子どもたちを守るための学校の取り組みについてみていきます。
私学では…防犯カメラ63台、警備会社のガードマン常駐
日比麻音子キャスター:
東京・品川区にある青稜中学校は、▼防犯カメラを63台設置▼警備会社のガードマンが常駐▼侵入を防ぐため窓の開閉幅を狭くするなどの防犯対策を行っています。
さらに、緊急時の連絡が取れるようにスマートフォンの持ち込みが可能です。授業中は電源をオフにしますが、スマホを持っていることで、心の安心にも繋がっているといいます。
実際に取材をした高柳キャスター、いかがでしたか。
高柳光希キャスター:
都内の中学校では、ボタンを押すだけで警察に繋がる緊急通報があり、驚きました。公立の中学校や高校は自治体と協力しながら、手を取り合って対策をしていくことが重要だと思いました。
日比キャスター:
多くの学校にとって、防犯対策を見直すきっかけとなったのが、2001年6月に起こった事件。大阪教育大学附属池田小学校に刃物を持った男が侵入し、児童8人が殺害されました。
その後も、事件が相次いでいます。
2012年 東京・練馬区の小学校
→上半身裸の男が侵入し、女子児童がけが
2023年 埼玉・戸田市の中学校
→刃物を持った少年が侵入して教員を切りつけ
2023年 宮城・栗原市の小学校
→男が軽トラックで侵入 児童4人がはねられけが
小・中学校などの不審者侵入防止対策の導入率は以下の通りです。(2023年度 文部科学省より)
▼さすまた 92.2%
▼防犯カメラ 64.6%
▼玄関 インターフォン 60.2%
▼警備会社と連携 60.3%
最近の学校の防犯対策は?「ネットランチャー」「通報システム」導入も
常葉大学教育学部 木宮敬信教授:
最近の学校では、さすまたなどの他に、ネットランチャーなどの防犯器具を常備する学校も増えてきました。また、各教室から職員室に直接連絡ができるような通報システムを設置している学校も出てきています。
事件があった附属池田小学校では、校舎内に300か所以上押しボタンをつけていますし、各教室にも4つぐらい非常用押しボタンが付けられている状況です。
日比キャスター:
いざというときに向けた訓練なども実施していますか?
常葉大学教育学部 木宮敬信教授:
ほとんどの学校では、不審者対応マニュアルを作っていて、それに沿った訓練を行っています。ただ、子どもたちが参加する訓練というのは少なく、大体が教職員が研修などの場で訓練をするというパターンが多いです。
想定している訓練は、不審者が単独の場合がほとんどなので、今回のように複数だった場合の対応などについては、今後、検討していく必要があると感じました。
専門家に聞く「複数犯には、どう対応するべきだった?」
日比キャスター:
今回の事件については、保護者の母親とともに男2人が学校の敷地に入ってきたということですが、どのような対応をするべきだったのでしょうか。
常葉大学教育学部 木宮敬信教授:
特に公立の小学校の場合、校門を閉めていたとしても、校舎の中の敷地に侵入するというのは、そんなにハードルは高くないです。ただ、校舎の中へ侵入される、さらには教室まで直接行かれてしまった場合は、やはり検証が必要だと思います。
通常は、校舎の中に入る時点で何らかのハードルがありますし、そういった対応についてはできるだけ教室ではなく、子どもたちのいない場所で行うことが原則です。なぜ教室まで行ってしまったのかというところについては、検討する必要があると思います。
私立・公立で防犯対策に差も
日比キャスター:
木宮先生は「私立と公立では防犯にかけられる資金に差がある場合もある」と指摘しています。
常葉大学教育学部 木宮敬信教授:
私立学校の場合は、独自の財源で防犯対策を行うので、非常にお金をかけて防犯活動をしているというところもあります。特に“安全意識の高い学校”ということが、一つの売りになることもあるので、お金をかけている学校もあります。
自治体によってもちろん差がありますが、公立の場合は、なかなかお金をかけられないという事情もあります。お金をかければ、新しい防犯対策を取り入れることができますが、なかなか導入が難しく、さらに人手を確保することもなかなか難しいということもあります。
ただ、私立であってもお金をかけられない私学もあるので、私学の場合にはかなり差があるというのが実情です。
校門から職員玄関まで誘導する“ライン”で不審な行動を察知
日比キャスター:
資金面の課題も見えてきましたが、お金をかけずともできる対策として、次のようなものが挙げられています。
▼スクールガード
登下校の時間帯を中心に子どもを見守るボランティア
▼来校者誘導ライン
校門から職員玄関まで誘導するラインを引くことで、ラインから外れたら“不審な行動である”と判断し、警戒をすることができる
常葉大学教育学部 木宮敬信教授:
どんな目的を持って学校に来たのか明確であることは大事ですから、例えばラインを外れて歩いている人がいれば、目的外で学校に来ているということが明らかになります。
今回紹介したのは外の訪問から玄関までのラインですが、校舎の中にもラインを引いて、玄関から職員室まで誘導するラインを引いている学校もあります。
この取り組みは、そこまでお金もかからないので、非常に優れた導入しやすい例だと思います。
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<プロフィール>
木宮敬信さん
常葉大学教育学部 教授
学校安全・防犯教育などが専門
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