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『より速く』の先に…新幹線“開業60周年”から見えるもの【風をよむ・サンデーモーニング】

総合
2024-10-06 15:12

今から60年前の10月1日、日本が世界に誇る、「夢の超特急」新幹線がデビューしました。あれから60年、リニア新幹線も実現に向かうなか、新たな問題が浮上しています。


【画像】日本が世界に誇る新幹線の数々


「歴史の1ページに立ち会えた」開業60周年 東海道新幹線 

10月1日、開業60周年を迎えた東海道新幹線。


東京や大阪など、各地に多くのファンが集まりました。



「歴史の1ページに立ち会えたような。感慨深いですね」


「もうそんなに経っているのかと思ったりして。これからも頑張ってもらいたい」


いまや北海道から九州まで日本列島を貫く新幹線。


その出発点は1964年10月1日、東京オリンピック開幕の9日前でした。


デビュー当時の車体「0系」の最高時速は210キロ。


世界で初めて200キロを超える速度で営業運転を実現。6時間半かかった東京・大阪間を4時間で結び「夢の超特急」と呼ばれました。


新幹線を一目見ようと、線路脇には人が鈴なり。


今では見られないビュッフェ車両も大人気。


戦後日本の経済復興の輝かしい象徴となったのです。


“より速く”開発進む「リニア中央新幹線」 時速は500キロに達する見通し

その後、新幹線は“より速く”が求められ、スピードアップを重ねました。


国鉄民営化後の1992年に登場した「300系」は時速270キロ。


流線型の外観を誇った「500系」は、時速300キロを実現。


さらに、東京・新大阪間で、初めて2時間半を切ったのが「N700系」。


現在、最速の新幹線は、東北を走る「E6系」で320キロに達します。


そうした中、開発が進むのが「リニア中央新幹線」。


速度は、時速500キロに達し、品川・大阪間を、わずか1時間7分で結ぶ予定です。


工事による環境問題などから、開業が大幅に遅れていますが、就任後初の会見に臨んだ石破総理は…


石破茂 総理
「リニアの早期開業に向けた環境整備を行っていく」


相次ぐ鉄道の廃線・トラブル 「安全神話」を誇っていたが…

新たな新幹線に巨額の公的資金が投じられる一方で…


2024年3月、JR根室線の富良野と新得の間が、100年あまりの歴史に幕を閉じました。


今、全国で赤字が膨らむ鉄道の廃線が相次いでいます。


地震と豪雨被害を受けた能登半島でも、2001年以降、七尾・穴水間をのぞく路線が廃止。


移動は道路が頼りですが、現在も一部が寸断されたままです。


鉄道や道路などのインフラ問題に詳しい東京科学大学の柳瀬教授は…


東京科学大学 柳瀬博一 教授 
「日本は鉄道で『街』ができた時代が長かった。地方と東京がスピーディに結びつく、やはりこれはすごく力があった。ところが今、地方の交通問題は『高齢化と過疎化』でここをどうするのか。弱者が暮らしやすい交通網をサービスするライドシェアなども含め、地元の人が安心安全に使える仕組みに投資すべきだと思う」


開業から60年。


脱線などの事故で亡くなった乗客が一人もいないという「安全神話」を誇る新幹線にも、このところトラブルが…


2024年7月、東海道新幹線で保守用車両が衝突・脱線し、約25万人が影響を受けました。


また9月には…


時速約315キロで走行していた東北新幹線「はやぶさ」と「こまち」の車両連結部分が外れ、緊急停車する前代未聞の事態となったのです。


また、JR貨物が車軸を組み立てる際のデータを改ざんしていた問題も発覚。インフラへの信頼が揺らぎかねない事態となりました。


斉藤鉄夫 国交大臣
「安全確保は鉄道事業者にとって最も基本的かつ、最も重要な使命」


老朽化待ったなし「首都高」「橋」「トンネル」 専門家「徹底的にサポートを」

そして鉄道に限らず、多くのインフラが転機を迎えつつあります。


例えば1962 年に開通した「首都高速道路」。


老朽化が懸念される建設後50年以上経過した路線が3割を越え、補修作業が不可欠です。


全国を見渡しても、建設後50年以上経過した「橋」は37%、「トンネル」は25%と、こちらも老朽化対策は待ったなしです。


日本社会の成長を支えたインフラが迎える危機的状況を、柳瀬教授は…


東京科学大学 柳瀬博一 教授
「(経済)成長の仕方が1980年ぐらいまでと根本的に違う。今、ポスト・インフラの時代になって、新しいインフラを整備する段階から、今ある橋やトンネルといった既存インフラを徹底的にサポートし直す。スピード(の追求)以上に重要」


70年代、こんな交通標語がありました。


「せまい日本、そんなに急いでどこへ行く」


今、改めて速さばかりを追い求める時代ではないのかもしれません。


(「サンデーモーニング」2024年10月6日放送より)


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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