気になる「口臭」、男女での違い。 実は女性の方が…!?
2017-07-17 18:30:13
執筆:影向 美樹(歯科医師)
口臭の原因は様々ですが、そのメカニズムは男女で違いはありません。
ただ女性の方が男性よりもニオイに敏感です。
実際に日本歯科医師会が行った意識調査(※)においても、「自分の口臭が気になった経験がある」または「他人の口臭が気になった経験がある」と答えた人は、男性よりも女性の方が多く、女性の口臭に対する関心の高さがうかがえます。
女性はホルモンバランスによって体の状態が変化しやすく、どんなに注意していても普段より口臭が強くなる時期があります。
今回は女性の口臭が強くなるタイミングやその原因、対策などについてご紹介したいと思います。
女性の口臭はホルモンの影響を受けやすい
口臭の原因の1つは唾液の減少です。
唾液の量が減って口の中が乾くと、口の中を洗い流す自浄作用が働かず、口臭を強くしてしまいます。
その唾液の分泌を行う唾液腺はホルモンの影響を受けやすく、男性ホルモンや女性ホルモンは唾液の量や成分などの変化に大きく関わっています。
ただ男性よりも女性の方がホルモンの変動は大きく、女性は月経周期でホルモンの分泌量が常に変化しています。
さらに劇的な変動が起こりるのが妊娠時や閉経前後です。
女性はこのようなホルモンの変化によって唾液の量が減少する時期があり、そのタイミングで口臭が強くなります。
それでは具体的にどの時期に女性の口臭が強くなりやすいのか、以下で詳しくみていきましょう。
生理前・生理中
女性ホルモンの1つであるエストロゲンは排卵期をピークに減少しますが、その量が最も少なくなるのが生理前や生理中です。
エストロゲンが少なくなると唾液の量も減少するため口の中が乾きやすく、口臭が強くなる可能性があります。
妊娠中
女性は妊娠するとホルモンの量が通常の10~30倍にもなり、体に様々な変化がおこります。
中でも妊娠中に増え始めるのが口の中のトラブルです。
特にエストロゲンはある種の歯周病菌を増殖させ、口臭を強くします。
また食べ物の好みが変わったり、つわりなどによって口の中が不衛生になることも、妊娠中に口臭が強くなる原因です。
閉経前後
卵巣機能の衰えによって閉経前後に生じるのは女性ホルモンの急激な減少です。
それに応じて唾液の分泌量も減り、常に口が乾きやすい状態が続きます。
そのため口の中が不衛生になりやすく、口臭が強くなります。
ストレスも口臭の原因に
女性の社会進出は目覚ましく、これまで以上にストレスにさらされる機会が増えています。
また女性は出産や育児などによって、家庭においても様々なストレスを抱えています。
ストレスも口臭を強くする原因の1つです。
ストレスや疲労の蓄積は自律神経のバランスを乱し、それによって唾液の分泌も少なくなってしまいます。
ダイエットが大きな落とし穴になることも
唾液の分泌量に大きく関係しているのが食事の回数です。
人は空腹になると唾液の量が減り、口の中が乾きやすくなりますが、食事をしっかり噛むことで唾液の分泌を促します。
そのためダイエットで食事の回数を減らすと、唾液を分泌する機能が低下して口が乾きやすくなることも。
その結果、口の中の自浄作用が失われ口臭が強くなります。
また朝食を抜くとその日1日の唾液分泌リズムが乱れます。
忙しい朝でも朝食をしっかり噛んで食べることこそ、1日の口臭予防のはじまりです。
こまめに水分を補給して口臭を防ぐ(まとめ)
女性はホルモンバランスやストレスによって口臭が強くなる場合があります。
その原因の多くは唾液の減少によるものです。
したがって口臭が強くなりそうなタイミングでこまめに水分を補給することが口臭予防につながります。
ただし、糖分を含むものや、コーヒーなどカフェインの入った飲み物はかえって口臭を増大させるので、ミネラルウォーターや麦茶などが最適です。
【参考】
※公益社団法人 日本歯科医師会『10代〜70代の男女1万人に聞く、お口の臭い調査』
(https://www.jda.or.jp/pdf/DentalMedicalAwarenessSurvey_h28_v3.pdf)
<執筆者プロフィール>
影向 美樹(ようこう・みき)
歯科医師。歯科医師免許取得後、横浜と京都の歯科医院にて勤務を経て、現在は医療系ライターとして活動中
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情報提供元: mocosuku