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糖尿病に前兆はある? 原因や予防法をご紹介

2017-01-12 21:30:08


執筆:桜 イクミ(管理栄養士)
医療監修:株式会社とらうべ
生活習慣病のひとつである糖尿病。
糖尿病には合併症のリスクもあることから、注意したい病気のひとつでもあります。
はたしてどのような症状が出たら気をつけなければいけないのか、糖尿病の前兆について詳しく解説していきましょう。

糖尿病ってどんな病気?


糖尿病は糖が身体でうまく使われない病気で、いわゆる血糖値が高い(血液の中の糖が多い)状態が続きます。
血糖は、血液中のブドウ糖のことです。
ブドウ糖は、身体の細胞でエネルギーを作ります。このエネルギーを使って生命活動を続けるために、身体は常に血糖値を調節しています。血糖値を調整する役割が、インスリンです。
たとえば食事をとることで、血液中の糖の量が増え、一時的に血糖値が上がります。すると、血糖値を下げるためにすい臓からインスリンが分泌されます。
このように、健康であれば、血糖値は一定の値に保たれます。
糖尿病は1型、2型、特定の疾患によるものに分かれます。
そのうち、生活習慣病といわれる糖尿病は2型のことです。2型糖尿病はインスリンの分泌が減ることや、働きが悪くなることが原因で起こります。
この病気は遺伝的要因もありますが、肥満、食べ過ぎ、運動不足、ストレスなどの生活習慣などの要因が加わることで発症します。そして、血糖値が高い状態が長年続くことによって、合併症にもつながります。
今回は、この2型糖尿病についてお話しましょう。

診断基準


糖尿病の自覚がなく、健康診断で指摘されるというケースはよくあります。健康診断での血液検査や尿検査の基準を知って、自分自身の数値を把握しておくとよいでしょう。
1.空腹時血糖値
採血当日の朝食をとらずに血糖値を測定します。早朝空腹時血糖値126mg/dl以上で基準を超えていると判定されます。
1回では糖尿病と診断はされないため、もう一度検査が必要です。糖尿病の境界型で、精密検査や生活習慣改善が必要な数値は110~125mg/dlとなっています。
また、100~109mg/dlは保健指導などの対象で、生活習慣の改善が必要になります。
2.HbA1c
過去1~2か月の推定平均血糖値をあらわすものです。国際基準値(NGSP値)の場合、数値によって次のように判断されます。

6.5%以上


糖尿病と判定します。

6.0~6.4%


境界型と判定され、精密検査や生活習慣改善が必要になります。

5.6~5.9%


保健指導などの対象で、生活習慣の改善が必要になります。
3.尿糖
腎臓は糖の量が多いと、尿と糖を一緒に出します。尿検査で、尿糖がプラスになると糖尿病の可能性があり、さらに精密検査が必要になります。

糖尿病の前兆は?


糖尿病は自覚症状がほとんどないため、発症していても気がつきにくいことが特徴です。
健康診断の採血で血糖値が高め、糖尿病の境界型といわれた方はとくに注意が必要です。糖尿病の前兆の可能性がある場合、身体にどのような変化が起こるのか、みていきましょう。
1.体重の大きな変化
体重が大きく増えることで、インスリンの必要量が増えて効きも悪くなります。これが糖尿病の引き金になることもあります。また、血糖値が高いと、糖がうまく使われないことから身体の組織を使ってエネルギーを作るため、体重の著しい減少がみられることもあります。
2.尿の量・回数が多い
尿と一緒に糖をだそうとし、尿の量や回数が増えやすくなります。また、糖が尿と一緒に出るため、尿が甘酸っぱいにおいになります。
3.のどが渇く
尿がたくさん出るために、脱水状態になります。そのため、のどが渇きます。
4.倦怠感
糖がうまくエネルギーとならないためにエネルギーの不足につながり、倦怠感を感じることもあります。
5.食べても空腹感がある
糖がうまく細胞にとりこまれず、エネルギーにならないことから、空腹の信号が脳に送られてしまいます。
糖尿病は前兆がないのが特徴です。
上記に挙げたものは、日常生活を送っていると特別なこととは感じられず、無自覚で過ごしてしまうことが多いものです。
ですから、血液検査や尿検査でプラスの反応が出た場合は充分に注意して過ごしましょう。

糖尿病予防のカギ


糖尿病は肥満、食べ過ぎ、運動不足、ストレスなどの生活習慣が誘因となります。中でも、とくに大きく関わるのが、食事・運動・休養の習慣。
それぞれのポイントをみていきましょう。

食事


食事は食べ過ぎを防ぎ、バランスのよい食事を心がけることが必要です。肥満にならないようにごはんやパン麺類などの炭水化物の多い食品や油っこいもののとり過ぎにも気をつけましょう。
また、血糖値を上げやすい甘いお菓子やジュース、スナック菓子などをたくさん摂る習慣がある方は注意しましょう。

運動


運動習慣を日頃からつけるようにしましょう。肥満の予防、改善や糖をうまく代謝させるためには、歩く、軽いジョギング、自転車などの有酸素運動を積極的にとりいれましょう。

休養


ストレスも糖尿病の引き金になります。睡眠時間が短いと食欲や血糖値が不安定になりやすいため、睡眠はしっかりととるように心がけましょう。
<執筆者プロフィール>
桜 イクミ(さくら・いくみ)
管理栄養士・健康運動指導士・フードスペシャリスト
株式会社 とらうべ 社員。病院での栄養管理・栄養指導の経験を経て、現在は企業で働く人の食と健康指導を行っている
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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