よく耳にする「有酸素運動」 自宅で手軽に実践できる?
2017-11-22 18:30:08
執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
ダイエットや健康維持に効果があるとして、すっかり定着した感のある「有酸素運動」。
でも、いざ具体的にどんな運動か説明して…と言われるとちょっと困りそうです。
今回は、いま一度有酸素運動の効果や特徴などをおさらいし、簡単な実践方法についてご紹介いたしましょう。
健康増進に必要な3つの基本運動
健康を維持するために必要な運動は3種類あって、それぞれ役割が違います。
(1)有酸素運動
体内に取り込んだ酸素を使って糖質や脂肪を燃焼させ、エネルギーを生み出す運動です。
負荷が比較的軽く(=運動強度が小さい)、長時間継続できるという特徴があります。
深く呼吸をして酸素をとりいれながら、ゆっくりとエネルギーを燃焼していきます。
ウォーキング、ジョギング、水泳、縄跳び、サイクリングなどが代表的です。
ステッパーや、エアロバイク、ジムにあるトレッドミルなど器具を用いた運動も同様です。
(2)無酸素運動
短時間に強い力を発揮する、強度の高い運動です。
体内の糖質、とくに筋肉にためておいたグリコーゲンを使ってエネルギーを生み出します。
酸素を使わずエネルギーを作り出すことから「無酸素運動」と呼ばれています。
瞬発力を発揮する、短距離走や筋力トレーニング(筋トレ)などが代表的です。
また、最近では、有酸素運動と無酸素運動を併用することの重要性が強調されています。
肥満解消につながる基礎代謝向上や、糖尿病などに見られるインシュリン感受性(インスリンが正常に分泌されているのに、充分な効果を発揮しない状態)の亢進効果、あるいは、骨粗しょう症予防や介護予防の観点からも、効果があるとされています。
(3)ストレッチ
筋肉をゆっくりと伸ばして筋肉の柔軟性や関節可動域を広げ、あわせて、呼吸を整えて緊張を解きます。
ストレッチは、ウォーミングアップとクーリングダウン時にする運動というイメージですが、最近は身体をほぐして血行や代謝を促し、肩こりや腰痛予防に重要な運動であることがわかってきました。
有酸素運動の特徴
酸素を取り込みながら体内の糖や脂肪を燃焼させる有酸素運動は、身体に次のような効果をもたらすことが期待されます。
・心肺機能を改善し、心臓や呼吸筋を強化する
・血管の柔軟性を改善し、高血圧や動脈硬化などのリスクを軽減する
・骨の強度を高め、骨粗しょう症などを予防する
・基礎代謝量の向上により、新陳代謝の促進やダイエットに向く
・体脂肪を燃焼し、血中の悪玉コレステロールや中性脂肪が減少する
・ストレスを発散、緩和する
有酸素運動は、20分以上継続するとより高い効果があるといわれています。
これは、運動開始から20分ほど経過すると、脂肪が活発に使われるからです。
たとえば、ダイエット目的のウォーキングであれば、1回30分以上歩くとよいでしょう。
有酸素運動は運動強度が比較的低いため、30分以上であっても負担の少ない運動ですが、無理は禁物です。
また、10分では効果がない、ということではありません。
短い時間を数回に分ける方法もありますので、ご自分の体力や体調にあわせて試すことをおすすめします。
ちなみに、現在厚生労働省は「健康21」(※)における身体活動基準として、「強度が3メッツ以上の身体活動を1週間に23メッツ・時を行う」としています。
具体的には、毎日60分のウォーキングに相当し、今のところ、この60分は連続しても、分断しても、どちらでも構わないとしています。
※メッツ・時とは、エネルギー消費量を座位安静時代謝量で割った値で、活動や運動をした際、安静時の何倍のカロリー消費をしているかを示します。
たとえば、近所を散歩するウォーキングは2.5メッツ、とすると、3メッツ程度のウォーキングは、少々負荷のかかかる、早めのウォーキングに相当します。
※参考:厚生労働省 e-ヘルスネット 健康づくりのための身体活動基準2013(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-01-001.html)
自宅でも取り入れやすい有酸素運動
フィットネスクラブに通って、専用運動器具で励む有酸素運動もやりがいがあるでしょう。
また、自宅で手軽にできる有酸素運動は、思い立ったらすぐ、スッピンで出来るところもいいですよね。
いくつかご紹介しましょう。
ラジオ体操
ウォーキング
踏み台昇降運動
もも上げ運動
縄とび(エア縄とびでもOK)
フラフープ
どれもこれも楽しみながらできそうです。
近頃はダイエットを目的とした「ダイエットDVD」の数や種類も充実していますから、自分に合いそうなものを探してみるのもいいかもしれませんね。
…そして、なにを隠そう、
「家事(生活活動)」も立派な有酸素運動なのであります!
買い物や掃除、洗濯、料理に皿洗い、アイロンがけなどが挙げられます。
つまり、毎日どこか掃除をすれば、部屋がきれいになるうえ有酸素運動にもなって一石二鳥という訳です。
有酸素運動は、うっすらと汗をかき、やや息が弾む程度の状態を長く続けることがポイントです。
全力でその運動をした時の、60~80%の運動強度がよいとされます。
そして、最重要ポイントである、鼻からしっかりと息を吸って酸素を取り入れることをお忘れなく。
それではさっそく今日から、有酸素運動を取り入れてみてはいかがでしょう。マイペースに楽しみながら参りましょう。
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku