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ホントにツライ…花粉症に効くクスリはどれ?

2017-05-09 18:30:23


執筆:大田 あこ(薬剤師)

花粉症の季節はとても憂鬱な気分になるという方も多いのではないでしょうか?
鼻水、鼻づまり、くしゃみなど花粉症の辛い症状は早めの対処で軽減できるといわれています。
 
ここでは、花粉症に効く薬について解説します。

あらためて花粉症とは


花粉症とは、植物の花粉がアレルゲン(アレルギーの原因)となって、鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目のゆみ、充血といったアレルギー症状を引き起こす病気です。
「季節性アレルギー性鼻炎」ともいわれます。
スギやヒノキ、シラカンバ、イネ科の植物などの花粉が原因となることが多いです。

花粉症の症状はなぜ起こるの?


花粉が鼻やのど、目の粘膜から体内に入って、身体が花粉を異物と判断すると、花粉に反応するIgE抗体という物質が作られ、肥満細胞の表面にくっつきます。
肥満細胞とは、粘膜や血管の周りなどに存在する細胞で、細胞内にヒスタミンなどのアレルギーを引き起こす物質を含み、炎症反応やアレルギー反応を起こす役目をしています。
そして再び、同じ種類の花粉が体内に入って、花粉とIgE抗体がくっつくと、肥満細胞からヒスタミンなどのアレルギー症状を引き起こす物質が分泌されて、アレルギー症状を起こします。

花粉症に効くクスリはどれ?


花粉症は花粉によるアレルギーであるため、アレルギー反応を抑える薬に効果があります。
花粉症の治療には、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が用いられます。
花粉が飛び始める1~2週間前から薬の服用を始める「初期療法」を行うと、症状が出るのを遅らせたり、症状を軽くするといわれています。
毎年花粉症になるという方は、早めに受診し、花粉症の症状にあった薬を処方してもらいましょう。
それでは、病院で処方される薬や市販薬にはどのようなものがあるか見てみましょう。

病院で処方される薬にはどのようなものがある?


病院で処方される薬について主な症状別に見て見ましょう。

くしゃみ、鼻水に効果的な薬


第1世代抗ヒスタミン薬、第2世代抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬ともいいます)

鼻づまりに効果的な薬


抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2阻害薬、抗ロイコトリエン薬、第2世代抗ヒスタミン薬・血管収縮薬の配合剤

症状全般に効果のある薬


Th2サイトカイン阻害薬、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、ステロイド薬
さらに詳しく、それぞれの薬について解説していきます。

抗ヒスタミン薬


抗ヒスタミン薬には、第1世代と第2世代があります。
第2世代は、第1世代の眠気などの副作用を改善した抗ヒスタミン薬です。
第1世代は、ヒスタミンがヒスタミン受容体と呼ばれる器にくっつくのを阻害して、アレルギー反応が起きないようにします。
第2世代は、抗アレルギー薬ともいわれ、ヒスタミンがヒスタミン受容体にくっつくのを阻害する作用に加え、肥満細胞からヒスタミンなどのアレルギー反応を引き起こす物質が遊離するのを抑える作用もあります。

その他の抗アレルギー薬


●ケミカルメディエーター遊離抑制薬
ヒスタミンやトロンボキサン、ロイコトリエンなどケミカルメディエーターと呼ばれるアレルギーを起こす化学伝達物質の肥満細胞からの遊離を抑制し、アレルギー症状を抑えます。
●抗ロイコトリエン薬
ロイコトリエンがロイコトリエン受容体にくっつくのを阻害し、アレルギー症状を抑えます。
●抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬
炎症に関わるプロスタグランジンD2の受容体への結合やトロンボキサンA2の受容体への結合を阻害し、アレルギー症状を抑えます。
●Th2サイトカイン阻害薬
アレルギーに関わるTh2細胞と呼ばれるリンパ球から炎症を起こす物質が出されるのを阻害して、アレルギー症状を抑えます。
●ステロイド薬
重症の花粉症の場合に点鼻薬や内服薬で用いられる場合があります。
ステロイドの炎症を抑える作用やアレルギーを抑える作用により、アレルギー症状を抑えます。

血管収縮薬(点鼻)


鼻づまりは、鼻腔粘膜の毛細血管が拡がることで粘膜が腫れ、空気の通路が狭くなったり、塞がったりして起こります。
血管収縮薬により、血管を収縮することにより、鼻腔粘膜の腫れを抑え、鼻づまりを解消します。
血管収縮薬を含有する点鼻薬は、使用すると鼻づまりがすぐに解消されるため、1日の使用回数が増えがちです。
使用しているうちに効果が弱くなり、頻度がさらに増すといった状態に陥りやすくなります。
長期間頻回な使用で、逆に鼻腔粘膜が腫れ、鼻づまりはひどくなる場合がありますので、長期間の使用は避けましょう。
処方薬には、さまざまな種類がありますが、どの薬を選択するかは、医師が診察により症状や状態から判断されます。

市販薬にはどのようなものがある?


以前の花粉症に効く市販薬に含まれる抗ヒスタミン薬は、眠気の多いものでした。
しかし近年、病院で処方されている第2世代の抗ヒスタミン薬の中で、眠気や集中力低下、口が渇くなどの副作用が少ないもので、市販薬としても販売されているものがいくつかあります。
主なものをご紹介します。

アレグラFX(一般名:フェキソフェナジン)


久光製薬から販売されているアレグラFXと同じ成分の薬を、病院から処方されている方も多いのではないでしょうか。
(参考:http://www.allegra.jp/#top)

アレジオン20(一般名:エピナスチン)


エスエス製薬から販売されているアレジオン20は、1日1回寝る前の服用で24時間効果が続くのが特徴。飲み忘れのリスクが低くなるのはメリットですね。
(参考:http://www.ssp.co.jp/alesion/products/)

クラリチンEX(一般名:ロラタジン)


大正製薬から販売されているクラリチンEXも1日1回の服用で長く効きます。
(参考:http://www.taisho.co.jp/claritin/product/index.html?id=product)
市販薬の中で、症状を抑える効果の強さで薬を選ぶのであれば、第1世代の抗ヒスタミン薬配合のものや、第2世代でも眠気などの副作用が比較的出やすいものの方が効果は強い傾向にあります。
しかし、眠気などの副作用で日常生活に支障があっては困りますね。
眠気などの副作用が少ない薬は、効果もマイルドである傾向がありますが、抗ヒスタミン作用の他、アレルギーを起こす化学伝達物質の放出を抑える抗アレルギー作用もあるため、早めに服用することで、アレルギー症状の発生を抑え、より効果的に使用することができます。

抗ヒスタミン薬の副作用について


花粉症の治療薬として最もよく用いられる抗ヒスタミン薬の主な副作用は、眠気、集中力の低下、口渇などです。
中でも気になるのは眠気の副作用ではないでしょうか。
現在、眠気の出にくいタイプのものが増えてきていますが、副作用の出方には個人差があり、出やすい人、出にくい人がいます。
病院で処方される薬、市販薬、どちらについても、特に初めて飲む薬の場合は、車の運転や危険な機械操作、高所での作業は避け、眠気が起きないか様子をみるようにするとよいですね。
【参考文献】
・日本新薬株式会社『花粉症の初期療法』(http://www.nippon-shinyaku.co.jp/healthy/seasonal/contents_2_5_3.html)
・MSD株式会社『花粉なう』(http://www.kafun-now.com/knowledge/03.xhtml)
<執筆者プロフィール>
大田 あこ(おおた あこ)
薬剤師。某大学病院で調剤業務ならびに病棟薬剤業務に12年従事。現在は育児に奮闘しながら医療系記事の執筆を中心に活動中。

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情報提供元: mocosuku

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