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春のメンタル不調…対策は早めが鉄則。適度な「ズボラ」も大事!

2019-05-21 18:30:05


執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
この春、多くの新入生や新社会人の方が新たな生活をスタートされたことと思います。
あるいは、家族の学校や仕事の変化に伴い、生活環境や生活リズムが変わったという方もいるでしょう。
そんな新生活に「慣れたかな」…と思った矢先、精神的な症状として現れるのが五月病です。
一般に五月病は、3月や4月から始まる不調の蓄積が関係しているといわれています。
今回は、春のメンタル不調や対策について考えていきましょう。

生活パターンの変化によるストレスの大きさ


冒頭でお伝えしたとおり、春は多くの方の生活が変化する季節といえます。
新しい環境に慣れる、新しいやり方を覚える、新しい人間関係を構築するなど、神経を使うことが増えると、そこには精神的ストレスも加わります。
それでは、どのくらいのストレスがかかるのでしょうか。
精神科医の夏目誠氏は、ライフイベントごとに受けるストレスの度合いを点数化した「ストレス評価表」を作成しています。
このストレス評価表では、ストレッサー(ストレスの原因となるもの)ごとに0~100点(基準は50点)でストレスの度合いを評価します。
勤労者を対象に実施したストレス評価表を参照すると、「会社を変わる(64点)」「転職(61点)」「人事異動(58点)」「配置転換(54点)」「抜擢を伴う配置転換(51点)」など、とりわけ春に多くみられるイベントも含まれています。
意外に思われるかもしれませんが、「会社を変わる(64点)」は、「自分の病気や怪我(62点)」や「300万円以上の借金(61点)」などよりもストレス度は高いのです。
また、ストレス評価表には「息子や娘が家を離れる(50点)」「子どもが新しい学校へ変わる(41点)」といった項目も含まれており、家族の変化もストレッサーとなり得ることがわかります。
さらに、こうしたストレスが複合して起こると、身体に不調をきたす可能性がでてきます。
この表によると、過去1年間に経験したストレスの合計得点が高いほうが、翌年に健康被害が現れるリスクが高くなっています(合計点数が300点以上でリスクは80%、150~299点でリスクは50%、150点未満でリスクは30%)。
このように、春はストレス要因となるライフイベントが多いのですが、必ずしもそれだけが春のメンタル不調の原因とはいえません。
なぜなら、春特有の気候も関係しているからです。

春のメンタル不調…原因は生活の変化だけじゃない


春という季節の特徴といえば寒暖差です。
大きな寒暖差が生じると、身体は体温を維持するために働かなければなりません。
とくにヒトの体温調節に大きく関係している自律神経は影響を受けます。
この自律神経は、体温調節以外にも体内のさまざまな器官と連携して、身体機能をコントロールする役割を担っています。
ですから、自律神経がダメージを受けると、倦怠感や肩こり、冷え、消化機能の不調、めまい、頭痛などの身体的症状、やる気の低下、落ち込み、イライラなどの精神的症状などの不調が現れるようになります。
3月や4月になると「なんとなく体調が悪い」と感じる人も多いと思いますが、それは春が持つ独特の気候が影響している可能性も高いのです。

早めの対策で予防をしよう


ストレスによる心身の不調は、当然ながら原因であるストレスを小さくすれば防ぐことができます。
しかしながら、春という気候の特徴を変えることは不可能ですし、仕事や学校などのイベントもこちらの都合ではなかなか避けられません。
そこで、基本的な対策をご紹介します。

(1)生活リズムを整え、睡眠を十分に確保する


ごく基本的な生活習慣とはいえ、日々の疲れを残さないことが健康維持につながります。
また、休日は生活のリズムが崩れやすく、とくに長いゴールデンウィークなどは注意が必要です。
せっかく4月に整った生活リズムが壊れないように、起床時間や就寝時間を大きく乱すことなく、日中も外出や運動をするなど適度に身体を動かしましょう。
ゴールデンウィークの後半になっても、平常から逸脱したダラダラ生活を続けていると、休み明けの不調を招きます。

(2)意識的にリラックスする時間を持つ


とりわけ4月に環境の変化があった人は、次々と新しいことに直面し、慣れよう・こなそうとしていつも以上に心身が緊張しています。
自分では「ちゃんと休めている」つもりでも、知らず知らずのうちにストレスが蓄積されているかもしれません。
好きなことに没頭する、お風呂にゆっくり浸かる、気心の知れた人とおしゃべりするなど、意識的にリラックスする時間を作りましょう。
また、適度な「ズボラ」も大切です。
周囲から「真面目」「頑張り屋さん」「完璧主義」などと言われたことがある(もしくは自覚がある)人は、ちょっとだけ手抜きをしてみると緊張が緩むと思います。

(3)必要以上に新しいことを始めない


新年度のスタートとともに高揚感や期待感も高まり、何か新しいことに着手しようとする人も多いようです。
ところが、たとえ前向きな気持ちで始めたとしても、頑張りすぎは禁物です。
なかでも4月から生活パターンが大きく変わった人は、自分が思っている以上にエネルギーを使っている可能性があり、他にも頑張る要素を作ると心身に悪影響を及ぼしてしまいます。
ですから、まずは身体が新しい生活に慣れることに専念して、生活のリズムに余裕ができてから、新たなことに挑戦してみてください。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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