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お鍋や煮込みの「アク」、なぜアク取りは必要なのか

2016-12-08 18:30:09


執筆:永吉 峰子(管理栄養士)
厳しい寒さの日が多くなってきました。それは「お鍋」の美味しい季節だということ。
そんなお鍋や煮込み料理で出てくるアク、きちんと取っていますか?
実はアクの成分は、体に悪い影響を及ぼしてしまうこともあるのです。
今回はそんなアクについて、管理栄養士が解説いたします。

そもそもアクとはなに?


アクとは食べ物の中に含まれている苦みや渋み、えぐみなどの総称です。
アクには色々な成分がありますが、人間が「まずい」「不快」と感じる成分を総称してアクと呼んでいます。

お魚やお肉のアクの成分はたんぱく質


お肉やお魚を加熱した時にでるアクは、灰色や茶色の固まりになってお湯に浮かんできます。
固まりになるのは、お肉やお魚のアクの成分にたんぱく質が含まれているからです。またアクの出方は、加熱している水や調味料の種類に影響を大きく受けるとされています。
アクが固まりになって出てくるため、取り除かないとざらざらとした食感が残ってしまいます。
固まりの中にはたんぱく質以外にも不快に感じる成分が含まれますので、しっかりと取り除くようにしましょう。
アク取りを使って取り除く他、煮込み料理であればクッキングシートなどをうまく活用すると簡単にアク取りができます。

お野菜のアクには有害物質が多い


植物は草食動物などの外敵に食べられないよう、苦みや渋みの成分を蓄えています。
また“もし食べられても栄養分にならないよう、消化吸収を妨げる物質を蓄えている”ものもあります。そしてこれらの成分が、人間にとってのアクとなるのです。
その為、アクはただ味を悪くしたり変色させたりするだけでなく、人間の消化吸収を妨げたり、攻撃したりといった害を及ぼすこともあります。
また植物性のアクには、まだ作用が明らかでない成分もあると言われています。

野菜の渋み・タンニンの作用


野菜の渋みの成分のであるタンニンには、鉄の吸収を妨げる作用があります。
鉄とタンニンが結びつくと、水に溶けにくくなってしまい、人間が利用することができなくなってしまうのです。鉄は女性が不足しがちな成分で、不足すると貧血になります。
貧血気味の方は、しっかりとアクを処理するようにしましょう。また、タンニンはお茶やワインにも含まれているの、摂りすぎないよう注意が必要です。

ほうれん草にはここに注意


シュウ酸は、ほうれん草に含まれているえぐみの成分です。
シュウ酸を摂りすぎたり、水分の摂取が極端に不足したりすることが続くと、腎臓付近で結石になってしまうことがあります。
シュウ酸結石は下半身に激痛が走ることが多く、できた場所によっては尿の流れが止まってしまうこともあります。また、1度結石を起こすと再発をしやすいと言われています。
シュウ酸のもう1つの作用は、カルシウムの吸収阻害です。
これはシュウ酸がカルシウムと結合しやすい性質の為、カルシウムが体に吸収される前にシュウ酸と結合して排出されてしまうのです。
カルシウムは日本人に不足している栄養素の1つですし、特に女性はカルシウム不足で骨粗鬆症になりやすいと言われているので注意が必要です。

ほうれん草のシュウ酸を取り除くには


ほうれん草からシュウ酸を取り除くには、多めの熱湯で30分~1分ゆで、流水でしっかりと洗い流すことが必要です。シュウ酸は水に溶けやすいのでたっぷりのお湯でゆでることと、ゆでた後はしっかりと洗い流すことが大切です。
昔に比べてほうれん草のえぐみが少なくなったと言われていますが、含まれるシュウ酸の量には個体差があります。
特に1度結石を起こしたことのある方や、骨粗鬆症になりやすい女性は注意しましょう。また、生で食べる場合はえぐみの少ないサラダほうれん草をおすすめします。
いかがでしたでしょうか。
アク取りのひと手間をかけて、よりおいしくて安心なお料理を作ってみて下さいね。
<筆者プロフィール>
永吉峰子(ながよし・みねこ)
管理栄養士。大手小売企業にて店長、商品開発を経験後、現在は「健康」「食」に関する執筆を中心に活動中

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情報提供元: mocosuku

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