アサド政権が崩壊したシリア。喜びの声が上がる一方で、アサド前大統領と同じ宗派だった人たちは「報復を恐れている」と話すなど、不安な日々を過ごしています。
「どこ出身だ?」
「ここだよ」
「お前はスンニ派か、アラウィ派か?」
「アラウィ派です」
「くそったれ。今すぐ出ていけ」
これはアサド政権崩壊以降、撮影されたとみられる動画で、「アラウィ派だ」と告げた男性が「出ていけ」と高圧的に罵倒されています。
アラウィ派とは、アサド前大統領が属していたイスラム教の一派のことで、シリアでは全人口の10%ほどと、少数派です。
アサド前大統領の独裁政権下では、アラウィ派の人たちが軍や警察などの権力の中枢に多く登用されてきました。そのため、政権崩壊以降、アラウィ派の人たちにも憎悪が向けられているのです。
記者
「ほかのダマスカス市内の場所よりも、道を歩く市民の数が少なく思えます」
JNNが取材に入ったのは、首都ダマスカスの西部。住人の7割ほどをアラウィ派が占めるこの町は、シャッターの閉まった店が目立っていました。
『アラウィ派』の住人
「私たち(アラウィ派)が今恐れているのは報復です」
アラウィ派の住人はこう不安を漏らします。
過去、アサド体制時代のシリア軍に従事していたこちらの住人は…。
『アラウィ派』の住人
「復讐が行われると思いました。子どもを連れて故郷に戻っていました」
復讐を恐れて、政権崩壊の数日前から避難していたといいます。
『アラウィ派』の住人
「恩恵を受けていたのは、アサド家やその親族など20ほどの一族だけです。残りのアラウィ派は、みな飢えていました」
アサド政権下で優遇されていたのは、ごく一部のアラウィ派の人だけだったといいます。今後、新政権には「宗派に関係なく、国を結集してほしい」と訴えます。
『アラウィ派』の住人
「アサド政権のようにならないでほしい」
「多数派も少数派も加わる、市民に尽くす政府であってほしいです」
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