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「ペットロス」とはどういうこと?症状や対策

2016-10-30 18:30:23


執筆:伊坂 八重(メンタルヘルスライター)
ペットを飼う人が増える一方で、「ペットロス」という言葉を耳にすることも多くなりました。
ジュディ・オングさんや太田光代さんなど、芸能人でもペットロスを公表し話題になりました。
では、そもそもペットロスとはどんなもので、どうしたら抜け出すことができるのでしょうか。
詳しくお話していきましょう。

ペットロス症候群とは?


「ペットロス」とは「ペットとの死別や生き別れによって生じる深い悲しみ」のことをいいます。
可愛がっていたペットを失うわけですから、ペットロス自体は少しも不思議なことではなく、またこれ自体が病気とはいえません。
ところが、なかにはダメージが大きいあまり、ココロやカラダにさまざまな症状をきたす人がいます。このようなペットロスによっておこる心身の症状のことを総称して「ペットロス症候群」といいます。
「ペットロス」という言葉は、1970年代のアメリカで生まれましたが、日本で注目されるようになったのは2000年頃からといわれています。
この背景として、少子高齢化や晩婚化などの社会構造の変化によって、ペットを家族のように(またはそれ以上に)愛する人が増えたことが関係していると考えられます。ペットを愛する人が増えた分、ペットロス症候群も増えてきたということですね。
最近では、伴侶のように一生をともにするペットのことを表す「コンパニオン・アニマル(CA、伴侶動物)」という言葉も登場してきています。この言葉は、人間にとってペットの存在が大きくなっていることを象徴しているともいえるでしょう。

ペットロス症候群の症状


ペットロス症候群になると、当然ですが深い悲しみに襲われます。
そして、泣き続ける、眠れない、食欲がない、食べ過ぎる、疲労感が大きい、息苦しい、胃や身体が痛むといった症状が現れます。
さらにこれが悪化すると、情緒不安定になったり、うつ病や摂食障害(拒食症・過食症など)の精神疾患を引き起こすこともあります。また、精神的な負担が身体症状となって現れることもあり(心身症)、消化器系などの病気に至る人もいます。
「ペットを失うのだから、少なからずこういう不調をきたすのでは?」こんな疑問を持つ方もいることでしょう。
確かに愛するペットを失ったのですから、このような不調をきたすことは不思議ではありません。
しかし、このような症状が1か月以上続くようであれば、生活に支障をきたすことも考えられます。一度かかりつけ医や心療内科・精神科などに相談してみましょう。

ペットロス症候群から抜け出す4つの回復プロセス


ペットロス症候群から立ち直るまでには、次の4つのステップを経験するといわれています。

ステップ1:ショックのあまり、事実を認められない


ペットを失ったことを受け入れられない「否認」という経験です。ペットロスを事実のものと受け入れられるようになることで、次の段階に進むことができます。

ステップ2:絶望と悲しみの日々


ペットを失った現実を受け入れると、今度は絶望と悲しみの日々が続きます。
このステップを抜け出すためには、自分の素直な気持ちを周りに表現することが必要です。
悲しみを表現する方法にはいろいろありますが、最近ではペット葬が気持ちを表現できる場として注目されているようです。

ステップ3:少しずつ回復していく


ペットがいない環境に徐々に慣れていくことで、少しずつ回復していくステップです。
回復することで、現在の状況や将来にも目を向けられるようになっていきます。

ステップ4:もとの生活へと戻る


ペットを失ったことを思い出として整理できるようになります。
これらのステップは、必ずしも「 1 → 2 → 3 → 4 」というように、一方向に進むわけではありません。実際には、行ったり来たりしながら、時にはスキップしたり同じステップを繰り返したりしながら回復していきます。

ペットロス症候群を悪化させないために


では、ペットロス症候群から早く抜け出す方法はあるのでしょうか?
ある研究で、「ペットをなくした悲しみからの立ち直りのきっかけ」についてアンケート調査を行いました。その結果、半数以上の人が「時間の経過、自然と、特にない」と答えました。
この結果からもわかるように、多くの人が時間が経過する中で、だんだんとペットを失った事実を受け入れられるようになるのです。
そのため、残念ながらペットロス症候群を早く抜け出せる魔法のような方法はありません。ただ、事前の対策で悪化を防ぐことはできるかもしれません。
これまでの研究で、事前に心の準備ができていない人のほうが重篤なペットロス症候群に陥りやすいことがわかっています。突然の死別や事件・事故の場合には難しいですが、今後ペットと別れをどう迎えるべきか、ペットを失う前から少しずつ考えてみることで、重篤なペットロス症候群を防げるのかもしれません。
<執筆者プロフィール>
伊坂 八重(いさか・やえ)
メンタルヘルスライター。
株式会社 とらうべ 社員。精神障害者の相談援助を行うための国家資格・精神保健福祉士取得。社会調査士の資格も保有しており、統計調査に関する記事も執筆。

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情報提供元: mocosuku

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