E START

E START トップページ > マガジン > えっ、ほくろが増えてる… 皮膚がんの可能性は?

えっ、ほくろが増えてる… 皮膚がんの可能性は?

2016-11-14 12:00:02


執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
いつの間にか顔や腕にほくろができている…
そんなことはないでしょうか。ほくろと皮膚がんには密接な関係があるということはご存じですか?
なので、ご自分のほくろが病的なものかもしれない、と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
今回はほくろについて、その種類や見分け方の区別など解説していこうと思います。

皮膚の構造


皮膚は表皮・真皮・皮下組織の構造から成り立っています。
それらの中には血管やリンパ管、神経系、皮脂腺、汗腺などの付属器があり、お互いに関わり合いながら機能しています。
表皮は、厚さが0.2㎜ほどの薄い膜のようになっています。
また、角層・顆粒層(かりゅうそう)・有棘層(ゆうきょくそう)・基底層(きていそう)の4層から成り立っています。
そのうち、基底層にはメラノサイト(色素細胞)があり、紫外線から身体を守るメラニン(色素)を合成しています。

ほくろとは


 
ほとんどの人には、いくつかのほくろがあります。日本人の平均個数は10個位です。
できる時期は、小児期から思春期にかけてですが、一生増え続ける人もいます。
ところで、ほくろとシミはどう違うのでしょうか。
ほくろもシミもメラニン色素で出来ている点は同じです。異なるのは、シミはメラニン色素が沈着したものであるのに対し、ほくろは、その沈着したメラニン色素が集中したものである点です。
ですから、ほくろは少し盛り上がっているのです。

ほくろの種類


ほくろには単純黒子と色素性母斑(しきそさいぼうぼはん)、老人性色素班(ろうじんせいしきそはん)の3種類があります。
一般的なほくろは、色素性母斑のことをいいます。
これはメラニン色素を持つ母斑細胞の増殖で、生まれつき皮膚に存在しています。これが何らかのきっかけでメラニン色素を産生すると、小さな褐色や茶色の色素斑(しみ)として、目で見えるようになります。
母斑細胞の数が増加すると、皮膚から盛り上がったほくろになってきます。
メラニンを作り出すメラノサイトが皮膚のごく浅い部分にあり、メラニンを生成したのが単純黒子です。
色は薄茶色から黒いものまでさまざまです。大きさも1~2mmと小さいものが多いですし、盛り上がっていたりと、形もさまざまです。
ほとんどのほくろは、放っておいても何の問題もありません。
ほかにも「老人性血管腫」と呼ばれる赤みがかったホクロや、濃く青みを帯びた「青色母斑」と呼ばれるほくろなど、さまざまな種類があります。色や大きさがそれぞれ違います。

ほくろの原因


ほくろの原因は、おもに紫外線を浴びることです。
紫外線によって皮膚のメラノサイトが活発になり、メラニン色素ができます。
メラニン色素は皮膚を守るために必要なものです。ですが、増えすぎると体外に排出できなくなって、ほくろができるのです。

病的なほくろ


ほとんどのほくろは医学的には何の問題もありません。
ただ、なかには皮膚がんの一種である「悪性黒色腫」である場合があり、メラノーマと呼ばれています。メラニン色素を含むメラノサイトが悪性化して腫瘍になったものです。
これは悪性度の高い腫瘍で、発生すると進行が速いのが特徴です。罹患率の男女差はほとんどありません。60~70代の老年期に発症する確率の高い病気です。
発生率は、紫外線に弱い白人のほうが高くなります。黄色人種である日本人の発生率は比較的低いですが、死亡率が非常に高い疾患です。
そのため、日ごろから自分の身体に注意を向ける必要があります。
注意すべきほくろの症状として、次のようなものがあります。
・急に濃くなってきて、色が変わってきた
・急に大きくなってきて、目立つようになった
・ほくろと普通の肌との境目があいまい
・急に硬くなった
・足の裏にできた、爪の中や口の中にできた

これらがある場合は、皮膚科を受診してみてください。
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー

関連記事

情報提供元: mocosuku

人気記事