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動物、環境、状況…「限局性恐怖症」は人によってさまざま

2016-11-26 21:30:08


執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
限局性恐怖症の症状 とはどのようなものでしょうか。
「高所恐怖症」や「閉所恐怖症」など、「○○恐怖症」という言葉は一般でもよく使われており、「○○が苦手」といった程度の感覚を指して使われることも多いですね。
しかし、実は「○○恐怖症」というのはれっきとした精神疾患名です。
現在は、さまざまな恐怖症をまとめて「限局性恐怖症」と呼び、「不安障害」のカテゴリーに分類しています。
今回は、この限局性恐怖症について説明していきましょう。

限局性恐怖症:日常生活に支障をきたすかどうか


限局性恐怖症の特徴は、他人にとっては何でもないものごとが、本人にとってはすごく怖いという点です。
子供の頃に感じた恐怖感が大人になっても残る場合と、たまたま経験した恐怖がきっかけで、それ以降に恐怖症になる場合とがあります。
恐怖症は、それを回避したり耐えたりするなどしてやり過ごせる場合は特に問題視する必要はないでしょう。
しかし、恐怖症の症状によって日常生活に支障をきたす場合は、治療によって症状を押さえながら、克服していくことを目差します。

恐怖症の5つのタイプ


何を恐ろしいと感じるかは人によってさまざまで、細かく挙げていくとキリがないほどです。
しかし、おおむね次の5つのタイプに分けられます。限局性恐怖症の患者は、このような特定の対象や状況に対して、理由なく激しい恐怖を抱き、気分が悪くなる、吐き気やめまいに襲われる、パニック状態になる、失神してしまう──などの症状に悩んでいます。

動物型


犬・猫・ヘビ・ネズミなどの小動物や、クモなどの昆虫を恐れる

自然環境型


高所、嵐・雷・水など自然のものを必要以上に恐れる

血液・注射・外傷型


注射や血を見ることを怖がったり、ケガを恐れたりする

状況型


公共の輸送機関(飛行機や電車)、橋の上など高所、エレベーターのような閉所など、特定の状況がきっかけで恐怖が生じる

その他の型


窒息・嘔吐・病気に罹ることを恐れる、大きい音、仮装した人に対する子供の恐怖など

患者でなくても多い恐怖症


限局性恐怖症の生涯有病率(一生に一度は発症する確率)は、日本人の場合3.3%程度、欧米では10%程度と言われています。
男女比では女性が2倍、特に動物型・状況型・自然環境型で女性が高い割合を占めています。また発症年齢については、小児期と20歳代半ばの2つの時期にピークがあります(参考:『今日の精神疾患治療指針』医学書院)。
しかし、実際には限局性恐怖症の患者はもっと多いが、治療を受ける人が少ないだけという見解もあります。
理由は、一度怖い思いをしても、それ以降はそれに近づかない回避行動をとるケースが多いからです。
例えば、ヘビに対して異様な恐怖を感じる人は、ヘビが出そうな場所に近づかないことは、都市部に住んでいる場合はさほど難しいことではありません。

恐怖症の治療


不安や恐怖の発作が一度起こると、似た状況になった場合に再び発作に襲われるのではと不安になることを「予期不安」と言います。
恐怖症の人は前述したように予期不安によって対象を回避し、耐えている場合が多いのです。
けれども、それでは対応できない場合もあります。例えば、飛行機恐怖の人が海外に営業に行かなければならないとか、高所恐怖の人が高層ビルにオフィスを構えざるを得なくなった、などです。
実際に、こうした不可避的な状況に追い込まれて治療を受ける人が多いようです。
恐怖症の治療では、抑うつや不安の症状が顕著であれば薬物療法を受けながら、病気への理解を深めたり、精神療法が実施されています。
患者さんに十分な治療意欲が認められれば、軽いものから段階的に恐怖対象にあえて直面して、これを克服していく「暴露療法」も用いられます。また、予期不安を軽減するために「リラクゼーション」も効果的です。
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長

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情報提供元: mocosuku

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