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オフィスや電車で「理想的な座り方・立ち方」

2017-02-19 18:30:04


執筆:森 ジュンヤ(理学療法士)
長時間座る・立つといったときの姿勢は、ときに腰痛や肩こりの原因につながるといわれます。
それは姿勢が血圧や筋肉の緊張と深い関係があるからです。今回は「理想的な座り方・立ち方」についてご紹介いたしましょう。
姿勢はあなどれない!からだに及ぼす影響は意外に大きい
よい姿勢・わるい姿勢。今回のテーマは座っているとき、あるいは立っているときの「姿勢」がテーマです。
姿勢は腰痛、肩こり、頭痛などの原因につながります。
近年のライフスタイルでは、生活にしても仕事にしても長時間座ったまま、立ったままの姿勢になりがちです。
大学生を対象とした研究調査によると、約半数以上が姿勢がわるいと自覚していて、そのうち背中・腰・肩などに痛みや違和感などを感じている人は約3〜5割とも報告されています(※)。
長く同じ姿勢をキープしつづけること、とくにその姿勢がわるいとき、からだにかかる負担は一般に考えられている以上に大きいものです。
姿勢がからだにあたえる影響として、血圧、心拍数、脈拍などの変化があります。
たとえば座っている姿勢ひとつとっても、脚を伸ばして座るか、椅子に腰掛けるように膝を曲げた状態で座っているかといったちょっとした姿勢の違いでも血圧、心拍数、脈拍あるいは血流などへの変化がみられることがわかっています。
ところで、肩こり・腰痛は日本人が自覚する症状のなかでもトップ2といわています。
男性でもっとも多いのが腰痛、次に肩こりです。女性では肩こりがもっとも多く、次いで腰痛とされます。
肩こり・腰痛の原因のひとつが姿勢不良によるものです。真っ直ぐに立ったときの姿勢に比べて30度くらい前かがみになると腰にかかる負担は約1.5倍大きくなります。
椅子に座っているときも同じく約1.5倍です。さらに座った状態で前かがみになると、立っているときより1.85倍も腰にかかる負担が大きくなります。
姿勢は肩や首にも影響します。
背中が丸くなる猫背の場合、頭が前に突き出した状態になりやすいです。一般的な大人だと頭の重さや5〜6kgほどなので、これは2Lペットボトルの3本分くらいの重さです。
これだけの重さがありますから、前に突き出してしまえば支える首の筋肉が頑張ってはたらくことになります。
筋肉がギュッと収縮した状態が長くつづくと、血流がわるくなり筋肉はかたくなります。これが頭痛や肩こりの原因になることがあります。
こうしてみると、姿勢がからだに及ぼす影響は軽く見過ごすことができないものです。通勤中、仕事中、よい姿勢を意識しておくことは、肩こりや腰痛、頭痛といった不快感を予防できる可能性が高くなります。
では、具体的にはどんな座り方や立ち方に気をつけていればいいのか、理想的とされる姿勢についてみていきたいと思います。

理想的な座り方をみるポイントは3つ


理想的な座り方をみるとき、以下の3つの場所が一直線になることを意識します。
・耳
・肩(肩峰:けんぽう)
・骨盤(大転子:だいてんし)

座っているときに「正しい姿勢になっているか」をみるとき、この3つの部位を指標として、それが一直線になっていることを確認します。
ひとつは耳の中心です。
もうひとつは肩の突出しているところで、肩を触りながら腕を真横にあげたときに凹みを感じるところを基準にします。
そして骨盤は、骨盤と太もももつなぎ目の部分で、横から触ると出っ張りを感じます。大転子といわれる場所です。
この3つの場所が一本の真っ直ぐなライン上にならぶとき、それが理想的な座った姿勢となります。
【イラストで紹介】正しい座り方

理想的な立ち方をみるポイントは5つ


理想的な立ち方をみるとき、横からと後ろからの2つ見方があります。そのときに以下の5つの場所が一直線になることを意識します。
【横からみたとき】
・耳
・肩(肩峰:けんぽう)
・骨盤(大転子:だいてんし)
・膝(膝のお皿の後ろ)
・外くるぶし

【後ろからみたとき】
・後頭部の真ん中
・背骨
・お尻の中心(割れ目の部分)
・両方の膝の中心
・両方の内くるぶしの中心

後ろからみたときの姿勢は、自分で確認することが難しいですが、横からみときの姿勢は、鏡やお店のガラスに映った自分の姿として確認することができます。
【イラストで紹介】正しい立ち方
ここまで理想的な座り方・立ち方をみてきました。
姿勢は習慣になっているので、意識しないと良い状態にすることは難しいものです。
猫背などのわるい姿勢は、体幹の筋肉があまりはたらかないので、その意味ではラクな姿勢です。ですがその分、首や肩の筋肉が不自然に緊張してしまいます。
人間はラクな方へと流される傾向があるため、気を抜くとつい姿勢が崩れがちなのです。理想的な姿勢をキープすることは普段よりちょっと頑張って意識してみることが最初の一歩です。
はじめは違和感があるかもしれませんが、つづけていると姿勢の崩れに気づきやすくなります。
まずは、座っているとき、立っているとき、「今自分の姿勢大丈夫かな」とちょっと意識してみてください。
<参考文献>
・中村 隆一他(著):基礎運動学 第6版, 2003, 医歯薬出版
・Jane Johnson:セラピストのためのハンズ・オンガイド姿勢アセスメント, 2014, 医歯薬出版
・上舘 紀子他:長座位と端座位の座位姿勢のちがいが生体に及ぼす影響一自律神経活動指標と循環動態による検討一, 宮城大学看護学部紀要, 第11巻, 第1号, p1~6,
<執筆者プロフィール>
森 ジュンヤ(もり・じゅんや)
理学療法士国家資格取得。急性期総合病院、回復期リハビリ専門病院、訪問看護ステーションにて臨床経験を経る(現在10年目)。専門分野は保健衛生分野。現在は医療関連記事、動物臨床医学、保健衛生学についての執筆を行う。

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情報提供元: mocosuku

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