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春の花粉症がもたらす肌トラブル! 『花粉症皮膚炎』とは

2019-03-27 18:30:31


執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
本格的な春の花粉症シーズンになりました。
花粉症の症状といえば、一般に「目のかゆみ」「鼻づまり」「鼻水」「くしゃみ」が4大症状といわれています。
ところが最近は、肌荒れに悩む人も増えているといいます。
今回は皮膚に花粉が付着することで発症する「花粉症皮膚炎」を取り上げ、その症状や対処法についてお伝えします。

春先に生じる花粉症皮膚炎


花粉に対するアレルギー反応によって、結膜炎・鼻炎・咽頭炎などを引き起こす春の花粉症。
アレルゲンとなる花粉は、おもに2~3月はスギ、3~4月はヒノキがそれぞれ飛散のピークです。
「花粉症皮膚炎」は、この花粉が肌に接触することで、肌にかゆみや湿疹などの炎症が起こる症状です。
顔・まぶた・首といった、外部に露出している部分に症状が出やすいという特徴があります。
具体的には、顔全体がかゆい、腫れぼったい、肌が乾燥して粉っぽくなる、肌がヒリヒリする…などの症状です。
さらに、境界のハッキリした赤みの強い発疹が少し盛り上がってできる、ニキビのような小さなぶつぶつが広がる、頬やまぶたが全体に赤くなる、といったケースも見受けられます。
すでにアトピー性皮膚炎にかかっている人では、顔や首、あるいは全身の皮膚炎が悪化するリスクも伴います。
花粉症皮膚炎は春に見られる症状で、ほかの季節では起こらないといわれています。
その理由は、花粉症に加えて、「春」という季節が持つ特性にも関係していますので、次項でご説明します。

花粉症皮膚炎の原因:バリア機能の低下や乾燥


どうして花粉症皮膚炎が起こるのでしょうか。
花粉症の人は目や鼻の症状によって、目をこすったり鼻を何度もかんだりします。
こうした所作が原因で皮膚に摩擦が起こり、肌荒れからバリア機能が低下します。
そうすると、花粉の皮膚への浸透を許すことになるため、さまざまな症状を引き起こすと考えられています。
また、この時季は寒暖差の影響なども大きく、何もしなくても自律神経やホルモンバランスが乱れやすい季節です。
血流が悪化して肌に栄養が行き届かなくなり、やがてターンオーバーが滞るとバリア機能は低下します。
さらに、乾燥も原因のひとつです。
冬に比べると気温は上昇するものの湿度はそれほど上がらず、肌から水分が奪われて乾燥しやすい状態です。
そこに花粉が付着して、肌荒れや炎症が引き起こされる、ということも指摘されています。
その他にも、強くなりはじめる紫外線の影響や、大気中の有害物質との関連も無視できません。

花粉症皮膚炎への対応


花粉症であることに加え、お伝えしたような春という季節の特性もあいまって発症へとつながる花粉症皮膚炎。
次のようなポイントを押さえて、肌のバリア機能を正常に保つためのケアをすると効果的です。

しっかりと保湿をする


乾燥肌になっている皮膚に充分な潤いを与えて、保湿性を高めることが大切です。
洗顔や化粧落としによる強力なクレンジングに注意して、皮脂の減りすぎを避けましょう。

刺激を避ける


メイクや化粧品は、しみたりヒリヒリしたりするような製品の使用は避け、自分の肌に合った製品を使用する必要があります。
さらに、刺激の少ない皮膚保護剤やパウダーなどを使うと、皮膚に直接花粉がつかないように保護できます。

内側からも代謝を整える


一般に、バリア機能を内側から高めるためには、バランスのよい食生活やストレス解消などに努め、自律神経やホルモンバランスを安定させることが大切です。
たとえば、ビタミンB群には代謝を高める効果が見込まれますし、ビタミンCやEは弱った肌のサポート、ビタミンHはターンオーバーを促進する、といった作用を持っています。
また、ぬるめのお湯で半身浴を行うと、副交感神経が優位になって自律神経のバランスが整います。
そして、夜間に質の高い睡眠をとることで細胞の修復が促進され、バリア機能の再生が果たされます。

一般的な花粉症対策


薬の服用など花粉症の対症療法と併せて行う必要があるのは、アレルゲンとなる花粉を遠ざけることです。
日常生活においては次のような対策を心がけましょう。

目や鼻、口など花粉が侵入しやすい部位を花粉用メガネやマスクなどで覆い、髪もまとめて帽子を被るなどして花粉を防ぐ


とくに花粉の飛散が多いときには外出を避ける


外出時は花粉がつきにくい素材の衣服を着用し、洗濯物は室内干しにする


外出から帰ったら、家に入る前に花粉をよく払い室内に持ち込まないようにする


症状が激しいときなどは、手洗いとうがいをして、顔や目、鼻の中もよく洗う


自動車の通風孔に花粉対策用フィルターを装備するなど、車内への花粉の侵入を防ぐ


こうしたセルフケアにもかかわらず、つらい症状が続いている場合は、アレルギー科や皮膚科を受診しましょう。
花粉症にはアレルギー反応を抑制する抗ヒスタミン剤の服用や、炎症を抑えるステロイド剤の処方などの処置が施されます。
また、最近では舌下免疫療法のような根本的なアレルギー治療としての花粉症対策も広まってきているようです。
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku