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種類豊富で便利な冷凍食品… 栄養価は手作りと変わらない?

2019-02-15 18:30:08


執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
野菜などの食材からお弁当のお惣菜、ご飯に麺類、パンやスイーツなどなど。昨今の冷凍食品は実にバラエティ豊かで味にも定評があります。
家庭用・業務用ともに、冷凍食品の国内生産量は増加しているとのこと。
忙しい現代人に欠かせないアイテムとなっている冷凍食品ですが、手作りの料理と比べたとき栄養価に差は出るのでしょうか。

冷凍食品は栄養価が高い?


冷凍食品にはさまざまな食材が使われています。
たとえば冷凍野菜、皆さんはどのようなイメージをお持ちですか。
生野菜よりも栄養価が落ちる…と思われている方が多いかもしれませんね。
しかし、実際にはそうとも限らないのです。
市販の冷凍野菜の多くは、野菜の栄養価が高く収穫量の多い時期に収穫された素材を、新鮮なうちに急速冷凍しています。
近年の高い冷凍技術によって、栄養の損失を最小限に抑え、栄養価の高い状態を保つことが可能になっています。
また、冷凍野菜は解凍してそのまま食べるよりも、スープや炒め物に加えるなどして使いますから、生野菜よりも量を多く摂りやすく、その分取り入れる栄養素も多くなります。
さらに、野菜に限らず穀類や肉、魚などの食品やその調理品についても、そこに含まれる栄養素の損失は、必ずしも生鮮食品に劣るというわけではありません。

冷凍食品で起こる栄養的なデメリット


前項にて冷凍食品の栄養価が低いわけではない…とご説明しましたが、デメリットも存在します。

栄養素によっては減少しやすい


食品を冷凍すると水分子が凍ります。
それを解凍したときに水分が抜けていく状態を経験したことのある方も多いでしょう。
水分が抜けると食感や味が落ちるだけではなく、水溶性の栄養素の損失につながります。
なかでも、水溶性ビタミン(ビタミンB群、ビタミンC)はとくに失われやすいといえます。

調理品は塩分が高め


手軽さが特徴の冷凍食品は、味付けをしなくても食べられるように、濃い味に調味されている場合があります。
一日の塩分摂取量の目安は、男性8g未満、女性7g未満ですから、一食で3g摂ると過剰摂取になります。
塩分の過剰摂取は、むくみや高血圧、腎臓への負担を引き起こしてしまいます。
冷凍食品を食事に取り入れる際は、塩分含有量を確認して一日の塩分摂取量を調整するとよいでしょう。

栄養の偏りに注意が必要


食事のバランスを整えるための料理や食材として冷凍食品を活用するのはよいことです。
しかし、冷凍食品だけに頼ると栄養が偏りやすくなります。

冷凍食品活用のポイント


冷凍食品を上手に活用して、健康的な食生活に役立てるためのポイントを整理しました。

製品の説明通りに解凍する


解凍の仕方が適切でないと、食材に含まれる水分が抜けて味や食感、栄養素を損ねてしまいます。
調理食品は、製品に記載されている方法に従って解凍してください。
野菜や肉、魚など、なかには解凍方法が示されていない食材もあります。
基本的に野菜はできるだけ冷凍のまま加熱、肉や魚は冷蔵庫でゆっくり時間をかけて解凍…と覚えておくとよいでしょう。
肉や魚は常温や電子レンジなどで急速に解凍すると、素材の細胞が壊れて水分やうまみ成分なども流出してしまいます。

栄養バランスを考えて組み合わせる


バランスの良い食事の第一ステップは、毎食で、主食(ご飯、パン、麺類など)、主菜(魚、肉、卵、大豆製品など)、副菜(野菜、海藻、きのこ類など)をそろえることです。
例えば、ご飯、ハンバーグ、サラダ、野菜スープという献立は、3つの料理グループがそろっています。
忙しい朝でも、トーストとコーヒーではなく、ハムをのせたトーストと野菜スープにするとバランスが整った食事といえます。
このようにバランスを考えるなかで、主食=冷凍チャーハンや冷凍うどん、主菜=冷凍唐揚げや冷凍の塩鮭、副菜=冷凍野菜を使った味噌汁、冷凍ほうれん草で胡麻和えなど、料理のグループを意識して活用するとよいでしょう。
料理をする時間がないから冷凍食品を使いたい…という場合は、お弁当タイプの製品や具材がたっぷり入った麺類などを選ぶのがおすすめです。

生鮮食品と組み合わせる


加工されている冷凍食品は、その製造工程を細かく知ることはできません。
実際に栄養素がどの程度残っているのか、厳密には分からないのです。
ですから、先にも述べたとおり、冷凍食品の活用にはメリットもデメリットもあることを踏まえ、特定の食品に偏らないように組み合わせて利用するとよいでしょう。
たとえば、冷凍チャーハンにカットレタスを加える、冷凍唐揚げにトマトを添える、野菜スープに生野菜と冷凍野菜の両方を入れる…といった具合です。

時期によって使い分ける


野菜や果物については、旬の時期はフレッシュなもの、時期が過ぎたら冷凍というように使い分けると、栄養価の高い時期の素材を効率的に摂取できます。
冷凍食品のほかにもレトルトやチルド食品など、手軽に献立に加えられる製品が続々と開発され、選択の幅が広がりました。
食生活に取り入れる際は、まずそれぞれの特徴やメリット・デメリットを押さえましょう。
そのうえで効率的に活用すれば、私たちの健康をサポートする心強いアイテムになってくれるはずです。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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