夫婦の愛情を映画館で確かめあう…中井圭さんが選ぶ新作映画2選
2017-05-29 12:00:00
この記事で紹介されている映画の上映時間
- 『美しい星』 127分
- 『光をくれた人』 133分
『美しい星』
街を歩くと不満にぶつかるといっても過言ではないほど世知辛い世の中で「うちの家族は一切の曇りなく一枚岩で団結している」と断言できる家庭がいったいどれだけあるでしょうか。
映画『美しい星』で描かれる4人家族も、外からは何事もないように見えて、内部は破綻をきたしています。
父親は予報のひとつもハッキリと主張しないくせに若い子と浮気だけはやってしまう気象予報士で、母親は平凡な日々からマルチ商法にはまっていく専業主婦。
長男は自転車便をしながらも自分の立場に鬱屈とした思いと野心を抱え、長女は自分の美しさに引き寄せられる全てが許せない。
字面にするだけで既にややこしいこの家族ですが、その上、父が火星人、長男が水星人、長女が金星人であることに気づき、地球に生きる宇宙人としての使命に目覚めていくのです。
ここまで自分で書いていてちょっと頭がおかしくなりそうですが、非常にシュールな物語が展開されていきます。
では、なぜこの映画が、旦那さんと一緒に観たい映画なのかというと、本作の本質は、家族の再構築にあるからでしょう。
つまり、あの三島由紀夫が原作を書き、『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督が撮った本作が抱えたかなり飛躍した設定は、火星人の父を中心に環境破壊に警鐘を鳴らすなど(原作では核の脅威)、現実世界の危機について描かれてもいますが、家族とは一体何なのかという視点から離れることはありません。
この突拍子もない宇宙人設定によってハチャメチャな方向へと転がっていきますが、たとえ理想とかけ離れ、生きる道が破綻したとしても、互いを許し愛せるのが家族であり、それこそが美しいのだと映画は浮き彫りにするのです。
どれだけ仲の良い夫婦であっても、他人は他人。きっとお互い何かしらに不満もあると思います。
是非本作を観て、改めてお互いを許し愛してもらえればと思います。
『美しい星』
5月26日(金) TOHOシネマズ 日本橋ほか全国ロードショー
(C)2017「美しい星」製作委員会
配給:ギャガ
『光をくれた人』
もう一本、夫婦で一緒に観る映画として、夫婦の愛が試される、ある意味で究極的な視点から描いた作品もご紹介したいと思います。
それがマイケル・ファスベンダーとアリシア・ヴィキャンデル共演の映画『光をくれた人』です。
戦争で心に深い傷を負ったことにより他人とのかかわりを避けようと孤島の灯台守を引き受けた男が、偶然出会った美しい女性と恋に落ちる、いわゆるラブストーリーを思わせる序盤から映画は始まります。
しかし、彼らが待ち望んだ子どもにまつわる、ある地獄のような体験を経ていくことで、子どもへの執着と罪の意識にさいなまれる物語へと転調していくのです。
「え!地獄なの?夫婦で仕事終わりに一緒に観に行くにはちょっとパンチが効きすぎているのではない?」という指摘があるかもしれません。
しかし、この映画には夫婦にとって、もっというなれば人間関係において、重要な「赦し」が描かれています。
日本語タイトルである『光をくれた人』というのはなかなか上手いネーミングセンス。
つまり、誰が誰に光を与えているのか、そして光を与えられた人が何を学んでいくのかという点が、美しい自然を包む光と闇に溶け合って、大きなカタルシスを生み出しています。
愛ゆえに禁断の一歩を踏み出した妻を、妻に人生を救われたがゆえに止めることができない夫。
それぞれが抱えた愛と罪の果てに導かれる赦しに、深く感動するのではないでしょうか。
夫婦で一緒に本作を観ることでお互いの愛情を確かめ合い、上映後に語り合うことで赦しについて考えることができる作品なのです。
『光をくれた人』
5月26日(金) TOHOシネマズ シャンテ 他にて公開
配給:ファントム・フィルム
(C)2016 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC
関連記事
- michill12星座占い<2017/6/1‐6/14>
- ベランダガーデニングで見て楽しい、食べておいしいハーブライフ
- 好きな布とビーズで、カワイイ♪てるてる坊主ネックレス
- 手作りヘッドアクセサリー♡お花モチーフで大人可愛いを演出♪
- お金のことは苦手、では済まない時代
情報提供元: michill (ミチル)