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ストレス社会に強くなる? 「マインドフルネス」のススメ

2017-11-30 18:30:41


執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
ハイストレス社会の中で毎日、翻弄されている私たち。
ストレスにどっぷり飲み込まれないで、こころ穏やかに、落ち着いて現実に対処できるようになりたいものです。
それができなくて、心身の健康を危うくし、豊かさを追いかけて幸せになれないでいることもあるでしょう。
そんな現代人に今、「マインドフルネス」が注目されています。
今回はこのマインドフルネスについて、ご紹介していきましょう。

マインドフルネスとは


日本マインドフルネス普及協会(http://www.mindfulness-fukyu.net/)によると、マインドフルネスとは「今、ここに対する適切な気づき」とのこと。
生き方、あり方、かかわり方とでもいえることなのでしょうか。
そんな、態度レベルの特徴に対して、実際の手法レベルでは、「瞑想(マインドフルネス瞑想)」が取り入れられ、欧米諸国を中心に、ビジネス・教育・精神医療などで大きな成果が上がっているといわれます。
そのルーツには仏教哲学やインド哲学といった東洋思想があるとのこと。
その意味では、日本文化も、仏教思想やこれに基づいた生活文化、たとえば、華道・書道・茶道などが盛んですし、禅の瞑想やヨガなどのエクササイズもまた盛んです。
これらはマインドフルネスとの親和性も高いと思われます。
ともあれ、瞑想などの手法を通して、「今、ここ」に意識を集中することで、邪念から解放されるというのが、マインドフルネスが指向するところのようです。

マインドフルネスの効果


杉山崇教授(神奈川大学、心理学)によると、マインドフルネス瞑想には次のような効果が期待できるとのこと。

脳のかたよりを改善する


あらゆる感覚に心を開いて体験をするため。これによって、あれをやらなくては、これをしなきゃといった「忙しさ」から解放される。

ストレスに強くなる


瞑想によるストレス逓減が高かった人には、感情に関与する脳の「偏桃体(へんとうたい)」の体積が減り、怒りや不安に敏感になることが少なくなり、少々のことが受け流せるようになる。

健康に良い


ストレスによって分泌されるコルチゾールは一時的に活動性を高めるものの、免疫機能を抑制するので、瞑想は免疫機能を高く保ってくれる。

いい人間関係をつくる


脳のデフォルトモードネットワークが正しく機能するようになるので、リセットして気分を一新し、いつも新鮮な気持ちで、周囲で起こっていることを見ることが可能になる。まさに、とらわれからの解放。
このように、杉山教授はマインドフルネス瞑想によって、「ストレスに強くなる」「健康になる」「ストレスそのものを減らす」という効果があると指摘しています。

マインドフルネス瞑想


簡単に解説すると、立っていても座っていても骨盤を起こして背筋を伸ばし、肩の力を抜いて目を軽く閉じ、半眼で一点を見つめることで、姿勢を正して意識を安定させます。
そして、ゆったりと呼吸をし、繰り返される呼吸に意識を集中させるとのこと。
これを繰り返すと、やがて、雑念から離れて「今、ここ」の身体感覚が意識されるというのです。
時間的には、数分程度行うとのこと。慣れてきたらもっと長時間やってもよいそうです。
その他、さらに詳しいマインドフルネス瞑想の実践については「日本マインドフルネス普及協会」などが、セミナーや研修・講演を実施しています。ご興味がおありでしたら、そちらをご覧ください(http://www.mindfulness-fukyu.net/seminar)。

マインドフル瞑想の応用


宗教や呪術とは無縁だというマインドフルネス。瞑想のプラクティスが一般的なようですが、ほかの方法もあります。

ジャーナリング


5~10分間、頭の中に浮かんできたことを、ひたすら書き出していきます。「脳の排水」とも呼ばれています。

マインドフル・イーティング


時間をかけて、ゆっくりと集中しながら食事をする方法です。テレビも見ないし、会話もしないとのこと。ただ食べることに集中し、食材の形や食感などをじっくり味わることに徹するそうです。1食で30~60分くらいかけて食べることが奨励されます。
何をしていても、五感をしっかりと使っていると、意識は「今、ここ」に集中していきます。(正確には「ここ、今」で、まず「ここに」、そして「今に」という順番です)
脳には記憶や予測といった、高度な精神機能がありますが、時と場合によっては、こうした精神機能が、私たちの心身をストレスで満たし、何かにがんじがらめにすることもあるということでしょう。
しかし反対に、衝動や感覚だけで生きていると、それは動物と変わらないということもあります。
ですから、マインドフルネスは、脳と現実との関係を調整して、安心して現実に対応していくような心身状態を生み出すプロセスなのだといえるのかもしれません。
【参考】
・日本マインドフルネス普及協会HP(http://www.mindfulness-fukyu.net/)
・Mocosuku『成功者たちは習慣化している? 「瞑想」がもたらす心理的効果とは』(http://mocosuku.com/2015111319261/?type=prev)
・『モチベーションアップの法則』(https://www.motivation-up.com/whats/mindfulness.html)

<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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