「人酔いだ…」混んでいる場所は気分が悪い、原因と予防策
2016-12-31 12:00:48
執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
たくさんの人で混雑した場所に出かけると具合が悪くなるという人、少なくないですよね。
年末年始は、初詣や初売りなど、人混みの中に出かける機会が多い時期です。
そこで今回は、人混みに行くと具合が悪くなるのはなぜか、そしてそれを防ぐにはどうすればいいのか、ご紹介しましょう。
人酔いの原因は「血管迷走神経反射」か
人混みで気分が悪くなる、いわゆる「人酔い」は、医学的に定義されている症状ではありません。
このため一言では、言えない部分もありますが、「血管迷走神経反射」(けっかんめいそうしんけいはんしゃ)がその原因だという見方があります。
血管迷走神経反射とは、簡単に言うと「自律神経」の切り替えが狂うこと。自律神経には、血圧や心拍数を上げて身体を活動的にする「交感神経」と、血圧や心拍数を下げて身体を沈静させる「副交感神経」の2つがあります。
普通、私たちは活動するときには「交感神経」を働かせ、休んだりリラックスしたりするときに「副交感神経」を働かせます。
ところが、本来「交感神経」を働かせなければいけないときに、何らかの理由で「副交感神経」が優位に働いてしまうことがあるのです。
すると、急激に血管が拡張して血圧が下がることで気分が悪くなり、めまいや吐き気、頭痛などが起こり、時に失神することもあります。小学校や中学校の集会で時々、倒れてしまう人がいますが、あれは、まさにこの血管迷走神経反射のせいなのです。
こまめに休憩するのがいちばんの予防
血管迷走神経反射が起こる原因は、主にストレスだと言われています。
このため、予防するには「自分にとってストレスになる状況を避ける」ことが重要になります。
つまり、人酔いをする人はストレスとなる人混みに行かないのがベスト……。ですが、そうもいかない場合もあるでしょう。そういう時は、少しでも気分が悪くなりそうだと感じたら、すぐに人混みから離れて休みましょう。
また、普段から人酔いしやすいという自覚がある人は、症状がなくてもこまめに休憩をとるのがお勧めです。とはいえ、休むといっても具体的にはどうしたらいいのでしょうか?
ポイントは「いまの環境を変えて休む」
一番いいのは、身体を横にして休むことなのですが、外出先などではそうもいきませんよね。
例えば、初詣などで長時間外にいる場合は、カフェなどの室内に入って座ってお茶を飲むのは有効です。
逆に店やショッピングモールなどの屋内にいる場合は、外に出て新鮮な空気を吸うと効果的。血管迷走神経反射による症状は、少し休めば予防や回復可能なので、とにかく気分を変えてひと息つくことが大切です。
ちなみに、周囲の温度が高いほど血管迷走神経反射が起こりやすいという説もあるので、暑いと感じたらコートや上着を脱ぎましょう。人混みに行く日は温度調節しやすい服装をし、冷たい飲み物を持って出かけるとベストと言えます。
一緒に出掛ける人への配慮も忘れずに
こまめな休憩や温度調節を心がければ、混んでいる場所ももう怖くありません。
もちろん、一緒に行く人には、「私は人混みで気分が悪くなりやすいんです」と話して協力してもらう必要があるでしょう。
本格的に気分が悪くなったら相手に迷惑をかけてしまうので、大ごとになる前に「ちょっとお茶飲まない?」や「座って休んでもいいかな」など、自分のほうから提案することも大事です。
<参考>
医療法人和楽会 フクロウblog『血管迷走神経反射について(ケセラセラVol.76)』(http://www.fuanclinic.com/blog/?p=628)
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku