“眠り”の病院? 「睡眠外来」とはなにをするところ?
2017-06-10 18:30:19
執筆:藤尾 薫子(保健師、看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
不眠や過眠など、睡眠障害にはさまざまなタイプがありますが、こうした睡眠障害を改善するために、専門医の検査・診療を受けられるのが睡眠外来です。
従来から、内科・心療内科・神経科・精神科などでも睡眠障害の治療はされてきています。
比較的最近になって、「睡眠外来」「スリープクリニック」と標榜されるところも多くなってきているようです。
睡眠外来:睡眠障害の専門的治療
「国民健康・栄養調査」(厚生労働省、2015年)によると、男性の37.7%、女性の43.0%が、睡眠の質に満足していないという結果が発表されています。
また、睡眠に関連するさまざまな障害を「睡眠障害」といいますが、多くの種類があって、「睡眠障害国際分類第2版」(2005年)では、85の睡眠障害が8項目に分類されています。
代表的なものは次の項目です。
不眠症
さまざまなタイプの不眠症
睡眠関連呼吸障害
睡眠時無呼吸症候群など
中枢性過眠症
ナルコレプシーなど過眠症
概日リズム睡眠障害
体内時計がおかしくなる睡眠障害
睡眠時随伴症
悪夢や麻痺など
睡眠関連運動障害
むずむず脚症候群など
このように、睡眠に関する不調や疾患は、悩んでいる人の数も障害の種類も多いことが特徴です。
そこで、これらの睡眠障害を改善するために、睡眠治療の専門医療機関としてできたのが「睡眠外来」です。
従来から神経科や心療内科などでも睡眠障害の治療は行われてきていますが、睡眠外来は睡眠障害の治療に特化した診療科です。
日本睡眠学会が認定している専門医が治療にあたっています。
睡眠外来の探し方
日本睡眠学会のウェブサイトを閲覧いただくと、認定されている睡眠治療の専門医や、お住まいの近くにある専門医の所属する医療機関を検索することができます。
あるいは、保健所や精神保健センターなど、相談機関で教えてもらったり、インターネット検索で探すこともできます。
「睡眠外来」「スリープクリニック」などとキーワードを入れてみましょう。
睡眠日誌のすすめ
睡眠外来の受診するにあたって、睡眠日誌を準備することが奨励されています。
次のような項目について、ふだんの記録をつけておいて、受診のさいに持参するとよいでしょう。
- ・就寝時間
- ・起床時間
- ・目覚めのよさ
- ・日中の活力
また、受診のさいには、次のような情報があると医師に正確な情報が伝わり、より精度の高い治療が迅速に行われる可能性があります。
睡眠日誌と併せて、メモなどで書きだして受診してみましょう。
- ・どのような不眠か(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害)
- ・いつ頃から睡眠に支障が出始めたか
- ・朝、太陽の光を浴びているか
- ・運動の習慣はあるか
- ・起床時間は一定か
- ・いびきはかくか
- ・寝る前にコーヒーを飲んだり、PCやスマホを操作しているか
- ・日中に強いストレスを感じることはあるか
- ・睡眠時に呼吸が止まっていると言われたことがあるか
【参考】
・日本睡眠学会『睡眠医療認定医リスト』(http://jssr.jp/data/list.html)
・東京睡眠医学センター・スリープクリニック『スリープクリニックってなに?』(http://www.sleepmedicine-tokyo.com/clinic/about.html?)
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお・かおるこ)
助産師・保健師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku