E START

E START トップページ > ニュース > 国内

「子どもを投げてつぶしたい」保育士が2歳児に異常な暴言、保護者が暴いた保育虐待 ボイスレコーダーで発覚【Nスタ解説】

国内
2024-10-23 21:26

全国で相次ぐ保育施設での虐待についてです。大阪の認定こども園で、複数の保育士による子どもへの虐待が行われていたことわかりました。虐待を明らかにしたのは、異変を感じた保護者が録音していた音声でした。


【画像でみる】「投げるなら誰投げたい?」「へへへへ」2歳児に異常な暴言


2歳児に異常な暴言 音声が暴いた実態

保育士A
「早く、どうすんの!開けて!(机たたく)ドン!(机たたく)塗って!塗って!(机たたく)」

これは2024年6月、大阪府八尾市の認定こども園で録音された、保育士と子どものやり取りです。


保護者
「行きたくない、行きたくないって。家に帰るたびに泣き叫ぶとか」

保護者
「気づいてあげられなかった悔しさと、申し訳なさで、その夜も全然寝られなくて」


音声が録られたのは広さ20畳ほどの部屋。2歳児クラスの子ども10数人が在籍していました。

担当の保育士は、A(40代)、B(40代)、C(20代)のあわせて3人。

関係者から入手した音声データは2日分で、約14時間にわたるものです。

異変を感じた保護者が子どもの鞄にボイスレコーダーを隠し、録音しました。登園後まもない時間から、泣いている子どもを保育士たちが責め立てる場面がありました。


保育士A「行けってトイレに、連行するかほんまに」
保育士A「あの2人最悪や」
保育士B「ほんま最悪や」
保育士A「ねえ鼻水出てるって、朝から何回も言ってるよ!なんでふけへんの?なんで出てるのに気づけへんの?」

パンツやズボンがはけない子を馬鹿にするようなやり取りもありました。


保育士B
「いーや、トレーニングパンツはけなかったら捨てたろ、パンツ。パンツ捨てたろ、ゴミ箱に。いらんな?いらんな?アンパンマンのパンツ」

保育士B
「ええ、めっちゃ貧乏くさい、このズボン、穴開いているの。ワッペンつけられています」

そして、塗り絵の時間にはクレヨンで早く塗るよう強く迫る様子がありました。


保育士B
「(箱)開けて!(机叩く)」

保育士A
「ドン!(机叩く)開けて!」「ドン!(机叩く)塗って!」


保育士3人「投げるなら誰投げたい?」 そばに昼寝の子どもたちがいたか

さらには保育士3人が「ストレスの発散」としてこんな話をする場面も…

保育士C「何でも壊せる施設あるの知ってます?ストレス発散にガラクタ」
保育士A「投げたりする」
保育士B「私○○(幼児の名前)をジャイアントスイングして投げたい」
保育士A、保育士B「ハハハハハ」
保育士B「そんなんつぶすなら」


皿や瓶を投げてモノを壊す娯楽施設で、「子どもを投げたい」と話していたのです。

録音された時間などから、そばには昼寝をしている子どもたちがいたとみられています。


保育士A「投げるなら誰投げたい?」
保育士B「へへへへ」
保育士B「私3人おるな」
保育士A「投げ方としては人間やろ、ヒューバーン!みたいな。ヒューヒューと投げる」
保育士B、C「ハハハハハ」
保育士A「どちらにしようかな…。○○ちゃん(幼児の名前)やな」


市の担当者「心理的虐待に該当する」

録音した保護者はすぐに「八尾市」と「園」に通報。

音声を聞いた市の担当者は…


八尾市 保育・こども園課 和島あかね 課長
「感情にまかせて叱責したりとか威圧的なものであるので、これはもう心理的虐待に該当するということで判断した」


園は、緊急の保護者会(当該クラスのみ)を開き「不適切保育があった」と謝罪。保育士3人をクラスから外すとしたうえで、再発防止に努めると説明しました。

園が市に報告した内容によると、保育士たちの動機はこう書かれています。


園が市に提出した『経緯報告書』より
「保育がうまくいかないことに感情的になった」


保育士3人は発覚から数日後、諭旨退職処分となりました。

園は取材に対し、「多忙さが保育士の余裕をなくし、今回の件を招いたと推察する」と回答しています。

乳幼児教育の専門家は…


玉川大学教育学部 大豆生田啓友 教授
「これすごく不思議なのは、大人の声と子どもの泣き声しかほぼ聞かなかった。異常ですよね、子どもの声が聴こえない。異常。2歳児しゃべりますよ、もっと。

(子どもが)自分で主体的に動いたり、自分って結構できるかもと思えたり、そういう風なことが育つ大事な時期。管理統制・強圧的にされるとそれが育っていかない」


録音のきっかけは「子どもが先生を怖がっている」

小笠原亘キャスター:
多くの保育施設が子どもに寄り添った保育をやっていますが、一部で心が痛むような事案が起きているということです。

2024年6月、大阪府八尾市の認定こども園で、虐待事案が起きました。

保育士3人の音声があり、非常に高圧的で、子どもを馬鹿にしたような音声でした。


音声は、子どもの異変を感じた保護者が子どもの鞄にボイスレコーダーを入れたことによって録音されたものです。この行為は、保護者としてかなり勇気のいる行動だと思います。


この音声を持って保護者は「八尾市」と「園」に通報を行いました。

八尾市は「心理的虐待」を認めました。当該の認定こども園は「不適切保育があった」と謝罪をしました。

一方、八尾市は当該の園に対して、特別監査に入ったものの、改善がみられると処分をせず、事案の公表もしなかったということもありました。


そもそも、保護者はなぜ録音をするにまで至ったのかですが、関係者や園の報告書によると、園に連れて行く際に子どもが先生を怖がっているような発言をしていたそうです。

保護者は、発覚前に相談をしています。当時、認定こども園側は、進級して1か月ほどとして「まだ慣れていないだけ」などと回答。八尾市側は「話だけでは難しい」としました。

保護者は意を決して、子どもの鞄にボイスレコーダーを忍ばせたことで、こういった事案が明らかになりました。


発覚後 園「(防犯カメラを)5分ほど見た中では見当たらなかった」

ホラン千秋キャスター:
録音は14時間に及んで、その中であれだけの実態が出てきました。日常的に何度も繰り返し、心理的虐待が行われていたと推察できます。

その状況をどうにかして欲しいのに、なかなか積極的に調査や対策に入っていけない部分については、どう捉えればいいんでしょうか。


TBSテレビ 調査報道部 樫田小夜 記者:
現在の調査のあり方に多くの課題があると思います。立ち入り検査について、認定こども園法には「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない」と定められています。行政として、踏み込んだ対応がしにくい状況にあるということがあります。


虐待が発覚した後に、八尾市は「防犯カメラの確認」を園側に要請をしていましたが、当該の認定こども園側は「時間がなく少ししか見ていないが、5分ほど見た中では見当たらなかった」と回答。やり取りは、これで終わっています。

14時間の録音データがありますが、園が確認した防犯カメラは5分ほど、という状況で調査が終わっていることになっています。


井上貴博キャスター:
今回のケースもそうですが、家庭・学校である「いじめ」や「虐待」の事案は、それらがないことを前提に話は進んで、保身になることが結構あると感じています。

企業・政府の不祥事の対策もそうですが、それらがあったことを前提にして、いかに徹底的に調査ができるか。その情報をしっかりと公開できるか、透明性を確保できるか、この初動を間違うことが最大のリスクだと思います。


オンライン直売所「食べチョク」秋元里奈 代表:
今回は、園ももう少し何か手を打てなかったのかと感じてしまいますね。

お子さんはまだ2歳でも喋れると言っても、おそらくこの状態が異常だとわからないと思います。やはり被害者側から声が上げづらい。今回、たまたま保護者が勇気を出したからこそ発覚しましたが、それ以外の子どもたちも影響を受けているわけで、ブラックボックスになりやすいと思います。

今回は保育園ですが、特にガバナンス面、園側が密室で何が行われているか、何か声が上がったときにしっかり調査をすることは徹底しなければいけないと思います。


子どもの被害 “大人”と“行政”は何をすべき?

ホランキャスター:
「5分ほど見た中では見当たらなかった」と返答すること自体が、園としてこのような事例に対する意識が低いのかなと感じられてしまいますよね。


TBSテレビ 調査報道部 樫田小夜 記者:
現在の虐待の調査は、国のガイドラインの中でも、まずは問題を起こした園が調査することになっていて、行政側は相談を受ける、情報提供を受けるという受身側になっています。

ただ、保育の現場はとても大変なので、こういう問題が起きたときに、保育園が徹底的に調査することは、なかなか難しいところもあります。

子どもが被害を訴えることは難しいので、大人が、行政が責任を持って調査をすることを徹底していく仕組みを作らないといけないと思います。


井上キャスター:
きっと行政も踏み込みきれないところがあると思います。考え方として、例えば民間企業と同じように第三者委員会を設置するようにするなど、枠組みを決めてもいいと思います。


オンライン直売所「食べチョク」秋元里奈 代表:
今回、特に対応がないということですが、そういうことが起きてしまったら、例えば集客ができなくなるなどがないと、第三者委員会を立ち上げる労力をかけるインセンティブがなくなってしまうと思います。

今回に関しても厳しい対応をとった方がいいと思ってしまいました。


<プロフィール>
樫田小夜
TBS報道局 調査報道部・記者
子どもの虐待・性被害などを取材

秋元里奈 さん
オンライン直売所「食べチョク」代表、33歳、神奈川の農家に生まれる。


「コバエが、料理に一瞬だけ止まってしまった!」その料理、衛生的に大丈夫?専門家に聞いた
右腕は切断され、売られた アルビノの体を呪術に使用 “これはビッグビジネス” ザンビアに残る“迷信”の実態
ビール1杯で高まる大腸がんリスク、厚労省が初の「飲酒ガイドライン」、“健康的に”お酒を飲むには?【Nスタ解説】


情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

この記事へのFacebookのコメント

人気記事

ページの先頭へ