コンタクト、今日は痛い!? これどうして?
2016-11-06 12:00:12
執筆:井上 愛子(保健師)
「いつものように目の中に入れたはずなのに、なんか今日は目が痛い!」
コンタクトレンズユーザーであれば、このような経験が一度はあるのではないでしょうか?
最近では、視力が悪くなくても、いわゆるカラコン(カラーコンタクト)などを使っている人も増えてきています。
今や日常生活に欠かすことのできないコンタクトレンズと大事な目のことについて、改めて学んでいきましょう。
コンタクトをつけるということは…
いわゆる黒目部分を「角膜」、白目部分を「結膜」と呼びます。
角膜は、次の3層から成り立っています。
上皮:最表面で細菌やウイルスの侵入を防ぐバリア機能である
実質:角膜の大半を占めていて外からの光を屈折させる
内皮:角膜内の水分を適切に保つポンプ機能を持っている
このうち、目の最表面で直接外界に触れている上皮は非常に敏感で傷つきやすく、肌の数百倍も痛みを感じやすいといわれています。
コンタクトレンズは、このように繊細な角膜の上にのせるものです。
つまり、レンズユーザーはこの敏感な部分に触れながら、レンズをつけたり外したりを繰り返しているということになるのです。
痛みは目からのSOS
レンズの着脱、レンズの汚れ、目を覆うことによる酸素不足などは、知らずしらずのうちに目の負担になっています。
そのため目に特別悪いことをした記憶がなくても、日常から傷がつくリスクがあるのです。
ただし、角膜上皮は再生能力がとても高く、小さな傷であれば数日もすれば元に戻るのが一般的です。このとき、痛みがあるにも関わらずレンズを使い続けると、回復が妨げられ、症状が悪化する恐れが高まります。
角膜上皮の下の層である実質にまで症状が進むと、視力低下の可能性があるだけでなく、最悪の場合は「失明」といったことにもなりかねません。
違和感や痛みがあるときは、目からのSOSだと思って、しっかり目を休めましょう。
角膜を傷つけないためには
角膜を傷つけないためには、目を乾燥から守ることが重要です。
涙は角膜とレンズの間で、クッションの役割を果たしています。涙の量が少なくなるとレンズによる刺激を受けやすくなります。
また角膜には透明性を維持するため血管が通っていません。そのため、血管ではなく涙から栄養補給し、大気中から酸素を取り込んで必要なエネルギーを得ています。
ですから、涙はとても重要な働きをしているのです。
コンタクトレンズをしていると、目が乾燥しやすくなります。人口涙液などの目薬を使うなどして、乾燥しないように気をつけましょう。
また、1日使い捨てではないレンズを使用している人は、レンズの汚れで目に負担をかけないように、使用しているケア剤に合わせて、正しいケアを行うことも大切です。
そして、装用前にはレンズに異状がないかよく確認してから目に入れましょう。
痛みが続くときには眼科受診を!
痛みが徐々にひどくなる場合や、翌日になっても痛みが引かない場合には、すぐに眼科を受診するようにしてください。
角膜は透明なので、自分自身で目の状態を確認することができません。痛みは、あくまでも目の安全を確認するための判断材料のひとつです。痛みを感じていなくても、目の病気が潜んでいることもあります。
そのため、目に異常を感じなくても、数か月ごとに眼科での定期検診を受けて、自分の目の状態を把握することが大切です。
またレンズが装着できない場合に備えて、眼鏡の度数調整も行いましょう。
カラコンの登場でますます使う人が増えているコンタクトレンズ。
視力矯正の目的で使う場合にも、ファッションとして使う場合にも、角膜のことをよく理解した上で、無理せずに使っていきましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
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情報提供元: mocosuku