
来年4月から自転車の青切符制度がスタートします。ですが、考えてみれば、これまでも「自転車の取り締まり強化」みたいなことは繰り返されてきましたよね。今回もまた同じ?それとも?自転車博士(Ph.D.環境情報学)でもある疋田記者が解説します。(アーカイブマネジメント部 疋田 智)
【写真を見る】自転車の「青切符」は成功する?それともまた?【TBSアーカイブ秘録】
自転車にも青切符
先月(2025年4月)警察庁から「自転車青切符」について、113の具体例と、それぞれの反則金が発表されました。昨今の自転車の事故の多さに警察もやっと重い腰を上げたという格好ですが、考えてみれば、こうした「取り締まり強化」って以前から何度も何度も思い出したように繰り返してきましたよね。
その度に「取締り」の映像がニュースで流れ、あるときは「ブレーキなしピスト」がターゲットだったりしましたし、「自転車安全五則を守ろう」なんてキャンペーンだったりもしました。
でも「喉元過ぎれば熱さ忘れる」で、流行りが終われば元の木阿弥、と、そう思いませんでしたか? 今回もそれと同じなんでしょうか。
無法自転車には「はじまり」がある
自転車のマナーの悪さは、じつは1970(昭和45)年の道交法改正時にまで遡ります。このときに条件付きながら「自転車の歩道通行」が認められました。
歩道上は左右の規定がありません。そして、自転車は、左右デタラメ、車道も歩道もOKと、「ヘンな自由」を得てしまったのです。
そこから自転車は徐々にルールやマナーを守らない存在となり、あまりに目にあまると「取り締まり強化」「厳罰化」が言われるようになったのです。
教育の方向がとんちんかん
学校教育でも、自転車の教育をしようとしました。
しかし、教える内容は「横断歩道は自転車をおりて」「右折左折などのハンドサインを出しましょう」みたいな大人もやっていないことばかり。
熱心な学校は「8の字走行をする」「ジグザグ運転をする」みたいな練習もします。これらの技量を競う全国大会があるからです。熱心なのはけっこうですが、こういう曲芸みたいな技量が、はたして交通安全や事故減少に効くかどうか。ちょっと疑問です。
今回ばかりはちょっと違う?
なかなかうまくいかなかった自転車ルールの徹底。そこには自転車ならではの事情がありました。それは従来の取締りは「赤切符か見逃しか」のふたつしかなかったからです。
つまり、自転車の取締りは、赤切符を切られて(その後起訴されて)前科がつくか、無罪放免のどちらか、極端な対応しかできなかったのです。
ところが今回は違います。昨年(2024年)3月の閣議決定を受けて、クルマと同じような行政処分、つまり青切符を切ることが可能になったのです。青切符の反則金なら、手続きが簡単です。
113項目は多すぎる?
では青切符が切られる具体的な違反例はどんなものなのでしょうか。
先月の警察庁発表(案)では113項目。スマホながら運転(反則金1万2,000円)から始まり、歩道走行(同6,000円)、傘差し運転(同5,000円)などが含まれます。
しかし、中には泥はね運転(同5,000円)、警音器(ベル)使用制限違反(同3,000円)など、少々「?」なものもあり、これ全部守れる? 覚えること自体が大変、という側面があるといえるでしょう。
優先順位を決めないとなおらない
現状を鑑みると、たとえば「自転車の歩道通行」を取り締まろうとしても無理でしょう。ハンドサイン(合図不履行)もかなり無理です。誰も守ってないし、そもそも取り締まるだけの警察官が足りません。
ここは113項目などと言わず、事故に直結する数項目を重点例とするべきではないでしょうか。
よくいわれるように「スマホながら運転」などは最悪です。それ以外に、厳しく取り締まるべきは「事故に直結するもの」。たとえば「逆走」「信号無視」「遮断踏切侵入」あたりでいいのではないでしょうか。それ以外は、また次の機会に、と。でないと、またいつものようにグダグダになってしまいます。
そうそう飲酒運転は?
飲酒は最悪最低で青切符どころか赤切符です。
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