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口臭や体臭… 寝起きがキツイのはどうして?

2018-11-25 18:30:13


執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
日本人はにおいにとても敏感、過剰反応などという論調も見られる昨今…
そうは言っても、自分の臭いや家族の体臭、口臭は誰しも少なからず気になるものです。
ところで、実は臭いは時間帯によって程度に差があることをご存知ですか。
とくに臭いがきつくなると言われているのは寝起きです。
皆さんにも思い当たる節があるのではないでしょうか。
そこで今回は、寝起きの身体の臭いについて、そのメカニズムや予防策をご説明します。

口臭や体臭の原因


そもそも、口臭や体臭はどのようにして生じるのでしょうか。
口の中にはたくさんの雑菌が住んでいますが、唾液の殺菌力によってその増殖が抑えられています。
唾液にはリゾチームという酵素が含まれており、細菌を溶かして退治をしてくれるのです。
また、生き残った雑菌も、唾液や食事と一緒に飲み込まれた後、ほとんどが胃酸によって溶かされます。
しかし、分泌される唾液の量が減少すると、雑菌が増えて口臭の原因になってしまいます。
加えて、歯磨きが十分でない場合は、歯に歯垢(しこう)が溜まり雑菌の餌になります。
そうすると、口臭が発生するほか、放っておくと虫歯や歯周病の原因にもなっていくのです。
また、皮膚にもさまざまな雑菌が付着しています。
皮膚から分泌される汗や脂は、分泌されたばかりの時はさほど臭いはしませんが、雑菌が作用して汗や脂を酸化したり、分解したりすると、体臭の原因となるガスの発生につながります。

寝起きは臭いのピーク


とくに口臭は、寝起きが最も強くなると言えます。
朝起きたときに口の中がネバネバする、不快な臭いがする…と感じた経験はほとんどの方がお持ちでしょう。
これは、寝ている間に唾液の分泌量が減少することが原因です。
殺菌力が低下して口の中の雑菌が増え、臭いの原因になるものが作られてしまいます。
また、不規則な食生活も口臭をひどくする要因になります。
例えば、食事を抜くことが多い、よく噛まずに飲み込むように食べる…という食生活をしていると、唾液の分泌が促されません。
さらに、喉が乾いている時やお腹が空いている時、さまざまなストレスなどにより緊張している時なども、唾液の分泌量が減って口臭が発生しやすい状況です。
このように口臭は、一日の中でも寝起きをピークにひどくなったり、落ち着いたりを繰り返しています。
そんな口臭の改善・予防のためには、まずは起床時や食後の歯磨きを徹底することです。
また、食事は規則正しくよく噛んで食べて唾液の分泌を促す、こまめに水分補給をして口の中を潤わせる…といった心がけも大切です。
さらに、人との会話も口を動かしますから、唾液の分泌を促進します。
適度なおしゃべりはストレス解消になるうえ、口臭緩和の効果も期待できるのです。
デスクワークなどで会話をする機会が少ないときは、休憩時間にガムを噛んだり、口の中で舌をまわす体操をしたりする方法もよいでしょう。

就寝中は体臭が強まる条件が整う


寝ている間、知らずしらずのうちに私たちは汗をかいていて、その量はコップ1杯ほどにもなると言います。
考えてみれば、日中は汗をかいてもすぐに拭いたり、着替えたりして対処できますが、寝ている間は起きるまで放置。
分泌された汗は、皮膚の雑菌によって長時間分解され続ける状況になるのです。
よって、体臭は強くなります。
寝起きの体臭がどうしても気になる場合は、朝のシャワーも有効ですし、通気性のよいパジャマを着る、枕カバーやシーツなどをこまめに洗濯して取り替える、といった工夫も効果的です。
体臭は、汗や脂に限らず日頃の生活習慣とも密接に関わっています。
たとえばお酒を飲むと、アルコールの代謝によって生成される物質が汗や尿などから排泄されるため、翌朝はとくに口臭や体臭が強まります。
さらに、肉類や脂っこいものの食べ過ぎ、喫煙、便秘、運動不足、ストレスなども体臭が強まる一因です。
ですから、寝起きの体臭の改善には、睡眠の環境を整えるとともに、生活習慣も見直してみましょう。

臭いと上手につき合おう


スメハラ(スメルハラスメント)というコトバが生まれるほど臭いに敏感な現代。
しかし、臭いは誰もが持っているもの、体臭を気にし過ぎてストレスが溜まり、かえって口臭や体臭を強くしてしまう可能性もあります。
それでも、気になって仕方がない…という場合は、臭いが強くなるタイミングを把握して自分なりの対処法を備えておき、臭いと上手につき合いましょう。
起床時の歯磨きや唾液分泌が促される習慣づけ、睡眠環境を整えるなど、ちょっとした工夫で口臭や体臭を和らげることができますので、ぜひ参考にしてみてください。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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