素朴な疑問… 「平熱が低い人」は、発熱したときの体温も低い?
2017-11-16 18:30:23
執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
世の中には、平熱が高い人と低い人がいます。
みなさんは、ご自分の平熱を把握していますか?
例えば、同じ38℃の発熱でも、平熱が35℃くらいの人と37℃くらいの人では違いはあるのでしょうか?
今回は、身近な健康管理でもある体温や平熱、発熱の基準や低体温などとあわせ、ご説明していきましょう。
平熱は測定場所や測定時間に左右される
体温は、手足や皮膚に近い場所では低く、身体の中心部にいくほど高くなります。
表面や末端部の温度は、外気など環境温度に影響を受けますが、身体の中心部に近い、たとえば脳や心臓などは、高い体温で安定している状態です。
これを「中核温」といい、病院などでは測定できますが、一般家庭ではできません。
そこで、一般的には、体内温度が反映される場所として、わきの下、口の中、耳、直腸などで測定することになります。
ただし、測定する部位によっても体温が違いますから、同じ部位で測定し、その部位における平熱を知る必要があるのです。
ちなみに、日本人の約7割は、わきの下で測定した平熱が36.6℃~37.2℃です。
さらに、体温には1日のなかでもリズムがあります。
早朝が一番低く、日中活動をしていると徐々に上昇し、夕方にピークをむかえます。
つまり、体温を測定する時間によっても平熱は変わってくるのです。
平熱の低い人が発熱したときの体温の捉え方
平熱には個人差がありますから、「熱があるようだ」と感じる温度帯も異なります。
一般的な発熱の高い・低いにかかわらず、自分の平熱よりも1℃以上高ければ、何らかの異変が起きている可能性があります。
平熱36.0℃の人が38℃になったときと、平熱37.2℃の人が38℃になったときとでは、まったく意味が変わってきます。
ですから、熱が出たときは単に今38℃ある、ということだけで判断せず、ほかに症状が出ていないかなど注意して様子を見ましょう。
平熱が低いことと健康との関係
先ほど日本人の平熱について36.6℃~37.2℃とお伝えしましたが、「低体温」という定義はないようです。
そのため、平熱がこの範囲よりも低いからといって、必ずしも「低体温である」とは言い切れませんが、一般的に36.0℃以下ですとおおむね低体温といえるでしょう。
体温が下がると、血流が悪くなり、免疫力も低下します。
血流が良ければ体内の異物にも素早く白血球が反応できますが、血流が悪いと反応できにくくなり、ウイルスや細菌に負けやすくなるためです。
つまり、「体温が正常に保たれている=健康が保たれている」といえるでしょう。
低体温の原因
昨今、日本人の平熱は下がる傾向にあります。その原因を探ってみましょう。
栄養不足・偏り:ビタミン・ミネラル不足
身体は、糖質、脂質、たんぱく質からエネルギーや熱を作り出して、体温を保っていますが、これらの働きをサポートしているのはビタミンやミネラルです。
たとえば、糖質をエネルギーに変えるためには、亜鉛・鉄・マグネシウムなどが必要になります。
ビタミンやミネラルが不足すると、体内でエネルギーや熱を作ることができずに体温が上がらなくなってしまいます。
無理なダイエット
無理なダイエットにより、食生活が偏ったり食べる量が減ったりすると、筋肉のもととなるたんぱく質が不足し、熱を作り出せなくなります。
同時にビタミン・ミネラルも不足し、低体温だけでなく、月経不順、貧血などを起こす原因にもなります。
冷たいもの・甘いものの食べ過ぎ
冷たいものや甘いものの食べすぎは、身体を冷やし低体温の原因となります。
また、季節ごとに旬の野菜を摂ることも大切です。
たとえば、水分を多く含む夏野菜や果物を寒い冬に食べ過ぎると、身体を冷やしてしまいます。
冷暖房の整った住環境
最近は冷暖房設備が整っており、身体の体温調節機能が鈍くなっています。
これも低体温の一因といえるでしょう。
運動不足
運動不足は筋力を低下させます。
筋力の低下は、血液循環も悪くしますので、低体温の原因といえるでしょう。
過度なストレス
ストレスがたまりすぎると、血行不良が起きて体温低下の原因になります。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが乱れると、体温調節機能を持つ自律神経も乱れます。
その結果、体温のコントロールができなくなり、低体温になります。
便秘
便秘になると、腸内での蠕動運動(ぜんどううんどう)が不活発になり、新陳代謝が悪くなって基礎代謝も下がります。これによって、冷え性や低体温を起こします。
それでは、低体温を改善するにはどのようにしたらよいのでしょうか?
低体温の改善法
継続して行うことにより、低体温の改善に効果が期待できる方法をご紹介します。
いずれも日常生活に取り入れやすい内容ですので、試してみてはいかがでしょうか。
運動をする:とくに次のことを実践する
・ウォーキング(1日30分以上)やジョギングを日常化する
・スクワットをする(無理せず徐々に回数を増やすこと、慣れてきたら1日に30回程度)
湯船に浸かる:シャワーだけでなく、湯船に10分程度浸かるようする
白湯を飲む:朝や寝る前に白湯を飲み、身体を温める
薄着をしない(とくに冬場):腹巻、カイロ、下着を1枚増やすなどの工夫をし、身体を冷やさない
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku