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「生きているだけでいい」俳優・山田裕貴さん 戦争を語る…沖縄・伊江島の戦いが映画化 終戦後に“木の上で2年”“銃弾と共に生きた”日本兵の思い【news23】

国内
2025-06-25 16:30

「沖縄戦の縮図」とも言われる沖縄・伊江島での戦い。この島では終戦を知らず2年間を木の上で過ごした日本兵がいました。今年、その史実を基に製作された映画が公開されます。極限状態の中で生き抜いた日本兵を演じる俳優・山田裕貴さんが撮影を通して感じた戦争への思いを語りました。


【写真を見る】映画のモデル・佐次田秀順さんのカラダに残っていた銃弾


終戦を知らず木の上で2年…晩年まで伝え続けた「戦争は避けなくてはいけない」

映画「木の上の軍隊」は、沖縄県・伊江島で終戦を知らず、2年間、木の上に身を潜め続けた日本兵2人の実話を基にした物語です。このうちの一人、佐次田秀順さんをモデルとした兵士を俳優の山田裕貴さんが演じました。


山田裕貴さん(34)
「ご飯があること、飲み物が飲めること、これは僕、日々感謝しようって思っていて、日々ありがとうって思っているんですけど、改めて強く大事だなって、当たり前ではないなってことを強く思いました」


映画の舞台となった伊江島。米軍から激しい攻撃を受けたほか、ガマに逃げ込んだ住民が自決するなどし、当時、島にいた住民の半数、約1500人が犠牲になりました。


取材に応じてくれた佐次田さんの息子・満さん(77)は、この戦いで銃弾を受け、亡くなるまで足を引きずる父の姿を間近で見てきました。


秀順さんの息子 佐次田満さん
「火葬をしたときに銃弾がでてきた。だいぶ変形して、父親からしてみたら銃弾が自分のカラダから離れて、それでようやく戦後が終わったと」


自らの体験は、ほとんど語らなかったという佐次田さんですが、「戦争は避けなくてはいけない」。晩年まで、そう伝え続けていたと言います。


演じた山田さんは…


山田裕貴さん(34)
「自分が起こせる波紋なんて、きっと大したことないのかもしれないけれど、こういう作品を通して見てもらって、生きてるだけでいいじゃんみたいな、ちっちゃなことで悩んだり争うのやめようみたいな、そういう心が伝播していくだけでも世界を変えてるのではと、どうにか思いたいし、そういったことを伝える中で、ちょっとでもそういう広がりがあれば、それがいつか僕の世代ではないかもしれないけど、いつか平和な日が来るのかななんて夢見ています」


“沖縄戦の縮図” 伊江島の戦い 「一人ひとりの戦争体験のミクロの視点を」

藤森祥平キャスター:
山田さんは役を演じる上で、表現は所詮作り物だから、とにかくどれぐらい真実に近づけるかというのを、“ひたすら当事者の気持ちを想像する”とお話をされていました。

今も世界でいろんな戦争が起きている中で「生き続けたい」と、何とか力を振り絞っている人たちの声を、私たちは想像し続けないといけないですよね。


株式会社 QuizKnock CEO 伊沢拓司さん:
よりリアルに、手段としての戦争・防衛について考える場面が増えた中で、もちろん綺麗事だけで国を守れるとは思わないけれども、やはり一人ひとりの戦争体験というものがあり、一人ひとりが戦争の被害者である。我々はそのミクロの視点を、まず手段を語る前に必ず思い浮かべなければならないですよね。


戦争の持つ実感というのを、いま日本に生きているほとんどの国民は味わえていないですが、語り継がれてきた手触りというのは、我々がまず思い浮かべなければいけないポイントなのかなと思います。


小川彩佳キャスター:
佐次田さんのご遺体の中に残されていた銃弾を目にしたとき圧倒されるものがありました。やはり人生を全うするその瞬間まで、佐次田さんの中で戦争が続いていたんだな、ということを感じました。今も伊江島には基地が広がっているその景色の前には、80年前というのはそう遠くないということを改めて実感させられました。


小説家 真山仁さん:
一方で、80年間日本は戦争に巻き込まれていない。ただ、世界中でずっと戦争は続いてます。今もずっとやっています。


6月になると沖縄、8月になると日本全国が戦争の話になる。これはすごく大事なことだし、語り部がいることも、こういう映画で語り継がれることも大事なんですけれども、もう一歩踏み込んで、誰もが駄目だと思っている戦争がなぜ起きるんだというところが本当に重要。それをそれぞれの人がまず想像から始めて、何でこんなことが起きちゃったんだろうということを踏み込んで話し合う機会みたいなことをやらないと、結局経験者がいなくなってくるので、気づくと戦争に巻き込まれてしまっているということが起きるかもしれない。


だから、戦争について考えるときが風物詩になってはいけないと思います。毎日、いつでもどこでも起きるかもしれないということを考えると、やはり「なぜ」というところにもう少し我々が踏み込まなければいけないのではないかと思います。


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<プロフィール>

真山 仁さん
小説家「ハゲタカ」「ロッキード」など
最新著書に「ロスト7」

伊沢 拓司さん
株式会社 QuizKnock CEO
クイズプレーヤーとして活躍中


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