注目の栄養素「ファイトケミカル」 秘密は植物のパワーにあり!?
2018-05-18 18:30:09
執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
イソフラボン、アントシアニン、カテキン、カプサイシン、セサミン、リコピン…などなど。
これらの成分は最近テレビや雑誌などでもよく取り上げられますし、料理好きな人は「あの野菜に含まれている!」と思い浮かぶでしょう。
共通しているのはどれも「ファイトケミカル(フィトケミカル)」という物質であることです。
今回はいま注目の栄養素を詳しく解説していきます。
第7の栄養素『ファイトケミカル』
ファイトケミカルとは、野菜、果物、イモ類、豆類、海藻、お茶やハーブといった植物性食品に含まれる化学成分のことです。
ギリシャ語で「Phyto=植物」と英語の「chemical=化学物質」を組み合わせた造語です。
植物は、強い紫外線や雨風にさらされても移動することができません。
過酷な自然界を生き抜くために、抗酸化力・抗菌力を備えもっています。
また、害虫や危険な動物を遠ざけるために、苦みや渋み、あるいは独特の香りや色素をもっています。
つまり、植物が自己防衛をするために含んでいる機能性成分がファイトケミカルなのです。
食物には栄養補給をして生命を維持する「栄養機能」と味や香りなどを楽しむ「感覚機能」がありますが、近年ではこれに加えて健康の維持・増進に働きかける「生体調節機能」への関心が高まっています。
ファイトケミカルはビタミンやミネラルと同じように、この「生体調節機能」、とくに「抗酸化作用」を強くもつ「第7の栄養素」ともいわれていいます。
私たちは、自力でファイトケミカルをつくれませんから、ファイトケミカルを含んだ野菜や果物などから摂取しなければなりません。
ファイトケミカルの種類
ファイトケミカルは約1万種類あるともいわれています。
現在わかっているのは約900種類ですが、そのなかから代表的なものをご紹介しましょう。
ポリフェノール系
植物の光合成によってできる物質です。
抗酸化物質として有効で、水に溶けて吸収されやすい点が特徴です。
※< >内は含まれる食材
フラボノイド
アントシアニン <赤ワインやブルーベリー、紫芋など>
カテキン <お茶やワインに含まれる渋み成分>
ケルセチン <玉ねぎ、かんきつ類、そばなど>
イソフラボン <大豆イソフラボンは最近女性に注目!>
ヘスペリジン <ミカンやはっさく>
フェノール酸
クロロゲン <コーヒーやゴボウ>
リグナン <ゴマ>
サポニン
大豆などに含まれる渋みや苦みの成分で、抗酸化作用に加え、脂質やコレステロールを除去する働きも注目されています。大豆や高麗人参などに多く含まれます。
イオウ化合物
強い刺激臭をもった成分で、抗酸化力に加え、血行や血流の改善や殺菌作用にも関心が集まり、食中毒の予防に薬味として使われることもあります。
スルフォラファン <ブロッコリーやキャベツ>
アリルイソチオシアネート <ワサビ>
システインスルホキシド <ニンニク、玉ねぎ、キャベツなど>
カロテノイド類
抗酸化力に加え、美肌やシミ予防、目の健康維持にも効果が期待されています。
βカロテン <人参やカボチャ>
リコピン <トマト、スイカ、レッドグレープフルーツなど>
ルテイン <トウモロコシ、ホウレンソウ、ケールなど>
テルペン類
かんきつ類やハーブ特有の香りと苦み成分。香りには抗うつ効果も期待されます。
リモネン <レモンなどかんきつ類の果物>
メントール <ハッカやメントールなど>
チモール <タイムやオレガノなど>
ファイトケミカルを効果的に摂取するコツ
このように種類が豊富なファイトケミカルは、その特徴もさまざまです。
効果的に摂るためには、次のポイントをおさえてみてください。
食材はできるだけ丸ごと使う
植物に含まれるファイトケミカルは、とくに皮と実の間や種に多く含まれます。
ですから、よく洗って皮ごと使うとより多くのファイトケミカルを取り入れることができます。
傷ものや無農薬食材には含有量が多い
ファイトケミカルは外敵から身を守る成分。
傷もの(いわゆる訳アリやハネモノ)や、無農薬野菜(ビニールハウスや農薬で守られずに紫外線や害虫などにさらされて生育)などは、ファイトケミカルの量が増加します。
調理法の活用
ファイトケミカルには、水に溶けだす、油に溶ける、熱に強い・熱に弱いなど、食材によって特徴があります。
煮物、炒め物、揚げ物、生のまま…など、特徴にあった方法で調理して摂ると効果的です。
フタをして調理する
ファイトケミカルのなかには揮発性のものもあります。
フタをした調理がおすすめです(フタについた蒸気が落ちて鍋の中身にもどります)。
女子向けおすすめレシピ
彩り野菜のトマト煮♪
・材 料:トマト缶1缶、玉ねぎ1/2個、黄パプリカ1/2個、ナス1本、ニンニク1かけ、
乾燥バジル適宜、コンソメ1個、砂糖小さじ1/2、オリーブオイル小さじ1
・作り方:野菜は1センチの角切り、ニンニクはみじん切りにしておく。
鍋に油を引いてニンニクと野菜を入れて炒め、トマト缶と水100㏄を加えて煮る。
沸騰したらコンソメと砂糖を加えて水分が半分になるくらいまで煮る。
野菜は季節を問わずどんな野菜を使ってもOK!
常備菜にも、肉や魚のソテーにかけても、パンやパスタにも合います。
いかにも元気が出そうな響きのある「ファイト‼ケミカル」…手軽に取り入れてみては?
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku