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「うつ病の診察」 で、自分の症状を伝えるために

2017-02-02 18:30:04


執筆:伊坂 八重(メンタルヘルスライター、精神保健福祉士)
医療監修:株式会社とらうべ
憂うつな気分や何に対しても意欲が湧かない状態が1日中続き、それが2週間以上にわたって改善されないようであれば、あなたは「うつ病」かもしれません。
うつ病は放っておいても治らないので、早めに精神科や心療内科を受診することが必要です。
では、医療機関を受診する時、自分の症状をどのように伝えればいいでしょうか?
ご一緒に考えていきましょう。

病院へ行ったら、何でも話そう


「病院では聞かれたことに答えればいい」というイメージは、年配の方に多いかもしれません。
けれども、最近の医療のあり方は以前とは大きく異なります。たとえば、順天堂大学病院では、「患者さんへのお願い」と題して、次のような掲示が出されています。

「患者さんへのお願い」(抜粋)
・良質な医療を実現するために、患者さんのご自身の健康に関する情報をできる限り正確にお話しください。
・医療に関する説明を受けられてご理解できない場合は、納得できるまでお聴きください。
・治療上必要なルールは、お守りください。また、治療を受けていて不安をお感じになりましたら、すぐにお知らせください。


このように、自分の症状だけでなく、関連すると思われることなら何でも話していいよ、というのが最近の方針です。
もちろん、病気に関係ありそうならプライベートなことも詳しく話すことで、治療を効果的に行える可能性があります。
その際、プライバシーは厳守されますので、安心してください。

自分の状況を整理してノートに書いていく


精神科や心療内科では、まずは看護師やソーシャルワーカーなどから質問を受ける「問診(インテーク)」が行われます。
問診では、つらいと感じている症状、ストレスとなっている生活上の出来事、過去や現在にかかっている病気、自分の性格、家族のことなどを尋ねられます。
場合によっては、症状とその程度を調べるためにチェックリストが用いられることがあります。何項目かの質問に答え、当てはまる項目の数などから、うつ病の可能性があるのかどうかや、症状の重さはどれくらいかを判断するための参考として用いられます。

うつ病の診察



次に、医師による診察が行われます。
医師は、問診の結果をもとにしながら、症状や生活の状況などについて詳しく聞いていきます。
うつ病は脳内の神経伝達物質が減ってしまうことで、気分の落ち込みや意欲低下を招くと考えられています。そのため、症状に関する質問は、抗うつ剤などの決定に関係します。
また、うつ病はストレスが引き金になることが多いため、生活についても詳しく聞かれます。
診察のときには、あなたが話す内容だけでなく、表情や話し方、服装などもみながら、病気の可能性があるのかどうかを医師が総合的に判断していきます。また、甲状腺機能低下症など、うつ病と間違われやすい病気もあるため、必要に応じて検査が行われます。
医療機関によっては、あなたのことや症状をよく知るために、家族が同席することもあります。

そんなに長い時間は費やせない


とはいえ、診察の時間はそれほど長くありません。
長くてもせいぜい30分くらいでしょうか。そのため、「あれも言いたい、これも聞いてほしい」というわけにはいきません。
そしてもし、診察以外でライフヒストリー(生活史)を明らかにする必要があると判断された場合には、医師ではなく、臨床心理士などによるカウンセリングなどが行われることもあります。
診察でも、カウンセリングでも、決められた時間内でより多くの情報を効果的に伝達することは、つらい症状を抱えている患者にとって、決して簡単なことではありません。
そのため、あらかじめノートなどに書いておいて持参することをおすすめします。
受診前に情報をまとめておくことで、自分自身の気持ちを整理することにもつながるでしょう。
<執筆者プロフィール>
伊坂 八重(いさか・やえ)
メンタルヘルスライター。
株式会社 とらうべ 社員。精神障害者の相談援助を行うための国家資格・精神保健福祉士取得。社会調査士の資格も保有しており、統計調査に関する記事も執筆
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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