結婚生活は「バツあり同士」のほうが上手くいく?
2016-12-07 21:30:08
執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
晩婚化や離婚率の増大など、結婚を取り巻く状況が変化するなか、結婚のかたちは多様化しています。
厚生労働省の「人口動態統計の年間推計」によると、平成26年の離婚件数は22万2000組。そして、男性の18%、女性の16%が再婚を果たしています。
今回は「再婚同士の人が幸せになる条件」について、心理学的な分析をしてみようと思います。
【条件1】理想と現実のギャップに強い人
離婚を経験した者同士が上手く理由のひとつは、“現実的な確かな目”で相手を選んでいるからです。
初婚同士の結婚生活が破たんする大きな要因に、理想と現実とのギャップがあります。
ところが離婚経験がある人は、結婚生活とはどのようなものなのか、メリットについてもデメリットについても良く理解しています。
理想と現実のギャップにショックを受けることも少なく、一歩一歩より良い状態に近づいていく冷静さを持ち合わせています。
【条件2】共感的な人
人は失敗経験が多いほど共感的になれます。
一度失敗したことで、失敗の痛みや頑張っても失敗はしてしまうことなどを知り、失敗に対して寛容になることができます。
相手の失敗に対しても責めたりせずに、むしろ共感し、穏やかな生活を続けやすくなります。
結婚生活の中ではお互いに衝突することだってあります。そのとき、「許せない!」となるか、そうならないかは大きな違いです。
誰にだって欠点はあります。トータルで問題がなければ、部分的な欠点に目をつぶることができるのは、一度結婚生活を経験し、何度も苦しい思いをしてきた結果といえるでしょう
【条件3】体験から学べる人
昔の教育法は「座学」と言って机の前でテキストを読みながら先生の講義を聴くというものでした。
しかし最近は、経験することを通して学ぶ「体験学習」が盛んです。
実際に現場で経験をしてみると、当然のことながら上手にできて「良かった」ということもありますが、失敗して「くやしい」思いをすることで、次に失敗をしないためには、という改善力や予測力が高まるということが可能になります。
結婚生活に関しても、一度目の結婚が二度目の結婚を実りあるものにする先行学習になる可能性があります。体験を学びに変えられるという条件で、離婚もまた新たな結婚生活の糧となり得るのです。
【条件4】「正の転移」が可能な人
離婚経験が意味を持つのは、ポジティブな学びに変えられるかどうかにかかっています。
例えば、英語を学んでいたことが、中国語を学ぶのに役立ったというような場合、以前の経験が次の経験に活かされています。
このことを心理学では「正の転移学習」といいます。
反対に前の経験が次の学習を邪魔することを「負の転移」と呼びます。
再婚が成功するためには、過去の経験が正の転移をし、失敗が活かされることが条件になるでしょう。
【条件5】自分を知った人
失敗経験は、心理的に「痛い」経験です。
できることなら二度と見たくない、再び経験したくない、と思ってしまっても不思議ではありません。その失敗が大きいほど、その傾向は増すかもしれません。
失敗は「キズ」を受ける経験であり、それが大きければ「トラウマ」となってしまう場合さえあります。
離婚経験が単なるキズでしかなく、「独りは寂しい」という理由でなんとなく再婚する人は、同じ失敗を繰り返すリスクが高いといえます。
これに対して、結婚と離婚を経験し、何度も傷つき、欠点を含めて「自分を知った」人は、失敗から学んだ改善法によって新しい関係を作っていくことができるでしょう。
このように一度結婚生活を経験している人は、再婚によって素敵な家庭を築くことのできる可能性を持っています。
「再婚同士は上手くいきやすい」といわれますが、離婚経験のあるすべての人に当てはなるわけではありません。
当然のことですが、上手くいくかどうかは相手の人柄に左右されます。それを判断するために、ここで紹介した条件を参考にしていただければと思います。
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
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情報提供元: mocosuku