E START

E START トップページ > マガジン > 優しい時季の印象だけど、春は体調には厳しい季節?

優しい時季の印象だけど、春は体調には厳しい季節?

2017-03-20 21:30:46


執筆:吉村 佑奈(助産師・保健師)
医療監修:株式会社とらうべ
だんだん暖かくなって、春が近づいてくると、うれしい気持ちになる人も多いはず。
しかし、その一方で、春特有の体調不良に悩まされることがあることをご存知ですか?
なぜ春に体調不良が起こしやすいのか、その理由について考えてみましょう。

春特有の気候が体調を悪化させる!?


春は、気圧、気温、日照時間など、気候の変動が激しい季節です。
このような気候の変化は身体に次のような不調をきたします。

気圧の変化による身体の変化


春は、高気圧の後に低気圧がくるといったように、気圧の変動が激しい季節です。
ヒトの身体は、気圧が下がると、血管や細胞が広がって血液やリンパ液が流れるスピードが遅くなり、身体のだるさ、むくみなどの症状を起こすことがあります。
また、低気圧になると、地上の酸素濃度も薄くなります。
すると、身体もできるだけ酸素を使わないようにするため、エネルギーを温存させようと、副交感神経(リラックス時に働く自律神経)が優位になりやすくなります。
一方、高気圧になると、これと逆のことが身体で起こることになります。
気圧の変動が起こりやすい春には、度々このような変化が体内で起こることになります。
すると、自律神経の切り替えがうまくいかなくなり、だるい、やる気が出ないといった症状が現れやすくなります。

気温の変化による身体の変化


春は、気圧とともに気温の変化も現れる季節です。
「三寒四温」といわれるように、暖かい日が続いたと思ったら寒い日が続いてみたり、また、日中は気温が高いけど、朝晩は寒いといったように、1日の中でも気温の高低差が激しくなります。
自律神経は、身体の温度調節をする機能も持っているため、こうした寒暖差は2つの自律神経のバランスを乱す原因となります。

日照時間の変化による身体の変化


「春眠暁を覚えず」という故事が表すように、春は眠くて眠くてたまらない季節。
この理由について、暖かくなって眠くなるためと思っている方も多いでしょう。
実はそれだけではなく、日照時間が長くなることも関係しています。
日照時間が延びると、起床の時間が長くなったり、夜遅くまで起きているなど、活動のリズムも大きく変化します。
すると睡眠のリズムも乱れ、夜になってもなかなか寝付けない、あるいは朝になってもまだ眠いといったように睡眠の質も低下しやすくなり、日中のだるさや眠気の原因となります。
ここまで春に体に起りやすい変化の理由をご紹介してきました。
こうした体調不良は、巷では「春バテ」とも呼ばれているようです。
このような言葉が登場してきたということは、春が不調をきたしやすい季節であるという認識が広がっているのかもしれません。

ほかにもある!?春に体調不良が起りやすい理由


春は自律神経のバランスが乱れやすい時季である、とお伝えしてきましたが、実はほかにも春が体調不良を起こしやすい理由があります。

花粉症をきっかけとする体調不良が起りやすい


花粉症の代表的な症状といえば、目のかゆみ、鼻づまりや鼻水。
これらは花粉症の症状として広く認知されているため、点眼薬や飲み薬などで対処するほか、マスクなどの花粉症対策グッズを使って予防する方が多いでしょう。
ただ花粉症はこうした症状以外にも、鼻づまりからくる頭痛や喉の炎症といった症状が現れることがあり、ここから風邪のような状態になることもあります。
そのため、鼻をホットタオルで温めるなど、予防だけでなく、現れた症状に対してきちんと対処することも必要です。

ライフイベントによってストレスがかかりやすい


春といえば、卒業、入学、入社、転勤、引っ越しなど、ライフイベントが目白押しの季節。
個人差はありますが、こうしたライフイベントにともなう環境の変化は、少なからずストレスとなり、免疫力の低下やそれによる体調不良を引き起こすきっかけになります。
ゴールデンウィーク明け頃に現れる、やる気の低下や抑うつ症状、体調不良のことを一般的には5月病と呼んでいます。ただ3月~4月も、こうしたライフイベントによるストレスや疲労によって、免疫力が低下しやすく、体調不良を起こしやすい時季といえるでしょう。
このように、春は体調を崩しやすい季節です。
こうした不調を防ぐためには、季節の変化に合わせた体調管理が必要です。
たとえば、気温の変化に対しては、一枚羽織るものを持ち歩くなど、ちょっとした工夫を重ねることで身体への負担を軽くすることができます。
また、この時季はとくに睡眠の確保、適度な運動習慣、栄養バランスのとれた食生活を意識し、体調不良を招かないようにしましょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
助産師・保健師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

関連記事

情報提供元: mocosuku

人気記事