E START

E START トップページ > マガジン > 「リンパを流すといい」とは聞くけれど… 何がいいの?

「リンパを流すといい」とは聞くけれど… 何がいいの?

2017-12-30 18:30:38


執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
サロンのWeb広告やチラシで、リンパマッサージ(ドレナージュ)をよく見かけるようになりました。
実際に施術を受けられた方もいるでしょう。
ところで、ずばり「リンパ」とは何なのでしょう?
また、リンパの流れが悪いと身体にどのような影響があるかご存知でしょうか。
今回は意外と知られていないリンパについて解説したいと思います。

体中を通っているリンパ


血管が人間の身体の全身に張りめぐらされていることはご承知でしょう。
リンパも血管同様体中に張りめぐらされていて、次のようなものがリンパに含まれます。

リンパ液・リンパ管


血管には血液が流れています。
そして、血液の中には「血漿(けっしょう)」という成分があります。
この血漿の一部が血管の外にしみ出し、それを回収するのが「リンパ管」です。
また、回収される、しみ出した液体は「リンパ液」と呼ばれます。
リンパ液は無色透明で、白血球の一種である「リンパ球」を含んでいます。
リンパ液は、体内の老廃物や余分な水分、そして、細菌やウイルスなどを回収する役割を担っています。

リンパ節


リンパ管の通り道にはリンパ節と呼ばれるリンパ管の集まる器官があり、リンパ液に含まれる細菌や異物を除去する働きをしています。
全身に800か所ほどあります。
とくに、頚部には300以上のリンパ節が集まっています。
たとえば、風邪を引いたときに首筋が腫れますが、これは、首(頚部)にあるリンパ節が細菌や異物と戦っているからです。

血液とリンパの違い


血液もリンパも全身を流れていますが、血液は心臓をポンプとして全身に送り出しています。
一方リンパは、呼吸や筋肉の動きによって血液とは違う仕組みで流れています。
ですから、筋肉が少ない、運動不足である、同じ姿勢で仕事をする、などに該当すると、リンパを流す筋肉量が足りなかったり、リンパが滞りがちになったりします。
また、むくみや冷え、疲労の蓄積につながっていきます。
以上、
リンパ液、リンパ管、リンパ節を総称してリンパと呼んでいます。

リンパの役割


リンパには大きく二つ役割があります。
(1)体内の老廃物の回収と運搬
(2)異物や細菌を血管に入れないようにする免疫機能
異物や細菌はリンパ液で回収されて、リンパ管を通りリンパ節に流れますが、ここで免疫機能により処理されます。
リンパには感染症を防ぐという大切な役割があるのです。

がんによるリンパ浮腫


がんの転移とリンパには深い関係があります。
がん細胞もリンパ液で回収されリンパ節に集められ、免疫と戦うわけですが、がん細胞はリンパ節で増殖し、ほかのリンパ節に転移することがあります。
その場合は、転移を防ぐため手術によってリンパ節を取り除きます。
ところが、これでリンパ節への転移は減っても、今度はリンパが滞ります。
たとえば、体液が回収されず、リンパ液の流れが悪くなり、むくみがおきます。
この症状が、がん手術後のリンパ浮腫なのです。

リンパの滞りと原因


リンパの流れが悪くなると老廃物が蓄積してしまい、おもにむくみを引き起こします。
また、肩こり、疲労感なども感じるようになります。
リンパの流れを悪くする原因として、次のようなことが挙げられています。

運動不足


リンパの流れには、血管のようなポンプ機能は働いていません。
身体を動かし、呼吸や筋肉を使って流れる仕組みになっています。
ですから、運動不足だとリンパの流れが悪くなり、リンパを滞らせることになります。
デスクワークが中心、運動する時間が持てない、という状況の方は多いと思いますが、1時間に1度はストレッチを行いましょう。
同じ姿勢でいないように伸びなどをするのもよいでしょう。

冷え性


多くの女性が冷え性を自覚しているようです。
手足の冷えは血流やリンパの流れを阻害します。
体温の低下により、体液の循環に悪い影響を与えてしまうのです。
ゆっくりとぬるめのお湯につかりましょう。

ストレス


ストレスを常に感じていると、免疫力が低下し、肩こりや風邪、口内炎などの症状につながります。
また、ストレスで血行が悪くなるとリンパの流れも滞ってしまい、リンパ節が腫れてしまうこともあります。

水分不足


水分を適切に摂らないと、いわゆる血液がドロドロの状態になります。
リンパ液は血液の流れに合わせて動きますので、血液の水分が不足すると、水分が90%であるリンパ液にも影響して、流れが悪くなります。
ですから、いつも適度な水分を摂取するよう心がけましょう。

リンパの滞りの解消法


リンパの滞りを解消する方法として、次のようなことが効果的でしょう。

適切な水分補給


朝起きて500㏄ほどの白湯を飲みましょう。
1日1リットルの水は必要です。
こまめに水分補給をしましょう。

バランスの良い食事


食事はバランスよく食べることが大事です。
大豆製品、海藻類、野菜、青魚などを積極的に摂りましょう。

リンパマッサージ


リンパ管は、鎖骨のリンパ節が最終です。
そこに辿り着くまでにいくつかのリンパ節を経由して辿り着きます。
この、リンパの流れを促進するのがリンパマッサージです。
マッサージではリンパの流れがスムーズになるよう、鎖骨のリンパ節を最初に行います。
また、リンパマッサージで重要なのは、「どこに向かってリンパを流すか」ということです。
身体にいくつかの主要なリンパ節がありますから、そこに向かってリンパを流してください。
(主要なリンパ節などは、本記事文末の参考サイトに詳しくございます)

新陳代謝のアップ


汗をかいて新陳代謝をアップし、身体の循環機能を高めることも重要です。
汗をかくためにも、運動はとても大切ということですね。
【参考サイト】
YOIKOTO LABO (ヨイコトラボ)『いつでもどこでもデトックス!覚えておきたいリンパの位置』(https://www.queensway-group.jp/yoikotolabo/2016/10/20/57)
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

関連記事

情報提供元: mocosuku

  • Twitter投稿
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

人気記事

この記事へのFacebookのコメント