
今、子どもの大半が「睡眠不足」になっているという調査結果が発表されました。
睡眠不足により、健康や学習などに悪影響を及ぼすことも・・・
背景には何があるのでしょうか?
【写真を見る】中学生で睡眠7時間も…子どもの「睡眠時間」全年代で不足 背景に習い事やスマホ【ひるおび】
子どもの睡眠時間 全年代で不足
厚生労働省が推奨する睡眠時間は
▼1~2歳児 11~14時間
▼3~5歳児 10~13時間
▼小学生 9~12時間
▼中学・高校生 8~10時間
となっています。
しかし、東京大学と理化学研究所が共同でおこなう「子ども睡眠健診プロジェクト」で「睡眠」の実態を調査したところ、各年代で8割前後の子どもたちが基準を満たしていないという結果となりました。
小6・・・94.6%
中3・・・87.8%
高3・・・94.9%
高校生では各学年の2割以上が「睡眠時間6時間未満」であるという結果も出ています。
睡眠コンサルタント 友野なお氏:
子どもにとっては心と体と脳の発育に欠かせないとても重要な時間なので、絶対に削っていただきたくないです。
教育アドバイザー 清水章弘氏:
部活が忙しい高校生や中学生がたくさんいますので、私の現場の感覚としては大抵7時間前後が睡眠時間という子が多い印象です。
街の人はー
「布団に入るのは10時ぐらいだと思うんですけど。1時間ぐらいスマホを見て11時過ぎから寝て、7時ぐらいに起きてますね」(中2の息子を持つ母)
「10時くらいに寝てます。本を読んでる。昨日は小説を3冊読んだ」(小4)
「共働きなので、どうしても帰ってから勉強やらせてご飯を食べさせてでいっぱいいっぱいになっちゃって。本当は8時とかに寝かせたい気持ちはあるんですけど…」(小3・4歳の母)
塾に通っている中学2年生のスケジュールを聞いてみると・・・
部活から帰ってくるのが6時半。その後塾に行って9時に帰宅。そこから夕飯や寝る準備をすると就寝時間は深夜0時ぐらいになってしまうそうです。
朝は7時に起きるので、睡眠時間は7時間となります。
教育アドバイザー 清水章弘氏:
高校受験の学習塾は部活後に始まるので、授業が終わるのがそもそも遅いところが多いんですよね。遅いところだと10時半とか11時近くに授業が終わるところもあるので、高校受験特有の中学生の忙しさもあると思いますね。
子どもの睡眠異常をチェック
一つでも当てはまると、要注意です。
【1】休日になると、平日のプラス2時間以上起床時刻が遅くなる
【2】午前中の移動や授業で眠気に襲われる
【3】ベッドに入ってから30分以上眠れない
【4】起きたい時間よりも2時間以上早く目が覚めそこから眠れない
【5】十分な睡眠時間が取れていると思わない
【6】「よく眠れた」という実感が持てない
【7】すっきりした気分で起床できない
【8】日中の身体的、あるいは精神的な活動・意欲レベルが落ちている
【9】日中の学業に対する集中力が維持できない
睡眠コンサルタント 友野なお氏:
ほとんどの子が一つ以上当てはまると思います。
今はもう未就学児の4歳5歳の子どもでも眠れないと悩んでる子が増えています。ほとんどの子どもが当てはまるんじゃないかなと思います。
特に子どもの睡眠はお母さんにすごく近しくなるという研究データも出ているので、やはりお母さんが夜ふかしの傾向があったり、夜にスマートフォンを見ていたりする習慣があると、どうしてもその影響を受けやすくなってしまうかなと思います。
睡眠不足による不調
友野氏によると、睡眠時間が短くなることで様々な不調が起こります。
▼肥満のリスクが増大
▼メンタルの不調
▼成績の低下
アメリカの研究では、睡眠は学力に影響するということがわかっています。ロードアイランド州の四つの公立高校の生徒3120人を対象に睡眠習慣調査を行いました。
成績が良い生徒に比べて成績が良くない生徒は、睡眠時間が約25分短く、就寝時間も40分遅いということがわかったそうです。
子どもの睡眠不足 要因【1】習い事
友野氏によると、親が必死に情報をかき集めて子どもに多くの習い事をさせている傾向があるといいます。
子どもの習い事に関するアンケート(イオレ調べ)
≪現在通わせている習い事の数≫
1つ・・・24.4%
2つ・・・37.5%
3つ・・・21.8%
4つ・・・9.7%
5つ以上・・・6.6%
最初に習い事を始めた子どもの年齢は、一番多いのが4歳、次いで3歳と、早くから習い事をさせるご家庭が多いようです。
子どもの睡眠不足 要因【2】スマホ
もう一つの要因はスマホやゲームの長時間使用です。
SNSのやり取りで睡眠時間が削られるケースが多い傾向にあります。
友野氏は、「スマートフォンによる睡眠不足を防ぐには、家庭や学校など子どもを取り巻く周囲の取り組みが重要」だと話します。
睡眠コンサルタント 友野なお氏:
オーストラリアの研究でも、特にショート動画は脳が興奮し続けてしまうので睡眠に悪影響があると言われています。各家庭だけに任せるのではなく、学校教育の中に睡眠の重要性を伝える時間を設けるとか、社会全体で取り組んでいくということが必要になると思います。
教育アドバイザー 清水章弘氏:
私自身も自治体と一緒に生活習慣や学習習慣の改善のために、睡眠の記録をつけています。2週間の睡眠時間を記録していき、それによって睡眠時間の平均をとって必要な睡眠時間を算出します。
個々に「これぐらい睡眠時間必要なんだよ」とか、「こういうふうに改善していこうね」と学校単位で取り組んでいるところもあるので、こういった取り組みが広まってほしいなと願います。
睡眠コンサルタント 友野なお氏:
睡眠を改善する最初のスタートラインとして、自分の眠りを知る、可視化することがとても重要になるので、ぜひこの取り組みは広がっていけばいいと思います。
恵俊彰:
「寝る」ということを、社会全体がちょっと意識する時期なのかもしれません。
(ひるおび 2025年5月22日放送より)
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<プロフィール>
友野なお氏
睡眠コンサルタント
行動療法からの睡眠改善を得意とし
全国での講演活動、執筆活動などを行う
日本睡眠学会正会員
清水彰弘氏
教育アドバイザー
東大在学中に「勉強のやり方」を教える塾を起業
教育関連の著書は海外で広く翻訳されている
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