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天然だから安心? 天然の染毛料「ヘナ」について。

2018-03-17 18:30:50


執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
天然のカラーリング剤としてファンが多い「ヘナ」。
施術メニューとして取り扱う美容室も増えましたね。
また、欧米のナチュラル志向の人たちにも愛用されているようです。
そんなヘナは、和名では「指甲花(シコウカ)」という植物の葉を粉末にしたものです。
今回は「ヘナ」の特徴や活用法、注意点についてお話します。

ヘナ(henna)とはどんな植物か


「ヘナ(ヘンナ)」は、北アフリカから中近東、インドなど乾燥地帯に広く分布するミソハギ科の多年生植物です。
日本では指の爪を染めるために使われていたことから、「指甲花(シコウカ)」ないしは「ツマクレナイノキ」などと呼ばれていました。
古代から儀式などで爪や髪、手足を彩色する染料として用いられていました。
かのクレオパトラはヘナで爪を染める、いわゆるマニキュアにしていたと伝えられていますし、インドの女性が額につける赤い印「ビンディ」にもヘナが使われています。
また、インドの伝承医学アーユルヴェーダでは薬草(ハーブ)としても用いられ、いずれもしても長い歴史がある植物です。

ヘナ染め:ヘナで皮膚や髪を染める


ヘナに含まれる「ローソン」というオレンジ色酵素成分は、たんぱく質に反応して絡みつく性質を持っています。
髪の主成分であるケラチンを構成するのはたんぱく質です。
ヘナはキューティクルのすき間から浸透してケラチンに絡みつく作用で髪を染めます。
ヘナによるカラーリングの工程はおおむね次のとおりです。

ヘナの粉を人肌より少し温かいお湯に溶きマヨネーズほどの固さのペーストをつくる


ビニール手袋などをしてペーストを少しずつ髪の毛に塗布する


ラップとタオルなどを巻いて規定の時間(1時間程度)おいて洗い流す


※あくまでも参考例です。製品メーカーの説明に従ってください
白髪に色が入りやすいヘナは、「白髪染め」に適した天然カラーリング剤であるといわれます。
「ヘナ」単体だと白髪はオレンジ色に染まります。
たとえば、ここに藍色の色素を持つインディゴで後染めすると、茶色に染め上げることができます。
ただし、黒色を明るい色に染めることはできません。

ヘナのヘアケア効果


一般の染毛剤(カラーリング)は、酸化染料でメラニン色素を脱色させることで髪の内部に化学反応を起こし発色よく染める、という仕組みです。
ヘナは前述のとおりローソンがケラチンに絡むので脱色はともないません。
また、ヘナには一般の染毛剤に含まれるアルカリ剤を含みませんので、髪や頭皮へのダメージはないとされています。
むしろ、ローソンがケラチンに絡みついて髪の表面をコートし傷んだ髪にハリやコシを与えますから、天然のトリートメントとして用いられることもあります。
また、ヘナの細かい粒子は頭皮の汚れを吸着し、クレンジング効果ももたらしてくれます。
天然成分ですから皮脂をとり過ぎる心配もなく、頭皮の乾燥が気になるときにすすめられています。
クレンジング目的でヘナを使用する際は、緩めにヘナを溶いて頭皮に塗り、2~3分マッサージをした後、しっかりと洗い流します。

ヘナのリラックス効果


ヘアケアのほかにも薬草(ハーブ)として利用されてきたヘナ。
たとえば次のような方法で、足湯のリラクゼーションにも使えます。
ヘナのお茶っぱのような香りがして和みます。
デトックス効果があるともいわれています。

洗面器などに少し熱めのお湯を入れる


ヘナを大さじ1~2杯入れる


生姜をスライスして加えると、身体をしっかりと温める効果が加わる


15~30分ほど足をつける


服を着たままでも入れる足湯、試してみてはいかがでしょうか。

天然100%ではないヘナもある!


ヘナには化学染料が入った「ケミカルヘナ」もあります。
2001年薬事法改正により、ジアミン入りのヘナはアレルギー反応を起こす可能性があるとして、人体への使用が禁止されました。
しかしながら、今でも「ヘナカラー」と銘打って一部の美容院で使用されているともいわれています。
ほかにも、粉の色を新鮮に見せるため、タール系の色素を混ぜたヘナがインドや日本で流通しているという情報もあります。
いずれにしてもケミカルヘナは、今回ご紹介したような染毛やヘアケアのメリット、リラックス効果は期待できないとされています。
「ヘナ」という名称であればすべてが天然で安心、というわけではありません。
成分をよく確認することをおすすめします。

ヘナのデメリット


天然のヘナを使うに当たっては次のようなデメリットや注意事項も指摘されています。

髪を染めるのに時間がかかる


独特の葉っぱの香りがある


天然染料なので色見本で選ぶようにカラーを選べない


天然の植物由来なのでアレルギーの可能性がある


薬草成分が思わぬ作用を起こすこともあるため、生理中や妊娠前期には使用しない


とくに「草木かぶれ」という植物アレルギーをお持ちの方は、ヘナは植物由来ですから注意が必要です。
使用にあたっては必ずパッチテストをして経過をみてください。
ヘナの染毛に興味のある方は、トライする前に信頼のおける美容師さんに相談してみるのもよいでしょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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