地震保険に加入する基準とは?FPがわかりやすくアドバイス!
2021-12-29 19:30:41
今年もコロナ禍で大変な一年になりました。自然災害という点から振り返ると、直近10月に起きた千葉県北西部を震源とする強い地震によって東京23区で震度5強を観測したこともあり、「首都直下型地震」への危機意識が高まっています。そうした中、地震保険を見直してみるのもいいのではないでしょうか。これから地震保険を契約する人もぜひ参考にしてみてください。
■地震保険の加入率はどれくらい?
地震保険というと、賃貸物件を借りるときには任意契約なので、契約していないという人もいるのでは? 実際、日本ではどのくらいの世帯が加入しているのでしょうか。
地震保険の基準料率の算定を行っている損害保険料率算出機構のデータでは、地震保険の普及度合いを示す、一つの指標である「世帯加入率」の推移をみてみると、1993年度の7.0%から27年連続で増加しており、直近の2020年度の世帯加入率は33.9%に。
もう一つ、地震保険の普及度合いを示す指標である地震保険の「付帯率」も、2003年度以降18年連続で増加し、2020年度は68.3%となっていました。
昔は、加入しないほうが多数派だったところ、現在では火災保険に加入している人のうち、7割近くが地震保険に加入しているのが現状です。
■戸建とマンション・男女・年代別の地震保険加入率
ところで、ソニー損保が、2020年から2021年にかけて、ある調査を実施しました。それは、火災保険に加入している持ち家世帯を対象にした調査データをもとに、さまざまな属性別の傾向を分析したものです。
結果、戸建の付帯率は90.4%、マンションの付帯率は85.4%となり、戸建のほうが多い結果に。
男女別に見ると、男性は付帯率88.1%、女性は付帯率87.5%と、大きな差は見られませんでした。
年代別に見ると、30代がトップで付帯率92.3%、次いで40代、50代、60代と続き、年代が若いほど付帯しているようでした。
■地震保険に加入する基準とは?
多くの人が加入していると知ると、地震保険に加入していない人は、焦ってしまったかもしれません。そこで、地震保険に加入する判断基準を、ファイナンシャルプランナーの土屋ごうさんに教えていただきました。
「『保険は本当に困る事態を回避するためにお金を払って備えるもの』という原則の、本当に困る事態に該当するので、基本的には加入することをおすすめします。
加入しなくてよいのは、
・万が一、家が地震で被災しても、直したり建て直したりする余力がある。
・津波の心配がないかつ、地盤が悪くない地域が前提で、自分の家が耐震性に優れており、周りの家も比較的新しく、家の建つ間隔が広い。
このような場合です。
マンションの場合、比較的新しいマンションならば耐震は問題ないと思いますが、地震による火事については検討しましょう。地震が原因による火事も地震保険でしか備えることができません。出火元が自分の家でなくても、火事の原因が地震なら地震保険のみしか対応できません。よって周りの家の状況も判断材料として大事になります」
■地震のリスクのチェック方法
地震保険は、基本的には加入したほうがいいようです。とはいえ、自分の住んでいる地域が、どのくらい地震のリスクがあるのか、調べておくのも大切。その方法をご紹介します。
地震のリスクに関しては、発生の予測が困難なこともあり、必ずしも水災リスク等が確認できるハザードマップのような形では用意されてはいません。
そこで、自分の居住地域の地震リスクをチェックする方法として、防災科研が公開している「地震ハザードステーション」で確認する方法があります。これは、今後30年間で震度6以上の揺れに見舞われる確率を地域ごとにチェックできるものです。
ただし、地震保険については、全国どこでも強い揺れに見舞われる可能性があります。地震ハザードステーションを見て、自分の居住地域における地震の確率が低いから安全とは限りません。ですので、地震保険の加入や補償内容の検討は、慎重に検討しましょう。
■地震保険を安く抑えるには?
地震保険に加入する際に、気になるのが保険料。地震保険はどうすれば安く、必要な補償を受けられるでしょうか。土屋さんに伺いました。
「地震保険を安くするには、耐震性の強い家を建てて証明を取り、割引を受ける必要があります。地震保険は、『安くする』という観点よりは、地震に強い家を建てたり、強い地域を選ぶということも大切だと思います。そのうえで保険を加入するか考えるとよいです」
地震保険料を削減しようというよりも、まずは地震に強い家や地域に住む、建てるといった選択が必要であるようです。
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地震の不安が日本中で高まっている今、地震保険加入は最低限、必要なことかもしれません。もちろん、防災グッズの準備や避難経路の確認などの準備も合わせて行っておきたいですね。
【取材協力】
土屋ごうさん
(株)FCTGファイナンシャルプランナーズ 代表取締役 CFP(R)
FPとして独立11年目のFP。有料相談数500名超。リテラシーの高い人が繰り返し相談に来るハイクオリティなFPとして個人相談を中心に活躍中。
FCTGファイナンシャルプランナーズ(https://www.fctg-fp.net)
【出典】
損害保険料率算出機構「グラフで見る!地震保険統計速報」(https://www.giroj.or.jp/databank/earthquake.html)
ソニー損保「火災保険の加⼊状況に関する調査」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000063966.html)
【参考】
防災科研「地震ハザードステーション」(https://www.j-shis.bosai.go.jp/)
情報提供元: マガジンサミット