暑さ対策に! 管理栄養士さんのオススメ「暑気払い」
2017-08-03 18:30:01
執筆:永吉 峰子(管理栄養士)
暑さも本格化し、職場などで暑気払いが開催される時期になりました。
しかし、そもそも暑気払いとはどのような行事なのか、ご存知でしょうか。
今回は、知っているようで知らない暑気払いについて、おすすめの食べ物・飲み物とともにご紹介致します。
暑気払いは夏の暑さに負けないための行事
暑気払いとはその名の通り、暑さを払うための行事です。
昔は冷房も今のように発展していなかったので、暑さにより奪われた体力を回復する為に暑気払いが行われていたのです。
暑気払いには具体的な定義はありません。梅雨明け頃から暑さが続く8月頃までに行われる、暑さを払うための行いが暑気払いなのです。
具体的にはなにをする?
かつては暑さを払う為に川遊びや水遊びが行われていました。
また体にたまった暑さを逃がす為、体を冷やす役割があるとされているきゅうりや瓜などの夏野菜を食べていました。栄養価の高い薬湯や甘酒も、暑気払いに飲まれていたようです。
更に、冷蔵技術が発展していなかった昔は氷は高級品であった為、暑気払いにあわせてかき氷などの氷菓子が楽しまれていました。
一方冷房技術が発展した現代では「暑気払い」と言えば宴会というのが一般的です。
暑い時期に美味しいビールなどのお酒を楽しみ、コミュニケーションをとって皆で夏を乗り切ろうという趣旨で宴会などが開催されています。
暑気払いに食べたい食べ物
冷房技術の発展した現代においては、夏場に冷房によって冷えることもあります。
その為、体を冷やす冷たい食べ物ばかり食べることはあまりおすすめできません。
また近年は猛暑となることが多く、冷房の効いた室内と屋外との気温差がストレスとなり、夏バテしやすい状況になってしまっています。
その為、夏バテに負けないようバランスよく食べることはとても重要です。
暑気払いに食べたい!食べ物・飲み物3選
バランスよく食べたうえで特に夏におすすめの食べ物についてご紹介致します。
モロヘイヤ
モロヘイヤは夏に旬をむかえる葉野菜です。多くのビタミン・ミネラルをバランスよく含んでいます。
特に注目すべきビタミンはビタミンA、ビタミンE、ビタミンCです。
これらのビタミンの働きについて見ていきます。
ビタミンAは、暑さや気温差などがストレスとなって発生しやすい活性酸素の発生を抑える働きがあります。
活性酸素はがんや老化の原因と言われている物質なので、がんの予防やアンチエイジング効果が期待できます。
またビタミンAには免疫力を高める働きがあるので、夏風邪防止も期待できます。
ビタミンEには血行をよくする働きがあります。冷房が効いた室内では冷え性が心配ですが、ビタミンEは血行をよくする為、冷え性改善の効果が期待できます。
またビタミンA同様に活性酸素の発生を抑える働きもあります。
ビタミンCは暑さなどのストレスで必要量が高まる栄養素です。ビタミンA、ビタミンE、ビタミンCの3つのビタミンを一緒に摂ることで抗酸化作用が高まるとされています。
このようなビタミン類の他、モロヘイヤはねばねば成分のムチンを多く含みます。ムチンには胃を保護する働きがあり、冷たいもので胃が弱りがちな夏にはおすすめです。
モロヘイヤはおひたしなどで食べるのが一般的ですが、そうめんなどのつけ汁にいれると手軽に摂取でき、麺類単品よりも栄養価がとてもアップするのでおすすめです。
梅干し
梅干しにはクエン酸という成分が含まれています。
このクエン酸には疲労回復に必要なエネルギーを作り出す働きがあり、暑さで疲れがたまりがちな夏にはとてもおすすめです。
また、梅干しなどの酸っぱいものには食欲を増進させる働きがあります。夏は暑さで食欲が落ちてしまい、必要な栄養が不足すると更に疲れがとれにくくなる負のサイクルになってしまいがちです。
酸っぱいものを見ると、反射的に唾液が分泌されて消化液も分泌され、消化がしっかりと行われることで食欲がわくと言われています。
その為、食欲を出し夏を乗り切る為には梅干しはとてもおすすめです。
梅干しはおにぎりや麺類の具としてよく使われます。マヨネーズに混ぜて野菜に漬けたり、肉や魚にぬって焼いたりすると、お子様も食べやすくおすすめです。
飲むヨーグルト
食欲が低下する夏には栄養価のある飲み物がおすすめです。
飲むヨーグルトには、体を作るたんぱく質やカルシウムが豊富に含まれています。また、夏の暑さや冷房の冷えなどで動きが悪くなりがちな腸の働きをよくする乳酸菌も含まれています。
酸味があるので食欲がない時にもおすすめです。できれば無糖タイプのものを選び、はちみつやメープルシロップで味付けをすると、ビタミンやミネラル類も摂取できおすすめです。
知っているようで知らない暑気払い。暑い夏を乗り切る為に、栄養バランスに気をつけつつ、おすすめの食材を上手に取り入れてみてくださいね。
<筆者プロフィール>
永吉 峰子(ながよし・みねこ)
管理栄養士。大手小売企業にて店長、商品開発を経験後、現在は「健康」「食」に関する執筆を中心に活動中
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情報提供元: mocosuku