
4月に入っても感染拡大が止まらないノロウイルス。
さらにこれから夏日の予報が続き、細菌による食中毒にも注意が必要です。
【写真を見る】“2つの型”が流行?「ノロウイルス」4月でも感染拡大 夏日続出で食中毒リスク増【ひるおび】
4月でも減らないノロウイルス
全国から集団食中毒の報告が相次いでいます。
栃木市では4月9日、仕出し弁当店が提供した弁当を食べた男女72人が下痢・発熱・嘔吐などの症状を訴え、店は営業禁止処分に。富山市でも回転寿司店でノロウイルスによる食中毒が発生。患者の数は120人に上っています。
さらに福岡市では、保育施設で感染性胃腸炎による集団感染があり、園児41人と職員3人が嘔吐や下痢の症状を訴えています。
都内のクリニックでも、4月になってもノロウイルスの患者が毎日診察に来ているといいます。伊藤博道院長は、「今までにない異例の事態」だと話します。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
普通ですと(4月は)だんだん減ってきている頃なんですけど、まだ1日に2、3名から多い時には5、6名の方が点滴治療をするような状況ですから、多いと思いますね。
ノロウイルスの感染から発症までは、24時間~48時間で、特効薬はありません。
主な症状としては、吐き気・おう吐、腹痛・下痢、軽度の発熱などがあります。持病のある人や高齢者、乳幼児などは脱水症状を起こし重症化のリスクがあります。
わずかな量が体内に入ることで感染してしまうほど非常に感染力が強いウイルスで、一般的には寒い時期(11月~3月)に流行すると言われています。
流行が長引いている原因は『季節のズレ』と『2つの型』?
なぜ4月になっても感染が拡大しているのでしょうか?
一つ目の要因として考えられるのは『季節のズレ』です。
気象予報士の森朗氏によると、1月は暖かい日が多く、2月3月は“寒の戻り”があり平年より寒い日が続きました。
ノロウイルスは寒い季節に流行するため、これにより感染の始まりが遅れ、さらに流行が長引く一因になった可能性があります。
さらに伊藤院長は、乾燥・寒波・寒暖差による人々の免疫力の低下も流行を加速させたのではないかと指摘しています。
2つ目の要因は、『“2つの型”の流行』です。
ノロウイルスには「型」があり、毎年1つの型のウイルスが流行しています。
しかし群馬パース大学大学院の木村博一教授が今年1~3月のウイルスを調査したところ、「従来型」「新型」の2つのウイルスが同時に流行していたことが分かりました。
伊藤院長:
コロナ禍でウイルス感染が抑えられていた間に、いつの間にかウイルスも遺伝子変異を重ねて新しい型のものに置き換わっているので、古い型も新しい型も混じっている。
我々にとって免疫でコントロールしにくいウイルスが流行っていることで、感染力がいつにも増して強いのではないかと思います。
ノロウイルスに感染したらー
ノロウイルスは通常のアルコール消毒が効きにくく、予防の基本は「石鹸による手洗い」です。
手の脂肪などの汚れを落とすことで、ウイルスが手指から剥がれやすくなります。
もしノロウイルスに感染してしまった場合、脱水症状を起こす可能性があるため、十分な水分と栄養補給が必要です。
伊藤院長は水分補給する際の注意点として、
「水分は一度に多く摂取すると吐き気を誘発する恐れがあるので、徐々に量を増やす方が良い」としています。
さらに感染の初期の段階では、体からウイルスを排出する方が良いので「下痢止め」は使わない方がいいそうです。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
整腸剤は飲んでいいです。腸内環境を安定させてむしろ良い方向に行きますから、まず整腸剤を飲んで、症状が重い・食事が摂れないというときには受診していただくのがいいと思います。
家族などに感染者が出た場合
◆感染者が使用した食器は洗剤などで十分に洗浄後、熱湯(85℃以上)で1分以上加熱か、塩素系消毒液に浸して消毒する。
◆ドアノブなども塩素系消毒液で消毒し、金属の腐食を防ぐため消毒後に拭きとる
◆感染者が嘔吐した場合
・マスクとゴム手袋をして吐しゃ物をペーパータオルなどで広く覆う
・塩素系消毒液をたっぷりかけて10分以上放置し、ウイルスを失活させる
・ペーパーごと土砂物をゴミ袋に入れ、塩素系消毒液で拭く
・マスク・手袋も捨てる
ノロウイルス+細菌性の食中毒 W流行に注意
6月はO‐157、カンピロバクター、サルモネラ菌など、細菌性の食中毒が増える時期です。
気象予報士 森朗氏:
1か月予報を見ると、平均気温も向こう1か月高いので、場合によっては6月の気候が前倒しになってやってきます。
ノロウイルスの流行が終わらないうちに、細菌性の食中毒が増える可能性があります。
伊藤院長:
ノロウイルスは90度レベルで90秒とか相当熱くしないと死滅しないということは、今ぐらいの気温だとノロウイルスにとっては生き延びられるんですよね。
生き延びられる期間が多少短くなっても、これだけ高いピークを作った後ですから、まだまだ高い水準で感染者がいるということです。
これからの時期は、ノロウイルスによる食中毒・細菌による食中毒、ダブルの流行に注意が必要となりそうです。
(ひるおび 2025年4月16日放送より)
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