会社員でも確定申告は必要?知っておきたい税金の知恵
2018-01-04 21:00:00
年末調整と確定申告って何が違うの?
「そもそも年末調整と確定申告ってどう違うの?」という声を多く聞きます。
そこで、それぞれが何をすることなのか、をまず知っておきましょう。
確定申告とは、個人が”自分が納める所得税額を計算し申告する”ことです。原則として所得(※1)のある個人は、全員申告が必要です。
ただし、会社員の場合には、個人に代わって会社が所得額を計算し納税額を申告することができます。
※1 所得には10種類あり(図参照)、「給与所得」以外は、受け取りの都度課税、または別途申告が必要。
なお、所得とは「収入から必要経費(各種控除)を差し引いた金額」のことで、税金を計算する上で”所得”と”収入”は区別される。
会社が、会社員に代わって給与・賞与のうち税金がかかる分がいくらになるかを計算し、すでに支払った所得税(毎月給与から天引きされている源泉所得税)の過不足を調整する、というのが年末調整です。
会社が計算できるものは範囲が決まっていて、それを超える場合は、会社員でも確定申告が必要なのです。
そして、確定申告には「する必要があるケース」と「した方がいいケース」の2通りあります。
確定申告をする必要があるケースは?
まず、会社員でも確定申告の必要があるケースは、次のどれかに該当する場合です。1)年収が2千万円を超える
2)2カ所以上の会社から給与を受け取っている
3)給与所得以外の所得(例えば、アパートやマンションの大家さんになっている、学資保険や養老保険の満期保険金を受け取ったなど)が20万円以上ある利子や配当などは、
その都度課税されますので確定申告は不要ですが、逆に株などで損をしている場合は、申告すると税負担が軽くなる場合があります。
確定申告をした方がいい5つのケースとは?
次に、申告をすると税金の一部または全部が戻って来るかもしれないケースをご紹介します。自分は当てはまらないと思い込んでいる方が多いのですが、しくみを正しく知って、改めて確認してみてください。1)多額の医療費を支払った(医療費控除)
2)NPO法人や政党、地方自治体(ふるさと納税含む)などに寄付をした(寄付金控除)
3)災害または盗難にあった(雑損控除)
4)住宅ローンを組んだ最初の年(住宅借入金等特別控除)
5)株の配当金や投資信託の分配金を受け取った(配当控除)
順番に解説します。
1)医療費控除
年間10万円以上支払った場合、超えた金額が所得から差し引かれると思っている方が多いのですが、正しくは「総所得額等の合計額5%または10万円のいずれか低い金額」。
つまり、支払った医療費が10万円以下でも、所得が低ければ申告した方がいい場合があるのです。
例えば、年収300万円の方は9万6千円以上支払った額がに対象になります。共働きの場合、所得の低い方が家族分まとめて申告するという選択肢もあります。
さて、市販薬も対象になることはご存知だと思いますが、意外と知られていないのが通院に関わる交通費も対象になること。
さらに、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師など国家資格者による治療目的の施術を受けた場合も対象になります。
【参考:国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1122.htm】
2)寄付金控除
「ふるさと納税」が身近ですが、国や政党、共同募金などへの寄付なども所得から控除されたり、計算後の所得税・住民税からさらに差し引かれたりします。【参考:国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/shoto305.htm】
日本赤十字社などへの義援金も対象になりますので、寄付をした場合にはチェックしておきましょう。
なお、ふるさと納税は「ワンストップ特例制度」を使って確定申告不要にすることができますが、この場合所得税からの控除はありません。来年度の住民税額を超えて寄付をした場合、住民税そのものからの控除はもちろん所得控除の対象にもなりません。
ふるさと納税を多く利用する場合は確定申告をした方が有利な場合もありますので、知っておいてください。
3)雑損控除
できればない方がいいですが、火災や水害にあった、盗難、ひったくりや置き引きにあった場合の被害金額などが所得から差し引かれます。
万が一当てはまる場合には、申告漏れのないようにしたいものです。
4)住宅借入金等特別控除
いわゆる「住宅ローン控除」と言われるものです。ローンを組んだ最初の年は、年末調整ではなく確定申告が必要ですので、覚えておいてください。
5)配当控除
株や投資信託に投資をしている場合、配当金や分配金を受け取ることがあります。
「特定口座」を申し込んでいる場合には所得税・住民税が源泉徴収されるため、申告しないと二重に課税されていることになります。
当てはまる場合には、確定申告することで、税額控除が受けられます。
税金の仕組みは多岐にわたるため「分かりにくい」と感じるものですが、基本をしっかり押さえて、所得や税額そのものが減るケースを見逃さないようにしたいものですね。
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情報提供元: michill (ミチル)