格だが、要するにどれ位の速さで読み出せて、どれ位の速さで書き込めるかを表したものだ。
多くのSDカードには○○MB/sと表記があるが、これは読み込みの最大速度だ。デジタルカメラでの撮影ではこの数値ではなく、書き込みの速度を重視すべきである。
製品によっては書き込み速度を明記しているものもあり、写真では、「R95・W60MB/s」や「READ90 WRITE45MB/s」と明記しているものがある。この「WRITE」の数字が大きいSDカードを選ぶということがポイントだ。この数字は、パッケージに明記している場合もある。
プロ仕様の高画質ビデオカメラなど、さらにスピードが要求される市場に合わせて次世代規格「UHS-II」が作られた。写真では、左上のSDカードがそれにあたる。読み込み速度最大「280MB/s」の表記があり、右隣にある「95MB/s」表記のUHS-I規格SDカードの約3倍の速度を実現している。
UHS-II規格は、従来のカードと互換性を保ちつつ、高速化のための新たな端子が増えている。
それでは、UHS-IカードとUHS-IIカードの速度はどれだけ違うのか検証してみよう。ハードディスクやSSDなどのベンチマークソフト「CrystalDiskMark」を使用する。
UHS-I規格の「Sandisk Extreme Pro 64GB」は、最大読み込み速度95MB/s、書き込み速度90MB/sの表記がある。ベンチマークでは最大速度はでないものの、書き込みでは80MB/s以上を実現しており、4K動画撮影なども余裕でこなすことができる。
UHS-II規格の「Sandisk Extreme Pro 32GB」は、最大読み込み速度280MB/s、書き込み速度250MB/sの表記があるが、ベンチマークではUHS-Iカードを下回る結果となった。
この検証に使ったカードリーダーはUHS-IIに対応しておらず、結果としてUHS-Iの約半分の速度しか出ないことがわかった。また、HS-II非対応のカメラでも書き込み速度の低下があった。
続いて、UHS-II対応のカードリーダーで検証したところ、読み込み、書き込みともに3ケタとなった。しかしながらカタログスペックにはほど遠く、問題点はSDカードなのかカードリーダーなのか、まだ検証する必要がありそうだ。
ちなみに、UHS-II対応のカードリーダーでUHS-I規格のSDカードリーダーを読み出してみたところ、若干速度の向上が見られた。このことから、速度はカードリーダーの性能も関係しているようだ。
パナソニックのUHS-I U3対応のSDHCカードは、4K動画撮影で必要な30MB/sの書き込み速度は出ているものの、サンディスクのSDカードと比較すると静止画の連続撮影では書き込み待ち時間が発生してしまう。
このようにUHS-Iカードと一口に言っても、書き込み速度が異なるため実際の使用感に差が現れてくる。買い換えることが少ないSDカードだけに、書き込み速度が速い製品を選びたい。
UHS-II非対応のカメラでは逆効果になることもあるが、読み込み速度は大きなデータをPCに取り込む際に効果が実感できる。
UHS-Iカードでは読み込み速度が80MB/s程度で数十GBに及ぶ動画データなどの読み込み時間に差が出る。
今回の検証では、UHS-II規格に非対応の機器では、デメリットがあることがわかった。現状では、価格が手ごろになったUHS-Iカードの中から高速書き込みタイプの製品を選ぶことは間違いではないように思う。
将来的にUHS-II対応のカメラへの買い換えを検討中、もしくは動画撮影がメインでPCへの取り込み時間を短縮したいのであれば、UHS-IIカードを選ぶのも良いだろう。
情報提供元: クチコミ.jp