人間の気持ちは「色」からどのような影響を受けている?
2016-12-13 18:30:44
執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
「ブルーな気持ち」「真っ赤な嘘」など、私たちは、気持ちや状況を色でよく表現します。
また最近では、自分に合う色を見つけるパーソナルカラー診断に人気が集まるなど、色に興味を持っているひとは多いようです。
色は私たちの身体や心にどのように関わっているのでしょうか?
ご一緒に詳しく見ていきましょう。
色をどのように認識している?
私たちはどうやって色を認識しているのでしょうか?色とはなにかを語る上で、「光」と「視覚(眼と脳の働き)」の理解が欠かせません。
私たちの身の回りにあるさまざまなモノは、光を受けるとこれを吸収・反射し、反射光が眼に入ることで色を認識しています。そして、眼球の奥にある網膜(もうまく)に達し、そこにある視細胞(視細胞)が光を感じとります。
視細胞には、錐体(すいたい)と杆体(かんたい)との2種類がありますが、色をとらえているのは錐体細胞の方で、光の3原色と呼ばれる、赤・緑・青を感じ取る3つの錐体細胞があります。
こうして視細胞でとらえられた光は、脳に送る信号に変換され脳に送られます。そこで初めて色を認識することができます。
つまり、「光源」「視覚」「物体」の3つの要素が揃って、はじめて色を見ることができるのです。
色がもつイメージと感情
色に関する情報を受けとった脳は、単なる色としてだけではなく、さまざまな情報と結びつけて色を認識していると考えられています。
今までに経験して蓄積されている情報から、その色がもつイメージを連想したりします。有名な例のひとつが色の寒暖感です。おもに青系は寒色、赤系は暖色、緑や紫は中性色と呼ばれます。
このような色がもつイメージは、色彩心理の効果として、マーケティングなどでよく用いられます。
たとえば、赤色や橙色は暖かいイメージからホットドリンクに、青色は冷たくスッキリしたイメージから水やスポーツドリンクに用いられることが多いです。リアルに温度を感じるのは五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)のうちの触覚ですが、色で表現することで、触れなくても視覚で温度を感じさせることができるのです。
ほかにも、暖色は食べ物を美味しく見せて食欲させるとして、飲食店のイメージカラーとしても好まれています。
イメージに影響するもの
自然界の色の影響として、黄色と黒色の組み合わせは、スズメバチを連想する警告の色として工事現場などで使われたりします。
そのほか、文化や宗教、伝統なども色に影響します。
たとえば日本人は太陽を赤で描く人が多いですが、西洋では黄色で描かれます。そのわけについて「日本人は国旗の日の丸を連想するから」「西洋人は占星術の影響があるから」という説もあります。
また3色を表す言葉として、フランス語のトリコロールは青・白・赤を指しますが、イタリアでは、「トリコローレ」といって緑・白・赤のことを指します。このように、色はさまざまな要素が影響して表現されます。
色について知ることで、人間が色にどんな気持ちを託しているのかが、具体的にわかるようになりますね。
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku