熊本地震では、死者278人のうち災害関連死がおよそ8割を占めました。ただ、これは「氷山の一角に過ぎない」と訴える遺族がいます。4歳の娘を亡くした母親の思いとは。
熊本県合志市に住む宮崎さくらさん。熊本地震で4歳の次女・花梨ちゃんを亡くしました。
生まれつき心臓に病気があった花梨ちゃん。幼稚園に通う夢を叶えるため、熊本市民病院で手術を受け、集中治療室で治療を続けていました。
当時の病院は国の耐震基準を満たしておらず、病棟は損壊。花梨ちゃんは100キロ以上離れた福岡市内の病院に転院せざるを得ませんでした。
宮崎さくらさん
「(福岡到着時)転院前の花梨とは違う姿」
長時間の移動が負担となり、本震の5日後、花梨ちゃんは息を引き取りました。地震との因果関係は明らかでしたが、さくらさんは当初、「認められて何が変わるのか」と申請をためらったといいます。しかし、花梨ちゃんのためにと申請を決断。
宮崎さくらさん
「(花梨は)病気に負けたのではなく、地震があったから亡くなったんだと」
関連死と認定されるには、遺族が申請しなければならず、多くの書類も必要です。さくらさんにとって最も負担だったのが「死亡状況調書」でした。
宮崎さくらさん
「(亡くなるまでの状況を)正確に思い出して書く必要があった。大切だが、遺族にとってはつらい」
さくらさんとともに活動する弁護士は今の制度の課題について…
災害関連死制度に詳しい 在間文康 弁護士
「災害の影響があったか解き明かすことを遺族側に求めるのは難しい」
そのため、書類作成の支援を行う必要性を訴えます。さらには身寄りがなく、申請がないケースも想定されることから…
災害関連死制度に詳しい 在間文康 弁護士
「もっと多くの(災害関連死が)いた可能性が高い」
去年1月に起きた能登半島地震でも多数の関連死が認定されていますが、在間弁護士は今の制度の下では、全容を把握することは難しいと指摘します。
さくらさんは去年3月、「災害関連死を考える会」を立ち上げました。
宮崎さくらさん
「家族で話し合い、申請をしないと決めた人も知っている。見えている数字(死者278人)は氷山の一角」
悲劇を繰り返さないためにも災害関連死の実態把握を求めています。
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