うなぎ味のなまず…? うなぎとなまず、どれだけ違う?
2017-06-22 18:30:58
執筆:永吉 峰子(管理栄養士)
暑くなる時期にかけて目にすることの多くなるうなぎ。
特に土用丑の日のうなぎは有名ですね。
最近はうなぎ価格高騰の影響で、うなぎのかわりになる「うなぎ味のなまず」が発売され話題になりました。
そこで今回は、うなぎとなまずの違いについて、栄養面を中心に解説したいと思います。
暑い時期にうなぎを食べるのは何故?
暑い時期にうなぎを食べるようになった理由については所説あります。
有名な説は、江戸時代に夏場ににうなぎが売れないことを悩んだうなぎ屋が、平賀源内(江戸時代に活躍した医者・学者)に相談し「土用丑の日にうなぎを」と宣伝したという説です。
土用丑の日とは、日本の季節に合わせて設定された節目の日、雑節の1つです。毎年7月下旬~8月上旬に設定されています。
うなぎの旬は冬で夏は味が落ちてしまいます。
また、かば焼きは濃い味付けであった為夏にはあまり売れませんでした。
しかし平賀源内はうなぎの豊富な栄養価に注目し、本格的な夏が来る前に是非うなぎを食べて夏バテ防止をと提案したのです。
夏バテ防止が期待できるうなぎの栄養成分とは?
ビタミンA
ビタミンAは粘膜の形成を助ける働きを持っていいます。
粘膜は免疫にかかわっているので、粘膜がしっかりと作られることで免疫力が強化され、夏風邪予防の効果が期待できます。
また、老化など体のダメージとなる活性酸素の発生を抑える抗酸化作用も期待できます。
ビタミンE
ビタミンEは血流をよくする働きがあります。血流がよくなると必要な栄養成分が細胞の隅々まで行き渡り、老廃物など不要なものがきちんと回収されます。
その為疲れにくくなるなどの効果が期待できます。
ビタミンA同様、抗酸化作用もあります。
ビタミンB群
ビタミンB群は、エネルギーの元になる炭水化物、脂質、たんぱく質の代謝に関与しています。
ビタミンB群を摂取することで、炭水化物、脂質、たんぱく質の代謝がスムーズになり、エネルギーがスムーズに作られます。
作られたエネルギーは疲労物質を取り除くためにも使われる為、疲労回復効果が期待できます。
脂質
うなぎには脂質が多く含まれています。脂質は1g当たり9Kcalと高カロリーですが、夏バテで食欲が落ち、エネルギーが不足している際は大切なエネルギー供給源になります。
特に食料の乏しかった昔は、脂質の多いうなぎは大切なエネルギーが供給源としてとらえられていたようです。
また脂質には、うなぎに含まれるビタミンAやビタミンEなどの吸収をよくする働きもあります。
このように栄養豊富なうなぎは夏に最適な食べ物です。
しかし現代で栄養が不足することは考えにくく、夏の風物詩として食べられている意味合いが大きいようです。
「うなぎ味のなまず」その正体とは
うなぎは養殖でも育てられていますが、卵をふ化させるのではなく稚魚を捕獲して育てています。
しかし、近年このうなぎの稚魚の漁獲量が減少しつつあります。
そのため、うなぎの価格が高騰、資源保護の観点からもうなぎにかわる魚が求められるようになりました。
そんななか、なぎの代替品として近畿大学が開発したのが「うなぎ味のなまず」です。
なまずは川魚なので泥臭く、これまであまり食用には向きませんでした。
そこで、うなぎに近い味になるようにエサなどを工夫し美味しく食べられるなまずが開発されたのです。
なまずとうなぎの栄養成分比較
一般的ななまずとうなぎの栄養成分を比較してみます。
カロリーはなまずの方が低い
カロリーを比較してみると、なまずの方が低いことがわかります。これは、なまずの方が脂質の量が少ない為です。
たんぱく質はなまずの方がやや多いので、なまずはうなぎに比べて「高たんぱく、低脂質、低カロリー」ということができます。
※可食部150g当たり
ビタミン類はうなぎの方が豊富
ビタミンの量を比較してみると、多くのビタミンの含有量がうなぎの方が多いことがわかります。
特に免疫機能に関与するビタミンAはうなぎはなまずの30倍以上となっています。
ビタミン類はうなぎのほうが豊富に含まれていますが、なまずはうなぎよりもヘルシーな食材であることがわかりました。
栄養素の不足よりも栄養過多による生活習慣病が問題になっている現代では「うなぎ味のなまず」はカロリーを抑えつつ、うなぎに似た味わいが楽しめる食材として注目されるかもしれませんね。
まだまだ市場に出始めたばかりの「うなぎ味のなまず」。
カロリーやビタミンなどの違いを知って、ご自分に合ったものを選んでみるのもよいかもしれませんね。
<筆者プロフィール>
永吉 峰子(ながよし・みねこ)
管理栄養士。大手小売企業にて店長、商品開発を経験後、現在は「健康」「食」に関する執筆を中心に活動中
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情報提供元: mocosuku