まだまだインフルエンザの季節… 「うがい」で予防効果アップ
2017-12-27 18:30:27
執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
寒さが厳しくなってきました。
風邪やインフルエンザが流行する季節です。
日常における感染予防には、手洗いやうがい、マスク着用などが呼びかけられていますね。
今回はこのうがいに焦点をあて、予防効果について詳しくみていきましょう。
感染症を予防するには?
私たちの周りには、常に目に見えない細菌、ウイルス、カビなどが存在しています。
一般的に風邪といわれる上気道感染(じょうきどうかんせん)やインフルエンザなどの感染症は、原因となる細菌やウイルスなどの病原体が、体内に侵入することで発症します。
そのため、病原体が侵入してくる感染経路を断つ、という措置は予防対策のひとつとして重要です。
うがいの効果って?
感染症の原因となる病原体の感染ルートは、口や鼻からの侵入であることが多く、物理的に洗い流す手洗いは感染症の予防に効果があります。
また、うがいは口腔内を清潔に保ち、外部から口腔に侵入してくる病原体などを排除してくれます。
口と鼻は、身体の中と直接つながっています。
鼻に空気が入ると、鼻毛や鼻粘膜にある非常に細かい毛である繊毛(せんもう)や粘液などが、ほこりや細菌・ウイルスの侵入を防いでいます。
しかし、口には構造上そうした働きがありませんので、直接身体の中に侵入させてしまうリスクが高くなります。
よって、うがいをして口から入ってくる病原体を洗い流せば、体内への侵入を防ぐ効果があるといわれています。
正しいうがいの方法って?
ところで、うがいはいつするといいのでしょうか。
うがいは、帰宅時に手洗いと一緒にするのがベストタイミングといえます。
人の多い場所に外出していると、感染症の原因になる病原体に触れる機会も増えますから、外出後の手洗いうがいはとても大切です。
また、食事の前や、周囲に風邪や感染症の人がいるような状況も、予防的にうがいをするタイミングになります。
感染症を予防するためのうがいは、次の2点を心がけましょう。
口の中の汚れを落とす:水またはうがい液を口に含み、ぶくぶくして吐き出す
のどの奥の汚れを落とす:再度、口に含み上を向き、ガラガラと喉の奥をうがいする
インフルエンザ予防にうがいは効くのか?
インフルエンザの予防は、ワクチン接種以外に次の方法が推奨されています。
流行している時期には不要な外出を避け、極力人ごみには出ない
外出時にはマスクを着用し、咳エチケットを守る
外出後はうがいと手洗いをする
うがいは、これまでもインフルエンザの予防対策として推奨されてきました。
しかし、実は、平成28年に首相官邸が発表した『(季節性)インフルエンザ対策』においては、下記のように記述されています。
「うがいは、一般的な風邪などを予防する効果があるといわれていますが、インフルエンザを予防する効果については科学的に証明されていません。」(※)
【※出典】首相官邸『(季節性)インフルエンザ対策』(https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/influenza.html)
そうなのです、ことインフルエンザにおいては、うがいの予防効果は科学的証明がない、というのです。
もっとも、まったく効果がないとうたっているわけではありません。
また、感染症に対する基本的な対策は、身の回りを清潔に保つこと、免疫力を低下させないことです。
手洗いとうがいが日常的な習慣として定着していれば、感染予防行動につながるという見方もできますから、十分効果的であると考えられます。
このように、うがいのインフルエンザへの効果は科学的に明言できないものの、風邪の予防に対する効果は期待できます。
そして、うがいだけではなく、手洗いやマスクの着用、規則正しい生活により、免疫力を高めるという点も重要です。
これからの季節、まずは日々の感染症予防対策を継続して体調を整え、元気に冬を過ごしたいものですね。
【参考】
川崎医科大学現代医学教育博物館『正しいうがいの仕方』(https://www.kawasaki-m.ac.jp/mm/html/4-5-2.html)
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku